植物細胞生理学(H23年度後期 講義番号115416) 試験問題 解説
問題1〜問題10は、各自資料を見て調べてください。
問題11
(ポイント)
ある形質(本問題の場合、乾燥/浸透圧ストレスにおけるプロリン蓄積の制御)が、特定の変異体で見られなくなったとき、その形質の実現のためには欠損した遺伝子の機能が必要である(その遺伝子が関与している)と言える。
回答例
(1)マニトールを与えてもdではプロリンがほとんど増えていないことから、浸透圧ストレスによるプロリン蓄積にはSnRK2.1 〜2.10のいずれかの遺伝子が必要であることが言える。sではWTとほぼ同等にプロリンの蓄積が起こること、tではストレスによるプロリン蓄積がわずかであることから、10個のSnRKのうち、2.2、2.3、2.6の少なくとも1つの機能が浸透圧ストレスによるプロリン蓄積に必要で、他の7つSnRKの関与は小さいと言える。
(2)sではWTよりABA処理によるプロリン蓄積量が多いことから、7個のSnRK(2.1、2.4、2.5、2.7、2.8、2.9、2.10)のうちの1つ以上にABAが関与するプロリン蓄積を阻害する働きを持つものがあると考えられる。
(3)quadよりquinでプロリン蓄積量が多いこと、および両変異体での違いはSnRK2.9の発現(quinで欠損)であるから、ABAが関与するプロリン蓄積を阻害する働きがもっとも大きいのはSnRK2.9であると考えられる。