MALDI-TOF/MS/MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)


機種:Ultraflex (Bruker Daltonics社製)

MALDI-TOF/MSは色々な質量分析器の中で、主に常温で固体である物質(すなわち分子量が大きいもの)の測定に用いられます。マトリックスと呼ば れる化合物とサンプルを混ぜて結晶化させ、窒素レーザーによりマトリックスがイオン化する際にサンプルもイオン化し、真空管の中を飛んで検出器に当たるま での時間を計測することにより、質量を測定します。従来イオン化することが難しかったタンパク質やペプチドなど高分子化合物のイオン化に、マトリックスと いう別の化合物を混ぜることでイオン化させることが出来ることが、島津製作所の田中耕一さんによって発見され、ノーベル化学賞を受賞されたことが記憶に新 しいと思います。
本機器は特にタンパク質の分子量や、それをトリプシンなどで消化したペプチドの分子量、またポリマーやある程度の低分子化合物(分子量1000前後ま で)の分子量を測定することが出来ます。さらに本機器はMS/MSモードを搭載しており、ペプチドや化合物の分解産物の分子量を測定することにより、構造 の解析にも用いることが出来ます。
精製したタンパク質あるいは二次元電気泳動で分離したタンパク質スポットのペプチドマスフィンガープリンティング(トリプシンなどで消化したペプチド断 片の質量を測定することにより、データベースに登録されているタンパク質の理論的分解産物質量と照合してタンパク質を同定する)が主なアプリケーションで す。選んだペプチドのMS/MS解析により、アミノ酸がちぎれたペプチドの分子量を得ることで、ペプチドのアミノ酸配列を解析できます。また化合物におい てはイオン化することが出来れば分子量が測定できます。
少し変わったアプリケーションとして、DNAの分子量を測定して塩基配列を解析することも出来ます。また、微生物の総タンパク質を抽出したものをサンプ ルとして、直接分子量を測定すると、微生物由来の様々なタンパク質のスペクトルが得られます。このスペクトルは微生物の種に特異的なパターンを示すので、 未同定の微生物を瞬時に同定したり、分類することが可能になっています。オートメーション化によって数百サンプルを1日で解析可能です。
なお、本装置の共同利用にあたっては、担当技術職員が測定の指導を行います。