環境応答機構研究グループ

ラボプロトコール改

第一版

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成23年3月

 

 

 

目 次

 

 

第一章 植物の栽培方法、実験     P3-

l   種子滅菌

l   MS-Plateの作成

l   播種

l   幼植物体の土植え〜育成

l   人工交配

l   シロイヌナズナT87培養細胞育成法

l   T87培養細胞の形質転換

l   アグロバクテリウムの感染

l   形質転換植物の選抜

l   GFP融合タンパク質の一過性発現(パーティクルガン)

l   Germination, Root growth, Hypocotyls growth assay

 

第二章 DNAを扱う実験       P26-

l   植物からのDNA抽出(CTAB法 _ smallスケール)

l   植物からのDNA抽出(CTAB法 96サンプルスケール)

l   植物からのDNA抽出・簡易版(96サンプルスケール)

l   植物からのDNA抽出・簡易版(エッペンドルフチューブスケール)

l   マッピング

l   SSLP解析

l   SSLPの検出

l   CAPS解析

l   CAPSの検出

l   PCR

l   制限酵素処理

l   アルカリホスファターゼ処理

l   5’突出末端の平滑化 (Klenow処理)

l   ライゲーション

l   エレクトロポレーション用コンピテントセルの作製

l   大腸菌の形質転換

l   コロニーPCR

l   プラスミドの調製 (mini-prep)

l   プラスミド調製 (midi)

l   ゲルからのDNA抽出

l   シークエンス

 

 

 

 

 

第三章 RNAを扱う実験       P60-

l   RNA抽出 (フェノール/SDS法)

l   RNA抽出 (ATA法)

l   RNA抽出 (RNeasy Plant mini kit)

l   DNase処理

l   RT-PCR

l   半定量RT-PCR

l   Gene chip

l   Northern blot hybridization

 

第四章 タンパク質を扱う実験     P79-

l   種子および植物体からの粗タンパク質抽出

l   SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE)

l   Western Blotting

l   GST融合タンパク質実験(発現誘導と精製)

l   PP2C活性測定

l   Yeast two-hybrid (CLONTECH社 MATCHMAKER system)

 

第五章 基本試薬           P96-

 


第一章  植物の栽培方法、実験

 

種子滅菌

(担当 村山)

はじめに

次亜塩素酸に長くつけすぎると、種子を傷つけるので注意。

種子殺菌後、eppen tubeのまま低温処理しした後プレートに播種する事も可能。ただし、プレートで低温処理した場合とは発芽が異なる。

(バキュームのホースは使用後は外すし、フラスコ内の廃液はその都度滅菌操作終了後、廃液入れ(ガロンビン)に移す。ガロンビンの廃液は一方のガロンビンがいっぱいになったら捨てる。)

 

(1) 材料

50% 次亜塩素酸 0.1% Triton X-100

次亜塩素酸

25ml

Triton X-100

50μl

25ml

・滅菌水

 

(2) 方法

(2-1) small scale

1. eppen tubeに種子を必要量分注する。

 

2. 500ulの50% 次亜塩素酸 0.1% Triton X-100を加えてよく撹拌(~1分程度)。

 

3. 3,000rpmで5秒間遠心。

 

4. 上清を除く。

 

5. 約1mlの滅菌水を加えてよく撹拌。

 

6. 3,000rpmで5秒間遠心。

 

7. 上清を除く。

 

8. step5~7を3回繰り返す。

 

9. 蓋を閉めて終了。

 

(2-2) large scale

1. 15ml tubeに種子を必要量分注する。(0.5gで約 20,000粒)

 

2. 5mlの50% 次亜塩素酸 0.1% Triton X-100を加えてよく撹拌。

 

3. 1,000rpmで1分間遠心。

 

4. 上清を除く。

 

5. 10mlの滅菌水を加えてよく撹拌。

 

6. 1,000rpmで1分間遠心。

 

7. 上清を除く。

 

8. step5~7を3回繰り返す。

 

9. 蓋を閉めて終了。

 

引用・参考文献

なし

 

目 次


 

MS-Plateの作成

(担当 村山)

(1) 材料

・ムラシゲ・スクーグ培地用混合塩類(和光純薬)

 [1,650mg, KNO3 1,900mg, CaCl22H2O 440mg, MgSO47 H2O 370mg, KH2PO4 170mg, H3BO3 6.2mg, Mn SO44 H2O 22.3mg, ZnSO47 H2O 8.6mg, KI 0.83mg, Na2MoO42H2O 0.25mg, CuSO45H2O 0.025mg, CoCl26 H2O 0.025mg, Na2-EDTA 37.3mg, FeSO47H2O 27.8mg]

Sucrose

MES

1N KOH

MQW (MilliQ)

Bacto Agar

 

(2) 方法

1. MS-0倍地溶液の作成

試薬

容量

MS培地用混合塩類

4.6g(1包)

Sucrose

20g

MES

0.5g

1N KOH

(pH5.6~6.0に調整)

MQW

up to 1L

Bacto Agar

8g

点線までで必要ならば分注。その後agarを加える。

 

2. オートクレーブ滅菌。

 

3. クリーンベンチ内でシャーレに分注。

9cmシャーレは25~30ml、15cmシャーレは75~80mlずつ分注。

分注前に固まったときは電子レンジで溶かす。オートクレーブで溶かすと培地が固まらなくなるので注意(ABAなどホルモンを加えるときは、温度が高くないか注意する。)。

 

4. 4℃で保存。

 

引用・参考文献

ムラシゲ・スクーグ培地用混合塩類添付資料

 

目 次

 


 

播種

 

はじめに

土に直接播種する場合は、必ず新しい培養土を用いてコンタミを防ぐ。

 

(1) 材料

・殺菌済みの種子

・MS-0/MS+ Plate

・Top Agar (オートクレーブ滅菌)

試薬

容量

MS培地用混合塩類

4.6g(1包)

Sucrose

20g

MES

0.5g

1N KOH

(pH5.6~6.0に調整)

MQW

up to 1L

Low Melting Point Agar

7g

GibcoBRL ultraPure L.M.P. Agarose (gelling temp. 24-28°C)

・先を3mm程度カットした200μlチップ

 

(2) 方法

(2-1) Plateへの播種

1. シートを使ってプレートを必要数だけ分割する。

 

2. 先をカットした200μlチップを使用する。

 

3. 40μlのTop Agarを種子に加えてよく混ぜる。

(Top Agarは10倍容程度あればいい。)

 

4. Plateに並べるようにして播種。

 

5. サランラップで包んで4℃で4日間低温処理を行い、休眠打破。以後各条件で育成。(暗所で発芽させる場合は、低温処理後、5分間光に当ててからアルミ箔で覆う。)、

 

(2-2) 土への播種

1. 種子はあらかじめ4℃で4日間低温処理して休眠を打破しておく。

 

2. 培養土を2重のオートクレーブバックに3分の1程度とり、水を加えてオートクレーブ滅菌(121℃、30分)。

 

3. よく水をなじませた土をポットに分ける。1トレーに24ポット乗る。

 

4. 200μlチップを用いて1粒ずつ播種する。種子は土の表面に置くようにし、種子を土で覆わない。シロイヌナズナの種子は光発芽性なので、土をかぶせてしまうと発芽しなくなる。

 

5. トレーに希釈したハイポネックス(液体肥料)を加えて、全体をラップで覆う。

 

引用・参考文献

モデル植物ラボマニュア Springer (2000) p14-17

 

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幼植物体の土植え〜育成

(担当 村山)

はじめに

 F1個体など貴重なサンプルは新しい土を使ったほうが良いが、それ以外のサンプルは再利用度でも問題ない。1度使った土は水を加えて30分程度のオートクレーブ滅菌を2度行って再利用度として使用。2度使った土は捨てるようにしている。

 

(1) 材料

・オートクレーブ滅菌済み培養土

・本葉が4枚程度出た植物体

 

(2) 方法

(2-1) 土植え

1. 土に水を良く含ませてポットに取る。

 

2. 4〜5箇所くぼみを作る。

 

3. ピンセットで葉や茎を傷つけないように植物体をとり、土に移植する。

 

4. 根に土をかぶせる。

 

5. 札に植物体の番号やサンプル名を記入する。

 

6. 希釈したハイポネックスをトレーに注ぎ、全体をラップで覆う。

 

7. 1週間おいてラップを除いて育成。

 

(2-2) 育成

1. 週に1 or 2回水をあげ、ハイポネックス(1000倍希釈)は週に1回あげる(月、水曜日は水を、金曜日は希釈したハイポネックスをあげるというように。)。シロイヌナズナは乾燥気味の土を好むので、常にバットに水が満たされているような状態は避ける。

 

2. 花茎が立ってきたら支柱(竹串)を立てる。

 

3. 茶色いサヤが目立っきたら、ハイポネックスをやめて水を与えるようにし、水遣りの間隔もあけるようにして乾燥を促す。

 

(2-3) 収穫

1. サヤがじゅうぶん乾燥したら、植物体ごと封筒に収穫する。

 

2. サヤごとに収穫する場合は、エッペンチューブにとり、ふたの変わりにパラフィルムをまいて穴を開けて換気して1週間置く。

 

3. サンプルの番号を登録する。封筒やエッペンにも記入。

 

引用・参考文献

モデル植物ラボマニュア Springer (2000) p14-16

 

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人工交配

(担当 村山)

はじめに

抽台後早めの花芽を用いたほうが、花が大きく交配しやすい。

コンタミしないように注意。

 

(1) 材料

・抽台した植物体

・70% エタノール

・ピンセット

・はさみ

・顕微鏡

 

(2) 方法

1. 雌親には、がくの間から白い花弁が見え始めたくらいの膨らんだつぼみを用いる。

 

2. 交配に使うつぼみの近くにある花やサヤを取り除く。

 

3. 70% エタノールで拭いたピンセットを用いて4枚のがく片、4枚の花弁、6本の雄しべを取り除く。このとき雄しべに既に花粉がついているようなら、用いないほうが良い。雌しべに花粉がついた場合は用いない。

 

4. むき出しになった雌しべに柱頭毛が確認できれば、受粉可能な状態。柱頭毛が未成熟な場合は、1〜2日間柱頭毛が成熟するのを待って受粉を行う。

 

5. 雄親を用意する。元気そうな花の雄しべをそのまま雌しべの柱頭につける。花粉がつくと柱頭が黄色くなるのが確認できる。

 

6. 花柄に何と交配したのかを書いたテープを張る。

 

7. 受粉が成功していれば、3〜4日後にはサヤが伸びているのが観察できる。

 

8. 数週間後、サヤが茶色くなったところで、サヤごとeppen tubeに採取。ふたの変わりにパラフィルムを巻き、ピンセットで穴を開けて通気孔を作る。このまま1週間程度置いて乾燥・登熟させる。

 

引用・参考文献

 モデル植物のラボマニュアル  (2000)  p17-19

 

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シロイヌナズナT87培養細胞育成法

(担当 平山)

はじめに

T87培養細胞は、緑色でまたABAにも敏感に応答するなど植物組織に近いと思われるが、細胞周期の同調性が低い、細胞が固まる傾向にある、などタバコBY2ほど洗練された培養細胞ではない。

培養には、適度の光、温度、振とうが必要である。

すべての操作は、クリーンベンチの中で行う

 

(1)材料

・培地組成;全て1Lあたりの量

実際に使用するのは、JPL-M, JPL-O, JPL-S8:1:1に混合した培地である。

 

JPL-A'

KNO3

65.5 g

CaCl2.2H2O

4.4 g

MgSO4.7H2O

3.7 g

KH2PO4

1.7 g

autoclave

 

JPL-B

H3BO3

6.2 g

MnSO4.4H2O

22.3 g

ZnSO4.7H2O

10.6 g

KI

0.83 g

Na2MoO4.2H2O

0.25 g

CoCl2.6H2O

25 mg

CuSO4.5H2O

25 mg

autoclave

 

JPL-C

FeSO4.7H2O

2.78 g

Na2-EDTA.2H2O

3.72 g

autoclave

 

JPL-D

 

myo-inositol

40 g

Glycine

0.8 g

 

JPL-VT

nicotinic acid

0.5 g

pyridoxine.HCl

0.5 g

thiamine.HCl

0.4 g

 

JPL-P

KH2PO4

5.3 g

Na2HPO4.12H2O

21.8 g

autoclave

 

NAA soln

NAA

186.2 mg in EtOH

 

JPL-M

JPL-A'

37.5 ml

JPL-B

0.375 ml

JPL-C

2.5 ml

adjust pH 5.7 with KOH

autoclave

 

JPL-O

Casein hydrolysate, vitamin free

1 g

JPL-D

5 ml

JPL-VT

2 ml

adjust pH 5.7

autoclave

 

JPL-S

sucrose

150 g

JPL-P

10 ml

NAA soln

10 ml

autoclave

 

・滅菌三角フラスコ

三角フラスコにアルミ箔のふたをして、滅菌する。100 ml~500 mlのものを使う。

 

・滅菌ナイロンメッシュ

培養細胞の固まりを除くため、培養細胞を植え次ぐ前に0.5 mmのナイロンメッシュを通す。そのための簡便な、メッシュ濾過器を作製

すると良い。20 mlのプラスチック製注射器の筒を下の方で切断し、切断面をガスバーナーで熱して溶かし、瞬時にナイロンメッシュ上に押しつける。そうすると、注射器とナイロンメッシュが融合する。余分なナイロンメッシュを切断し、濾過器ができる。

 

(2)方法

1. 滅菌した三角フラスコにフラスコの容量の20%~40%程度の液体培地でT87を培養する。通常、10日から14日で植え次ぐ。

 

2. 滅菌した三角フラスコに、滅菌済みのJPL-M, JPL-O, JPL-Sを8:1:1になるように入れる。

 

3. よく培養したT87培養細胞(必要な量にもよるが10 ml程度)を培地ごと、ナイロンメッシュに通す。

 

4. 10倍から50倍希釈で新しい培地に移す。なるべく古い培地が少なくなるようにする。

 

5. 100 rpm で22℃、16時間明、8時間暗で培養する。(光条件は自在に変更可能である。24時間暗所でも少なくとも1週間程度は増殖することを確認している。ただし、緑色は失われる。)

 

 

参考文献

Plant Physical. Biochem., 30, 123-128, 1992

Axelos et al.

 

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T87培養細胞の形質転換

(担当 平山)

はじめに

アグロバクテリウムを用いて、T87培養細胞を形質転換することができる。細胞レベルの実験、均一細胞を用いた実験が好ましい場合、有効である。

  約1ヶ月〜1ヶ月半で、形質転換のカルスが得られる。必要な場合、それからsusupension cultureにする。ただし、今のところT87培養細胞のストック法が確立されていないので、多くの形質転換体を作製しても、その維持が難しい事を留意しなくてはならない(継体培養かカルスでの維持となる)。

  実験の操作は全て、クリーンベンチで行う。

 

(1) 材料

・CIM培地;        1 L分

ガンボーグB5 salt mix               1 L用1袋

B5 vitamin solution                     1 ml

MES                                                0.5 g

sucrose                                         30 g

a-NAA (1 mM EtOH)                    0.2 ml

BactAgar                                        6 g

pH 5.7 with KOH

                オートクレーブによる滅菌

 

・抗生物質; フィルター滅菌

クラフォラン 200 µg/ml H2O

KanHygなど

・T87培養細胞

・T87用液体培地(T87培養細胞育成法を参照)

・滅菌済み100 mlフラスコ(一感染あたり2本必要)

・LB (アグロ用)

・15 cm シャーレ(一感染あたり少なくとも2枚必要)

・オートクレーブ滅菌済み15 cmシャーレ用ナイロンメンブレン(コロニーハイブリ用、一感染あたり少なくとも1枚必要))

・滅菌水

 

(2) 方法

(2-1) T87培養細胞の用意(day 1

・継代1週間の細胞をメッシュで濾し、10倍希釈でフレッシュな培地で2~4日培養する(適正な最終濃度は未だ不明だが多い方が良いようである、少なくとも緑色で増殖している必要がある)。

 

(2-2) アグロバクテリアの準備 (day 2)

・アグロバクテリアをLBなどの培地で培養する。

・アグロ培養液500 µlをチューブにとり遠心して集菌する。

・滅菌水500 µlを加えて菌を洗浄する。3回繰り返す。

・最後に、T87培地500 µlに懸濁する。

 

(2-3) 感染 (day 3)

・100 ml 滅菌フラスコに(2-1)のT87培養細胞液を10 mlと(2-2)のアグロ菌液50 µlを加え、2日間培養する。(2日後に緑色の細胞がほとんど無ければ失敗と思った方がよい)

 

(2-4) 細胞の洗浄(day 5

・細胞を15 mlチューブに移し、スイングローターで1500 rpm、30秒程度遠心し、上清を丁寧にのぞく。遠心した際、細胞の上部に白い沈殿物が見られるが、これも除いた方が良いようである。3 mlのクラフォラン(200 µg/ml)入りT87培地を加え懸濁、同様に遠心し、上清を除く。これを3回繰り返す。

・10 mlのクラフォラン入りT87培地に懸濁し、新たな滅菌済み100 mlフラスコに移し、3〜4日間培養する。

 

(2-5) プレーティング(day 8 or 9

・滅菌したナイロンメンブレンをCIM+クラフォラン(200 µg/ml) 15cmプレートに泡が入らないように載せる。10 mlの培養細胞を15 mlのチューブに移し、スイングローターで1500 rpm、 30秒程度遠心し上清を除き2 ml程度に濃縮し、それをナイロンメンブレン上に均一になるように広げる。先が円になっている使い捨てのプラスチックループ(大腸菌の植菌に使っているもの)を使うと良い。植物育成チャンバー内で培養する。

・3日後、細胞を載せたフィルターを、CIM+クラフォラン+抗生物質(Km: 30 µg/ml, Hyg: 10 µg/ml)に移す。泡が入らないように注意する。

・2~3週間培養する(アグロが生えたら細胞は死んでしまう。2週間程度で新しいプレートにフィルターごと移した方が安全)。

・緑色の薬剤耐性カルスが出現したら、カルスの一部を新しいプレート(抗生物質入り、9 cm)に移し更に、2週間程度培養する。

 

(2-6) suspension culture (day 35~)

・T87液体培地(抗生物質なし)にカルスを懸濁し、増殖させてみる。

・suspension cultureになってきたら(バラバラの細胞が増えてきているようなら良いと思われる)、抗生物質を入れた培地に継代する。

 

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アグロバクテリウムの感染

(担当 林)

はじめに

相補性検定などを行う場合、アラビドプシスはアグロバクテリウムを介して形質転換を行う。

 

(1) 材料

・開花前の花序がある植物体

・アグロバクテリウム

・目的遺伝子をT-DNA内に担うバイナリーベクター

・LB寒天培地(選択用抗生物質を含む)

・LB液体培地(選択用抗生物質を含む)

・浸潤用培地(調製後即日使用するならば滅菌不要)

MS培地用混合塩類 4.6g/L

0.5mM MES

5% Sucrose

(KOHでpH 5.7〜6.0に調整)

・BAP (Benzylaminopurine)(4℃保存)

・L-77(試薬棚)

 

(2) 方法(以下に示す容量の1/2でも可)

0. 抽台後の植物の主軸を切断する。(省略可。切断部位より下の側芽が成長し、7〜10日後にはアグロバクテリウム感染に適した花序が多く揃う利点がある。)

 

1. エレクトロポレーションにより、目的のT-DNAを担うバイナリーベクターをアグロバクテリウムに導入する。(形質転換操作は大腸菌と同様だが、培養温度は大腸菌より低い。30℃でも大丈夫だが、室温〜27℃が好ましい。)

 

2. LB寒天培地(選択薬剤入り)に塗布し、室温で約36時間置いて選択する。

 

3. 形質転換体をLB液体培地2mlに植菌し、27℃で1晩振盪培養する。

 

4. 培養液をLB液体培地500mlに加え、27℃で約24時間培養する。

 

5. 6,000rpm, 室温で10分 遠心して、上清を捨てる。

 

6. 沈澱を浸潤用培地500mlに懸濁する。

 

7. 4.4mM BAPを5µl(終濃度44nM)、L-77を125µl(終濃度0.025%)加えて穏やかに混和させる。(L-77を加えると泡立ち易くなるので最後に加える。)

 

8. 懸濁液をビーカーに移し、植物の地上部を約1分 浸す。(植物は開花済みの花やサヤをあらかじめ切除しておくと、後の選抜倍率が下がってよい。)

 

9. バケツ等に鉢ごと移し、ラップで封をして乾燥を防ぐ。水は要らない。)

 

10. 2日後、鉢を取り出し、通常通り育成して種子(T1)を得る。

 

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形質転換植物の選抜

(担当 林)

はじめに

アグロバクテリウムが種子に付着しているので、念入りに殺菌処理する。残留しているアグロバクテリウムが大繁殖するので、選択用の培地には糖を含まないものを用いる

 

(1) 材料

・T1種子

・種子殺菌用液

50% 次亜塩素酸ナトリウム溶液

0.1% Triton-X

・滅菌水

・MS寒天培地(角シャーレに60mlまたはφ150mmディッシュに80ml調製, sucrose抜き, 選択用抗生物質を含む)

・0.7% Low melting temperature agarose gel(TOP agar)

(オートクレーブ滅菌)

 

(2) 方法

1. T1種子125mgを15mlチューブに入れる。

 

2. 種子殺菌用液を3ml加え、数分vortexにかける。

 

3. 1,000rpm で1分 遠心し、上清を除去する。(上清の除去は、綿栓を取り除いた10mlピペットをポンプのチューブに取り付けて行なうとよい。)

 

4.滅菌水5mlを加え、数分vortexにかける。

 

5. 1,000rpm で1分 遠心し、上清を除去する。

 

6. 4〜5を3回繰り返す。

 

7. Top agarに種子を懸濁して、抗生物質を含むMS寒天培地(KmやHgなら30〜50µg/ml)に播種する。

 

8. 4℃で4日

 

9. Hgの場合は、23℃の明所に移し生育させる。Kmの場合は、明所に5分 置いたのち23℃の暗所で60時間置いてから明所に移す。

 

10. 2週間ほど経過後、白化せずに生育している個体をMS寒天培地(抗生物質無し, sucrose含む)に移し、数日生育させる。(根を成長させる。)

 

11. 土に移植して、育成する。

 

12. 組織の一部からDNAを回収して、PCRでT-DNAの挿入を確認する。(付着したアグロバクテリウムのDNAを検出している可能性があるのでさらに後代で行なったほうが信頼できる。

 

目 次

 


 

GFP融合タンパク質の一過性発現(パーティクルガン)

(担当 林)

はじめに

シロイヌナズナは導入効率は良いが、葉柄以外は細胞が小さく、細胞層の内部は検出しにくい。タマネギは細胞が一層で大きいが、導入の効率はよくない。

 

(1) 材料

・植物用プロモーターとGFP融合遺伝子を担うプラスミド(夾雑物が少なく、濃度が1µg/µl以上のものが好ましい。Midiスケールのキットで抽出。)

・シロイヌナズナの葉

・マイクロキャリア(金粒子)

・50% グリセロール(オートクレーブ滅菌)

・2.5M CaCl2

・0.1M スペルミジン

・100% エチルアルコール(脱水)

・ラプチャーディスク (650psi)*

・マクロキャリア*

・ストッピングスクリーン*

・MS寒天培地

 

 *これらは本来滅菌して用いるが、葉やタマネギで一過性の発現を観るだけならばほとんど必要ない。

 

(2) 方法(同じ遺伝子を2回撃ち込む場合)

 

マイクロキャリアの調製

 

1. マイクロキャリアを1mg エッペンドルフチューブに量りとる。(0.5〜0.6mgでも十分。薬さじでチューブに移す場合、チューブ壁面を傷つけると遠心後そこに金粒子が溜まるので注意)

 

2. 70% エタノールを100µl加えてボルテックスに数分かけ、さらに15分 micro mixerで振盪する。

 

3. 5,000rpmで10秒 遠心して上清を除く。

 

4. 滅菌水を100µl加えてボルテックスにかける。(ほとんどの場合ペレットはほぐれないので、超音波の浴槽に10秒ほどつけてからボルテックスにかける。)

 

5. 5,000rpmで10秒 遠心して上清を除く。

6. 手順4,5をさらに2回繰り返す。

 

7. 50% グリセロールを17µl加え、金粒子をボルテックスで完全に懸濁する。(超音波使用可。この状態で4℃または室温で保存できる。)

 

マイクロキャリアのDNAコーティング

 

1. 金懸濁液にプラスミド (1µg/µl)を2.5µl加え、ボルテックスにかける。

 

2. 2.5M CaCl2を25µl加え、ボルテックスにかける。(CaCl2添加後は、はじめに穏やかに混和させてから激しくボルテックスをかけるようにするときれいに仕上がる。)

 

3. 0.1M スペルミジンを10µl加え、数分ボルテックスにかける。

 

4. 数分静置し、金粒子を沈澱させる。

 

5. 1,000rpm で10秒 遠心し、上清を除く。

 

6. 70% エタノールを70µl加える。(ペレットはほぐさない。)

 

7. 1,000rpmで10秒 遠心し、上清を除く。

 

8. 100% エチルアルコール(脱水)を70µl加える(ペレットはほぐさない。)

 

9. 1,000rpmで10秒 遠心し、上清を除く。

 

10. 100% エチルアルコール(脱水)を18µl加え、タッピングで懸濁する。(エ

チルアルコールがチューブ内で揮発して液量はこれより少なくなる。この状態で半日は安定らしい。)

 

撃ち込み

 

1. マクロキャリアをマクロキャリアホルダーにセットし、その中心(直径1cm位)に調製したマイクロキャリアを半分(8µlくらい)ずつのせる。(よく懸濁し、チップ内で沈降する前に迅速にのせる。)

 

2. 5〜10分静置して液を揮発させる。

 

3. ヘリウムガスのボンベを開き、レギュレーターを操作して圧力を5.9(650psiの場合)に調節する。

 

4. ラプチャーディスク、ストッピングスクリーン、マクロキャリアーを本体にセットする。

 

5. 葉を裏返しにのせたMS寒天培地を下から3段目に置く。

 

6. チャンバーの扉を閉め、PDS-1000とポンプの電源をONにする。

 

7. vacuumボタンを押して減圧を開始し、27 inch Hgまで達したらボタンを「HOLD」側に押して圧を固定する。

 

8. 「Fire」ボタンを押し続け、ヘリウム圧が650psiでラプチャ−ディスクが割れたらボタンを離す。

 

9. ただちに「HOLD」からニュートラルに戻して常圧に戻し、ポンプの電源を切る。

 

10. 常圧に戻ったら扉を開けて培地を取り出す。

 

11. ラプチャーディスク、マクロキャリア、ストッピングスクリーンを取り外し、捨てる。

 

12. 後続のサンプルに移る。

 

13. ヘリウムガスの元栓を閉め、ボンベとPDSの間のガスを常圧まで抜き、各部品をエタノールで消毒して終了。

 

撃ち込み後

 

1. 葉を裏返して金粒子を撃ち込まれた側を培地に密着させる。

 

2. 23℃のインキュベーターで一晩培養

 

 

GFPの蛍光観察

 

1. 水銀ランプの電源を入れる。(10分くらいで安定する。)

 

2. 葉のプレパラートを作製してステージに置く。

 

3. 通常の光源ランプの電源を入れ、10×の対物レンズで、観察箇所とピントを調整する。(ピントの調整が終わったら光源ランプは切る。)

 

4. 蛍光キューブをNIBAに変えて観察する。(WUに変えても光っているものはGFPではない場合が多い。)

 

5. 写真を撮るときは写真光路切替ノブを写真用に合わせ、備え付けのカメラで撮影する。

 

6. 観察が終わったら水銀ランプの電源を切る。(一度切ったらしばらくは再点灯させない。)

 

 

引用・参考文献

PDS-1000/He 簡易取扱説明書 BIO-RAD (2000/02/09)

 

新版植物のPCR実験プロトコール 秀潤社 (1997) P117-121

 

目 次

 


 

 

Germination, Root growth, Hypocotyls growth assay

(担当 吉田)

(1)材料

 

Final

NaCl

0, 50, 100, 150, 200 mM

KCl

0, 50, 100, 150, 200 mM

mannitol

0, 100, 200, 300, 400 mM

glucose

0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7% w/v

sucrose

0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7% w/v

ABA

0, 0.01, 0.1, 1.0, 10 µM

auxin(1-NAA)

0, 0.01, 0.1, 1.0, 10 µM

cytokinine(BA)

0, 0.01, 0.1, 1.0, 10 µM

gibberellin(GA3)

0, 1, 10, 50, 100 µM

ethylene(ACC)

0, 1, 10, 50, 100 µM

brassinosteroid(Ep-BL)

0, 0.001, 0.01, 0.1, 1.0 µM

NaCl, KCl, mannitol, glucose, sucroseはMS培地をオートクレーブする前に加える。ABA, BA, GA3, ACC, Ep-BLはオートクレーブ後、50℃以下に冷ましてからストック溶液を上記の終濃度になるように加える。発芽試験は90mmのシャーレに30mlのMSプレート(それぞれホルモンや塩などを加えたもの)を用いる。主根伸長、胚軸伸長試験には縦長のシャーレに70mlのMSプレート(それぞれホルモンや塩などを加えたもの)を用いる。

 

(2)方法

1. (発芽試験) 約50粒を滅菌、播種する。4℃,4日間の低温処理後、23℃,明期16 時間暗期8時間の長日条件のインキュベーターで育成する。「germination」は「幼根の出芽」、「post-germination growth」は「子葉の展開と緑化」と定義し、それぞれの発芽率を算出する。独立に3回実験を行って平均値と標準偏差を算出する。

 

2. (主根伸長試験) 種子は滅菌した後、MS培地に播種する。4℃,4日間の低温処理後、23℃,明期16時間暗期8時間の長日条件のインキュベーターで5日間育成し、5日目に同程度の生育をしている芽生えを選択し、化合物を含む培地に主根を直線状に8~12個体ずつ伸ばして移植する。培地を、根が下を向くように垂直に立て、23℃,明期16時間暗期8時間の長日条件のインキュベーターで4日間育成する。4日目における各個体の主根の伸びを測定し、伸長率をコントロール(0 µM)の平均値を100%として算出する。各個体の平均値と標準偏差を算出する。

 

3. (胚軸伸長試験) 種子は滅菌した後、化合物を含む培地に8~12粒ずつ播種する。4℃,4日間の低温処理後、30分間光をあてて発芽を誘導したのち23℃,暗所で胚軸が上方に伸びるように培地を縦に置いて5日間育成する。5日目における胚軸の長さを測定し、伸長率をコントロール(0 μM)の平均値を100%として算出する。各個体の平均値と標準偏差を算出する。

 

注)根と胚軸の試験では、個体間でばらつきが出るので、生データから最大値と最小値を除いて計算する。培地を立てる場合、底部に水が溜まるのでサンプルが水に浸からないように注意する。

 

目 次

 


第二章  DNAを扱う実験

 

植物からのDNA抽出(CTAB – smallスケール)

(担当 林)

はじめに

CTAB法で抽出したDNAは多糖類の混入が少なく、PCR以外にサザン解析などにも使える。

 

(1) 材料

・1×CTAB solution

3% CTAB

1M NaCl

100mM Tris-HCl pH8.0

50mM EDTA

・ガラスビーズ (φ0.5mm)

・クロロホルム

・イソプロパノール

・70% エタノール

・TE buffer(基本試薬)(オートクレーブ滅菌)

・RNase

 

(2) 方法

1. エッペンドルフチューブにガラスビーズ (φ0.5mm) を約50µl入れる。

 

2. 植物体(本葉を数枚)をチューブに入れて凍結させる。

 

3. 凍らせたまま、ビーズビーダーで10秒 処理する。

 

4. 1×CTAB solution を400µl加え、混和させる。

 

5. 65℃で30分 処理する。

 

6. クロロホルムを300µl加え、混和させる。

 

7. 8,000rpm, 室温で5分 遠心する。

 

8. 上清 (350〜400µl) を新しいチューブに移す。

 

9. 等量のイソプロパノールを加え、混和させる。

 

10. 15,000rpm, 4℃で15分 遠心する。

 

11. 上清を捨て、70% エタノールを300µl 加える。

 

12. 15,000rpm, 4℃で5分 遠心する。

 

13. 上清を取り除き、乾燥させる。

 

14. 10µg/ml RNaseを含む 水またはTE bufferを50µl加え、懸濁する。

 

15. 37℃で30分処理

 

16. –20℃で保存。

 

引用・参考文献

モデル植物ラボマニュアル 

シュプリンガー・フェアラーク東京(2000)P62-64

 

目 次

 


 

植物からのDNA抽出(CTAB 96サンプルスケール)

(担当 林)

はじめに

CTAB法と同様。抽出するDNAの用途がPCRに限られるときは、もう一方のSDSを用いた簡易な方法を推奨する。

 

(1) 材料

・2×CTAB solution(Crushing bufferで2倍に希釈すれば1×になる)

6% CTAB

1M NaCl

100mM Tris-Cl pH8.0

50mM EDTA

・Crushing buffer

1M NaCl

100mM Tris-Cl pH8.0

50mM EDTA

・96ディープウェルプレート + フタ

・ジルコニアビーズ

・クロロホルム

・イソプロパノール

・70% エタノール

・TE buffer(基本試薬)(オートクレーブ滅菌)

・RNase

・P200 チップ 2箱以上/96サンプル

・96ウェルPCRプレート

 

(2) 方法

1. 96ディープウェルプレートにジルコニアビーズを4粒以上ずつ入れる。(フタの背の凹みにビーズをつめ、プレートを逆さにかぶせてから引っくり返すとよい。)

 

2. 植物体(本葉を数枚)をウェルに入れる。

 

3. 8連マイクロピペットを用いてcrushing buffer を180µl加える。(以下、試薬の添加は8連マイクロピペットを用いて行なう。)

 

4.フタをしっかりと閉め、Shake Masterで2分 処理する。

 

5. フタを開ける前に、2,000rpmで遠心して内容物を底に落とす。

 

6. 2×CTAB solution を150µl加え、フタを閉めてMicro Mixerで混和させる。

 

7. Hybridization incubatorを用いて65℃で30分〜60分 処理する。(加熱によりウェル内の気圧が上がるので、内容物が吹きこぼれる前にガスを抜く。)

 

8. 室温まで冷ましたのち、クロロホルムを150µl加える。(クロロホルムはドラフト内で扱う。温かいうちに加えると気化して吹きこぼれる。)

 

9. 4,000rpm, 室温で30分 遠心する。

 

10. 上層180µlを新しい96ディープウェルプレートに移す。

 

11. イソプロパノールを180µl加え、フタを閉めてMicro Mixerで混和させる。

 

12. 4,000rpm, 4℃で30分 遠心する。

 

13. 上清を捨て、70% エタノールを150µl 加える。

 

14. 4,000rpm, 4℃で5分 遠心する。

 

15. 上清を取り除き、乾燥させる。

 

16. 10µg/ml RNaseを含む 水またはTE bufferを100µl加え、懸濁する。

 

17. 54℃で2時間処理

 

18. 96ウェルPCRプレートに移し、HT sheetでシールする。

 

19. –20℃で保存。(頻繁に使用するときは、4℃のほうがよい。凍結させるとシールの粘着力が低下し、コンタミがおこり易くなる。)

 

引用・参考文献

モデル植物ラボマニュアル 

シュプリンガー・フェアラーク東京(2000)P62-64

 

目 次

 


 

植物からのDNA抽出・簡易版(96サンプルスケール)

(担当 林)

はじめに

CTAB法よりも夾雑物が多いが、PCRの鋳型とするには十分な質で抽出できる。

熱処理やクロロホルム処理を省略しているので、安全かつ手間がかからない。

 

(1) 材料

・DNA抽出液(オートクレーブ滅菌)

200mM Tris-Cl

250mM NaCl

25mM EDTA

0.5% SDS

・DNA抽出液(−SDS)(オートクレーブ滅菌)

200mM Tris-Cl

250mM NaCl

25mM EDTA

・ジルコニアビーズ

・96ディープウェルプレート + フタ

・イソプロパノール

・70% エタノール

・TE buffer(基本試薬)(オートクレーブ滅菌)

・RNase

・P200チップ 2箱以上/96サンプル

・96ウェルPCRプレート

 

(2) 方法

1. 96ディープウェルプレートにジルコニアビーズを4粒以上ずつ入れる。(フタの背の凹みにビーズをつめ、プレートを逆さにかぶせてから引っくり返す。)

 

2. 植物体(本葉を数枚)をウェルに入れる。

 

3. 8連マイクロピペットを用いてDNA抽出液(−SDS)を100µl加える。(以下、試薬の操作は8連マイクロピペットを用いて行なう。)

 

4.フタをしっかりと閉め、Shake Masterで2分 処理する。

 

5. フタを開ける前に、2,000rpmで遠心して内容物を底に落とす。

 

6. DNA抽出液を180µl加え、フタを閉めてMicro Mixerで十分に混和させる。

 

7. 4,000rpmで10分 遠心して上清180µlを新しいプレートに移す。(上清と沈澱の境界は曖昧。植物の残骸を含まない部分をとればよい。)

 

8. イソプロパノールを180µl加え、十分に混和させる。

 

9. −20℃で30分

 

10. 4,000rpm, 4℃で30分 遠心する。

 

11. 上清を捨て、70% エタノールを150µl 加える。

 

12. 4,000rpm, 4℃で5分 遠心する。

 

13. 上清を取り除き、乾燥させる。(緑色の沈澱が残るが、問題は無い。)

 

14. 10µg/ml RNaseを含む TE bufferを100µl加え、十分に懸濁する。

 

15. 37℃で1時間

 

16. 96ウェルPCRチューブに移し、HT sheetでシールする。

 

17. –20℃で保存。(頻繁に使用する場合は、4℃のほうがよい。凍結させるとシールがはがれてコンタミがおこり易くなる。)

 

引用・参考文献

井内さんのメール

 

目 次

 


 

植物からのDNA抽出・簡易版(エッペンドルフチューブスケール)

(担当 林)

はじめに

CTAB法よりも夾雑物が多いが、PCRの鋳型とするには十分な質で抽出できる。

熱処理やクロロホルム処理を省略しているので、安全かつ手間がかからない。

 

(1) 材料

・DNA抽出液(オートクレーブ滅菌)

200mM Tris-Cl

250mM NaCl

25mM EDTA

0.5% SDS

・DNA抽出液(−SDS)(オートクレーブ滅菌)

200mM Tris-Cl

250mM NaCl

25mM EDTA

・ガラスビーズ (φ0.5mm)

・イソプロパノール

・70% エタノール

・TE buffer(基本試薬)(オートクレーブ滅菌)

・RNase

 

(2) 方法

1. エッペンドルフチューブにガラスビーズを約50µl入れる。

 

2. 植物体(本葉を数枚)を入れ、凍結させる。

 

3. 凍らせたまま、ビーズビーダーで10秒 処理する。

 

4. DNA抽出液200µlとDNA抽出液 (−SDS) 100µlを加え、混和させる。

 

5. 8,000rpm, 室温で5分 遠心する。

 

6. 上清 (200µl) を新しいチューブに移す。

 

7. 等量のイソプロパノールを加え、混和させる。

 

8. 15,000rpm, 4℃で15分 遠心する。

 

9. 上清を捨て、70% エタノールを200〜300µl 加える。

 

10.  15,000rpm, 4℃で5分 遠心する。

 

11.  上清を取り除き、乾燥させる。

 

12.  10µg/ml RNaseを含む 水またはTE bufferを50µl加え、懸濁する。

 

13.  37℃で30分処理

 

14.  –20℃で保存。

 

引用・参考文献

井内さんのメール

 

目 次

 


 

マッピング

(担当 林)

はじめに

劣性変異の場合について、解析の流れを説明する。優性変異の場合も、野生型個体を変異体とみなすことで、劣性変異の場合と同様の手法で進められる。

 

1. 変異型F2個体の作製とDNAの調製

1-1. 目的の変異をホモでもつ個体を、異なるエコタイプ(ここでは便宜上Col+mutation×Lerとする。)の野生型個体と交配させ、F1世代の種子を得る。

 

1-2. F1世代を育成して自殖させ、F2世代の種子を得る。

 

1-3. F2世代を育成し、変異型の個体を選抜し育成する。

 

1-4. 選抜した個体の葉からDNAを抽出し、植物はそのまま育成して自殖種子 (F3) を得る。DNAと種子がどのF2個体由来かわかるようにする。

 

2. 染色体の決定(ラフマッピング)

2-1. 32個体以上のDNAを鋳型にしてラフマッピング用マーカー(別紙)でSSLP解析(以降で解説)を行なう。

 

2-2. 最もCol型の集中している(強く連鎖している)マーカーを探し、個体数を増やしてもそのマーカーで強い連鎖がみられるかを確認する。

 

2-3. 他の染色体に疑わしい領域がないことを確認する。

 

2-4. 調べるマーカーを増やし、その染色体の上腕か下腕を決定する。(その領域に同じ表現型を示す既知の遺伝子があるかを調べておき、アリルの可能性が高い場合はシークエンシングや相補性試験などで早期に確認しておく。)

 

3. 精密なマッピング

3-1. ラフマッピングによって決定された染色体領域について、さらに調べるマーカーを増やし、各個体のDNAとマーカーの関係を次のような表にする。

 

 

マーカー1

マーカー2

マーカー3

マーカー4

マーカー5

マーカー6

個体A

Ler

Het

Het

Col

Col

Col

個体B

Col

Col

Col

Col

Het

Het

個体C

Het

Het

Col

Col

Col

Het

個体D

Ler

Het

Col

Het

Het

Ler

(マーカー1~6は同じ染色体にこの順番で存在するとする。)

 

上の例からは、マーカー3と4の間に原因遺伝子があることが支持される。この場合、マーカー3〜4の間で個体AとDがどちらもColのホモになる領域を探すことになる。但し、これは個体A〜Dが確かに注目変異のホモである(選抜に間違いがなかった)ことが前提である。

 

3-2. F3の表現型について変異型と野生型の分離比を調べ、F2の接合型を確認する。(F3が全て変異型ならその親であるF2は変異をホモでもつ。F3の約1/4が変異型ならF2はヘテロ。)

 

3-3. 1と2を平行して行ないながら範囲を絞り、行き詰まったら調べる個体数を増やす。(行き詰まることを見越して、あらかじめ数百〜千の変異型F2個体を選抜しておく。)

 

4. 変異の同定(シークエンシング)

10〜20遺伝子くらいにまで絞られたら、シークエンシングを行ない変異の同定を試みる。(PCRで鋳型を増幅する際の複製エラーが問題となるので、PCRは4本の独立したチューブで行ない、これをまとめて鋳型とすることで各チューブで生じたエラーを相殺させるようにする。)

 

目 次

 

 

 


 

SSLP解析

(担当 林)

はじめに

SSLPはPCRと電気泳動だけで検出できる多型なので、制限酵素処理を必要とするCAPSの検出よりも簡易である。

 

(1) 材料

・ゲノムDNA

・SSLP用プライマー対

・PCR用試薬

10×TAQ buffer

2mM dNTPs

TAQ polymerase

・4% アガロースゲル

 

(2) 方法

SSLP検出用プライマーの設計

 

1. 染色体の調べたい位置が、何という名のBACに属するかを調べる。(tairのMap Viewerなどを参照。)

 

2. 調べたBAC名をCereonの多型コレクション一覧から探す。

 

3. BAC内の適当な位置に存在する欠失・挿入型の多型を挟むようにプライマーを設計する。欠失・挿入型多型は10bp以上のものを選び、150〜200bpの断片

が増幅されるようにすると判別し易い。(たまに誤情報である場合がある。エキソン内に欠失・挿入があると示されているものは若干疑わしい。)

 

目 次

 

 


 

SSLPの検出

(担当 林)

1. 次の条件でPCRを行なう。

・反応液組成

試薬

用量

ゲノムDNA

1 µl

10×TAQ バッファー

1.2µl

2 mM dNTP

1.2µl

20µM プライマー (forward)

0.2 µl

20µM プライマー (reverse)

0.2 µl

TAQ ポリメラーゼ

0.2 µl

滅菌水

7.6 µl

Total Volume

12 µl

 

・反応条件

95℃ 1m                45s

次のステップを40サイクル繰り返す

95℃        15s

60℃        15s

72℃        30s

                 ↓

72℃        5m

4℃

 

2. 4% アガロースゲルで電気泳動する。(4% アガロースゲルは、3回まで再利用できる。)

 

3. 泳動像から、用いたマーカーにおける接合の型を判別する。(ホモとヘテロのコントロールを一緒に流しておくと判別しやすい。)

 

 

 

引用・参考文献

新版モデル植物の実験プロトコール 秀潤社(2001)P69-74

 

モデル植物ラボマニュアル 

シュプリンガー・フェアラーク東京(2000)P151

 

目 次


 

CAPS解析

(担当 林)

はじめに

CAPSは、マッピング以外にも、既知の点変異の検出等に頻繁に用いられる。

 

(1) 材料

・ゲノムDNA

・CAPS用プライマー対

・PCR用試薬

・1〜4% アガロースゲル

 

(2) 方法

CAPSまたはdCAPS用プライマーの設計

 

1. 染色体の調べたい位置が、何という名のBACに属するかを調べる。(tairのMap Viewerなどを参照。)

 

2. 調べたBAC名をCereonの多型コレクション一覧から探す。

 

3. BAC内の適当な位置に存在する塩基置換型の多型を選ぶ。この多型が制限酵素の認識配列に含まれるのであれば、これを挟むプライマーを設計する (CAPS)。

増幅断片約500bpが200bpと300bpに切断されるようにすると判別し易い。

また、多型が制限酵素の認識配列に含まれない場合は、片方のプライマーを多型に隣接させて認識配列に組み込む (dCAPS)。例えば下の様なプライマーを用いれば、Lerを鋳型にした場合にのみAfl II 認識配列(C↓TTAAG)が生じ、Afl IIで切断されて短くなる。

 

Col           5’- CGATGACTCGCGGTACATAAACGGAGATAA・・・-3’

Ler           5’- CGATGACTCGCGGTACATAAGCGGAGATAA・・・-3’

プライマー            5’- CGATGACTCGCGGTACTTAA -3’

 

dCAPSはプライマーの長さがバンドのサイズの差となるので、20merくらいのプライマーで増幅断片が150〜200bpになるようにするとよい。

 

目 次

 


 

CAPSの検出

(担当 林)

1. 次の条件でPCRを行なう。

・反応液組成       

試薬

用量

ゲノムDNA

1 µl

10×TAQ バッファー

1.2µl

2 mM dNTP

1.2µl

20µM プライマー (forward)

0.2 µl

20µM プライマー (reverse)

0.2 µl

TAQ ポリメラーゼ

0.2 µl

滅菌水

7.6 µl

Total Volume

12 µl

 

・反応条件

95℃ 1m                45s

                                ↓

次のステップを40サイクル繰り返す

95℃        15s

60℃        15s

72℃        30s(増幅断片の長さによって伸長時間は調節する)

                 ↓

72℃        5m

4℃

 

2. CAPSを認識する制限酵素でPCR産物を処理する。(切れ残りをヘテロと誤解しないよう、処理時間は十分にとる。)

 

3. アガロースゲルで電気泳動する。(バンドのサイズによってアガロース濃度は変える。)

 

4. 泳動像から、用いたマーカーにおける接合の型を判別する。

 

引用・参考文献

新版モデル植物の実験プロトコール 秀潤社(2001)P69-74

 

モデル植物ラボマニュアル 

シュプリンガー・フェアラーク東京(2000)P151

 

目 次

 


 

PCR

(担当 林)

はじめに

基本的なPCRの例を挙げる。

 

(1) 材料

・鋳型DNA

・プライマー対

・10×TAQ バッファー

・dNTP mixture

・TAQ ポリメラーゼ

・滅菌水

 

(2) 方法

次の条件で反応を行なう。(非特異的アニーリングを避けるため、サーマルサイクラーにセットする直前まで反応液は氷上のアイスブロックで冷やす。)

・反応液組成

試薬

用量

鋳型DNA

1 µl

10×TAQ バッファー

1.2µl

2 mM dNTP

1.2µl

20µM プライマー (forward)

0.2 µl

20µM プライマー (reverse)

0.2 µl

TAQ ポリメラーゼ

0.2 µl

滅菌水

7.6 µl

Total Volume

12 µl

 

・サーマルサイクラーのプログラム例(Biometra T GRADIENT

lid temp 105℃, preheating ON                (フタの温度, ホットスタート)

1     95℃       pause

2     95℃       1m45s

3     95℃       15s

4*   58℃       15s                                        

5** 72℃       1m          3              29 (工程3へ29回戻る の意味)

6     72℃       5m

7     4℃          pause

 

 * ア−リング温度はプライマーのTm値により調節

 **伸長時間は1kbあたり1分を目安とする。サイクル数も適宜調節

 

目 次


 

PCR (KOD-Plus-)

 

はじめに

複製エラーが少ないので、長いDNA鎖のPCRクローニングに用いる。

 

(1) 材料

・KOD-Plus- (TOYOBO)

10×PCR buffer for KOD -Plus-

2mM dNTPs(付属のものを用いなくてもよい)

25mM MgSO4

・鋳型DNA

・プライマー対

・滅菌水

 

(2) 方法

1. 次の反応液を調製する。(抗体により酵素の活性が抑制されているので冷却しなくてもホットスタートが可能。)

試薬

用量

鋳型DNA

10pg-200ng

10×TAQ バッファー

5µl

2 mM dNTP

5µl

25mM MgSO4

3µl (final 1.5mM)

20µM プライマー (forward)

1 µl

20µM プライマー (reverse)

1 µl

KOD –Plus-

1 µl

滅菌水

up to 50 µl

Total Volume

50 µl

(Mg濃度が活性に大きく影響するので、終濃度1〜2mMで条件検討。)

 

2. 次のサイクル条件で反応させる。

94℃              2m(抗体の変性)

        ↓

次の3ステップを25〜30サイクル

94℃              15s

(Tm−5)℃      30s

68℃              1m/kb

 

引用・参考文献

KOD -Plus- PCR等実施例集 TOYOBO  P2

 

目 次


 

制限酵素処理

(担当 林)

はじめに

ここでは主にTakaraの制限酵素をとりあげて基本的な扱い方を説明するが、NEBなど他社の製品に関しても、扱い方や注意点は同様である。

 

(1) 材料

・DNA

・制限酵素

・制限酵素用バッファー

・滅菌水

・BSA(酵素の種類と反応条件によっては添加。TaKaraの製品は10×で、NEBの製品は100×なので注意。)

・Triton X-100(酵素の種類と反応条件によっては添加。)

 

(2) 方法

1. 用いる制限酵素に適したバッファーを解凍しよく混和して均一にする

 

Single Digestion(1種類の制限酵素でDNAを切断)の場合

バッファーは基本的に製品に添付されたUniversalBufferでよいが、活性を改善したい場合は各酵素特異のBasal Bufferを用いる。Basal bufferについては製品のカタログを参照。

 

Double Digestion(2種類の制限酵素を同時に用いてDNAを切断)の場合

各制限酵素の組合わせで推奨されるUniversal Bufferは製品カタログの表を参照。中には互いの至適条件が相容れない組合わせもあり、このような場合は表に示されたバッファーでも活性が低い。各Unversal Bufferにおける各制限酵素の活性を示す表も参照してどの程度の活性が見込めるかを確認する。

 

2. 以下の反応液を調製する。(以下に示すのはUniversal Bufferを1×濃度で用いる場合。Double Digestionなどで0.5×と書かれている場合は1×濃度の半分だけ用いる。)

試薬

用量

DNA

 

10×Universal Buffer

5µl

BSAまたはTriton X-100(必要な場合)

10×なら5 µl, 100×なら0.5µl

制限酵素

〜1 U / DNA 1µg

滅菌水

Up to 50 µl

Total Volume

50 µl

 

DNAはできるだけ最後に加えるようにする。

Takaraの制限酵素1Uは、反応液50µl中、各酵素で推奨された反応温度で1時間処理した場合に1µgのλDNAを完全分解できる酵素量とされている。目的のDNAがこの効率で分解できるとは限らず、必ずしもこの定義に従う必要はない。しかし、過剰な制限酵素は認識部位の特異性を損なう場合があるため、これを目安にしてDNA量と反応液volumeから使用する酵素量を検討すること。反応液のスケールは上記のものより小さくてもよい。

 

3. 各制限酵素で推奨された反応温度で処理する。(必要な反応時間は反応液の組成やDNAの質によって異なるため一概には言えない。数時間で十分な場合が多いが、一晩必要な場合もある。)

 

 

 

注)制限酵素の使用に際するその他の注意点

 

メチル化の影響

大腸菌から抽出したプラスミドはメチル化を受けている場合があり、これによりいくつかの制限酵素は配列を認識して切断することが出来なくなる。大腸菌のメチラーゼではDamやDcmがよく知られており、これらにより各制限酵素が受ける影響については製品カタログに記されているので確認しておく。

 

Star活性

制限酵素は特定の反応条件下で本来の認識配列とは異なる配列を切断する場合がある。グリセリン濃度、pH、塩濃度などが主要な原因として挙げられる。特に知られているものに関しては製品カタログに列挙されている。

 

DNA鎖末端の認識配列

制限酵素が認識配列を切断するには、認識配列の前後にある程度の長さのDNA鎖が必要である場合が多い。多くの制限酵素は+3塩基対ほどで十分だが、中にはもう少し長いDNA鎖を必要とするものもある。PCRのプライマーに認識配列を組み込む場合など、DNA鎖の末端付近に認識配列が現れる際は注意する。

 

 

 

引用・参考文献

TaKaRa BIOTECHNOLOGY CATALOG

 

目 次

 

 


 

アルカリホスファターゼ処理

(担当 林)

はじめに

ベクタープラスミドのセルフライゲーションを減らしたいときに行なう。

ここではタカラのBAP, CIAPを取り上げる。

 

(1) 材料

・Alkaline Phosphatase (BAPまたはCIAP) (TaKaRa)

・DNA断片

・滅菌水

・フェノール/クロロホルム (1:1)(基本試薬)

・クロロホルム

・エタノール

・70% エタノール

・3M 酢酸ナトリウム(基本試薬)(オートクレーブ)

・TE バッファー(基本試薬)(オートクレーブ)

 

(2) 方法

1. 以下の反応液を調製する。

試薬

用量

DNA断片

1〜20 pmol

10×Alkaline Phosphatase buffer

5 µl

BAP またはCIAP

1〜2 µl

滅菌水

up to 50µl

Total Volume

50 µl

 

 

 

 

 

 

 

2. BAPの場合、37〜65℃で30分

  CIAPの場合、37か50℃で30分、または37℃で15分後、50℃で15分

 

3. フェノール/クロロホルム抽出を2回行なう。

 

4. クロロホルム抽出を1回行なう。

 

5. エタノール沈澱を行なう。

 

6. TEに沈澱を懸濁

 

引用・参考文献

TaKaRa BIOTECHNOLOGY CATALOG

 

目 次

 


 

5’ 突出末端の平滑化 (Klenow処理)

(担当 林)

はじめに

制限酵素処理によって生じた付着末端を、5’→3’ DNAポリメラーゼ活性によって平滑末端に修復したいときに行なう。Klenow Fragmentは3’-exonuclease活性も持っており、過剰に添加すると修復効率がむしろ低下するので注意。

 

(1) 材料

・Klenow Fragment

・DNA

・dNTPs

・滅菌水

 

(2) 方法

1. 次の反応液を調製する。

試薬

用量

DNA

1 µg

10×Klenow buffer

2.5 µl

2.5mM dNTPs

2 µl

Klenow Fragment

0.1 U / DNA 1µg

滅菌水

up to 25 µl

Total Volume

25 µl

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 37℃で10〜30分

 

3. 70℃で10分(熱失活。必要があればフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈澱を行なう。)

 

引用・参考文献

TaKaRa BIOTECHNOLOGY CATALOG

 

目 次

 


 

ライゲーション

(担当 林)

 

(1) 材料

・LigaFastTM Rapid DNA Ligation System (Promega)

・vectorDNA

・insert DNA

・滅菌水

 

(2) 方法

1. 次の反応液を調製する。

試薬

用量

VectorDNA

(4−insertDNA) µl

InsertDNA

(4−vectorDNA) µl

2×Rapid Ligation buffer

5 µl

T4 DNA Ligase

1 µl

Total Volume

10 µl

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 室温で1時間(反応後、このまま形質転換に用いる。)

 

 

引用・参考文献

Promega 製品マニュアル

 

目 次

 

 


 

エレクトロポレーション用コンピテントセルの作製

(担当 林)

はじめに

培養前のコンタミ防止、常に冷やすこと、LB液体培地の除去を心掛ける。

 

(1) 材料

・形質転換用大腸菌

・LB液体培地(基本試薬)

・10% グリセロール(オートクレーブ滅菌)

・滅菌水

・500ml遠心チューブ(オートクレーブ滅菌)

 

(2) 方法(100本位つくる場合)

1. シングルコロニー由来の大腸菌をLB液体培地5mlで前培養する。

 

2. LB液体培地500mlに前培養液を加え、OD600が0.5〜0.8になるまで37℃で振盪培養する。

 

3. 氷水中に15分置く。

 

4. 500mlの遠心チューブに移し、6,000rpm, 4℃で10分 遠心する。

 

5. 上清を捨て、冷えた滅菌水500mlで沈澱を懸濁する。

 

6. 6,000rpm, 4℃で10分 遠心する。

 

7. 上清を捨て、冷えた滅菌水250mlで沈澱を懸濁する。

 

8. 6,000rpm, 4℃で10分 遠心する。

 

9. 上清を捨て、冷えた10%グリセロール20mlで沈澱を懸濁する。

 

10. 50mlチューブに移し、6,000rpm, 4℃で10分遠心する。

 

11. 上清を捨て、冷えた10%グリセロール2mlで沈澱を懸濁する。

 

12. エッペンドルフチューブに40µlずつ分注し、液体窒素で凍結させる。(液体窒素を注いだフリーズボックスにチューブを立てていけば破裂しない。)

 

13. −80℃で保存

 

目 次


 

大腸菌の形質転換

(担当 林)

(1) 材料

・コンピテントセル

・導入するDNA

・キュベット

・LB液体培地

・選択用LB寒天培地

 

(2) 方法

1. キュベットを氷上に置き、冷やす。

 

2. コンピテントセル入りチューブを氷上に置き、解凍する。

 

3. 解凍後すぐにプラスミド溶液またはライゲーション産物を1µlほど加えて懸濁し、キュベットに移す。

 

4. Micro Pulserにセットし、「Ec1」モード(settingsボタンで選択)にしてPulseボタンを押す。(パチッという大きな音が鳴ったときは失敗。キュベットと電極の接触不良改善や気泡の除去を行ない、もう一度Pulseボタンを押す。)

 

5. 通電後すぐにLB液体培地を1ml加えて懸濁し、液をチューブに移す。

 

6. 37℃で30~60分培養する。(Ampで選択する場合は省略可。)

 

7. 遠心して上清を捨て、残ったLBに菌を懸濁してLB寒天培地(選択薬剤入り)にコンラージ棒で塗布する。

 

8. 37℃で16時間程培養

 

目 次

 


 

コロニーPCR

(担当 林)

はじめに

形質転換体に目的のDNAが存在するか、DNA抽出を行なわずに調べる手段。

目的の形質転換体コロニーを選抜するのに用いる。

 

(1) 材料

・形質転換体のコロニー

・PCR mixture

・選択用LB寒天培地

・滅菌水

・電気泳動用アガロースゲル

 

(2) 方法

方法1(通常は方法2を用いる。)

1. 菌のコロニーを滅菌水50µlに懸濁する。

 

2. 菌懸濁液1µlを鋳型として、目的のDNAに特異的なプライマーでPCRをかける。

 

3. PCR産物を泳動して、陽性のコロニーを判別する。

 

4. 菌懸濁液をLB液体培地に植菌すればすぐに培養を開始できる。

 

方法2

1. PCRのmixture(鋳型DNAの代わりに水を入れる)をPCRチューブに分注する。

 

2. 爪楊枝を用いてコロニーを新しい選択培地に軽く塗り付け(レプリカ)、続けてPCRチューブに浸して菌体を懸濁する。

 

3. PCRをかける。

 

4. PCR産物を泳動して、陽性のコロニーを判別する。

 

5. 培養したレプリカを植菌して培養する。

 

目 次

 


 

プラスミドの調製 (mini-prep)

(担当 林)

はじめに

以下の方法で得られたプラスミドはシークエンシング反応に使える。

 

(1) 材料

・プラスミド保有菌

・LB液体培地(選択薬剤入り)

・Solution 1(オートクレーブ滅菌)

50mM グルコース

25mM Tris-HCl pH8.0

10mM EDTA

・Solution 2(古くなったものはニックの原因となるので用いない。)

0.2N NaOH

1% SDS

・Solution 3

5M 酢酸カリウム pH5.2

・MiniPrep Express Matrix (Q-BIOgene)

・クロロホルム

・80% エタノール

 

(2) 方法

1. プラスミド保有菌を選択薬剤を含むLB液体培地2mlで一晩培養する。

 

2. エッペンドルフチューブに移し、集菌する。

 

3. Solution 1を100µl加えて沈澱を完全に懸濁する。

 

4. Solution 2を200µl加えて転倒混和させる。

 

5. Solution 3を150µl加えて転倒混和させる。

 

6. クロロホルムを10µl加えて混和させる。(沈澱がまとまり易い。省略可。)

 

7. 15,000rpm、室温で10分 遠心する。

 

8. 上清を得て新しいチューブに移す。

 

9. MiniPrepExpress Matrixをよく混ぜてから400µl加え、混和させる。

 

10. 遠心してマトリックスをペレットにして、上清を捨てる。

 

11. 80% エタノールを500µl加え、マトリックスを懸濁する。

 

12. 遠心してマトリックスをペレットにして、上清を除く。

 

13. 乾燥させてエタノールを除く。

 

14. TE 80µlを加えて懸濁する。

 

15. 遠心してマトリックスをペレットにする。

 

16. 上清を得て、プラスミド懸濁液とする。

 

17. RNaseを加えて37℃で30分 置く。(Solution1に加えておいてもよい。)

 

18. −20℃で保存

 

目 次

 

 

 

 


 

プラスミド調製 (midi)

(担当 林)

はじめに

純度の高いプラスミドを大量に調製したい場合に用いる。コピー数の高いプラスミドであれば数百µgは得られる。

 

(1) 材料

・50mlファルコンチューブ 1本

・遠心チューブ(オートクレーブ滅菌)2本

・Midi-V100 Ultrapure Plasmid Extraction System (VIOGENE)(VP1は開封時にRNase Aを加え、4℃で保存。)

 

(2) 方法

1. 目的のプラスミド保有菌をLB液体培地(選択薬剤入り)50〜100mlで一晩培養する。

 

2. 6,000×gで15分 遠心して集菌する。(ファルコンチューブ)

 

3. VP1バッファー 4mlで菌体を懸濁する。(遠心チューブに移す)

 

4. VP2バッファー 4mlを加えて穏やかに混和させる。

 

5. 5分 静置する。

 

6. 氷冷したVP3バッファー 4mlを加えて穏やかに混和させる。

 

7. 20,000×g、4℃で15分 遠心する。

 

8. VP4バッファー 10mlをMidi-V100カラムに通し、ろ液を捨てる。(100ml三角フラスコをスタンド兼ろ液受けにする。)

 

9. 遠心後の上清をカラムに通し、ろ液を捨てる。

 

10. VP5バッファー 15mlをカラムに通し、ろ液を捨てる。

 

11. VP6バッファー 5mlをカラムに通し、DNA溶出液を新しい遠心チューブで回収する。

 

12. イソプロパノール 3.75mlをDNA溶出液に加え、混和させる。

 

13. 15,000×g、4℃で30分 遠心し、上清を捨てる。

 

14. 70% エタノールを5ml加える。

 

15. 15,000×g、4℃で10分 遠心し、上清を除く。(ペレットがはがれているときがあるので、一緒に捨ててしまわないように注意。)

 

16. 風乾し、沈澱をTE 100µlに懸濁する。

 

 

引用・参考文献

製品マニュアル

 

目 次

 


 

ゲルからのDNA抽出

GENECLEAN SPIN Kitを使用)

(担当 村山)

(1) 材料

・1% アガロースゲル

・GENECLEAN SPIN Kit

GENECLEAN SPIN GLASSMILK

SPIN Filter

Catch Tube

GENECLEAN SPIN NEW Wash

(最初に使用する前に、エタノールを加える。)

GENECLEAN SPIN Elution Solution

 

(2) 方法

1. 目的のDNA断片を1%アガロースゲルで電気泳動。

 

2. UV照射下で目的のバンドを切り出す。ゲルは300mg、DNAは50ug以下にする。

 

3. 55℃を用意。

 

4. GENECLEAN SPIN GLASSMILKをよく撹拌して溶かす。

 

5. SPIN Filterに400ulのGENECLEAN SPIN GLASSMILKを加える。

 

6. SPIN Filterに切り出したゲルを入れる。

 

7. 55℃で5分間処理してゲルを溶かす。1分おきにtappingで撹拌。

 

8. 室温、14,000gで1分間遠心してCatch Tubeの液を捨てる。

 

9. 500ulのprepared GENECLEAN SPIN NEW Washを加える。

 

10. 室温、14,000gで30秒間遠心してCatch Tubeの液を捨てる。

 

11. さらに室温、14,000gで2分間遠心。

 

12. SPIN Filterを新しいCatch Tubeに移す。

 

13. 15ulのGENECLEAN SPIN Elution Solutionを加えてpipettingでpelletを良く溶かす。

 

14. 室温、14,000gで1分間遠心。溶出したDNAがCatch Tubeにくる。

 

15. SPIN Filterを捨てる。

 

16. 電気泳動や分光光度計で濃度を確認する。

 

引用・参考文献

GENECLEAN SPIN Kit  APPLICATION MANUAL

 

目 次

 


 

シークエンス

(担当 村山)

はじめに

シークエンスに用いる鋳型は、事前にPCRで増幅したものを用いる場合は、1つのサンプルにつき3本独立に増幅してその混合液を以下の反応に用いて、PCRエラーが変異のように見えてしまうのを防ぐ。

 

 

(1) 材料

(1-1) PCR反応

・Big Dye (Cycle Sequencing Mix)

 (ABI PRISM BigDye Terminator v3.1 Cycle Kit)

・5×sequence buffer

・4pM Primer

(1-2) エタノール沈殿

・125mM EDTA(オートクレーブ滅菌)

・3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2) (基本試薬)(オートクレーブ滅菌)

・エタノール

・80% エタノール

(1-3) サンプル調整

・Hi Di formamide

 

(2) 方法

(2-1) PCR反応

試薬

容量

Template DNA

*

Big Dye (Cycle Sequencing Mix) 

1μl

5×sequence buffer

1.5μl

4pM Primer

0.8μl

H2O

up to 10μl

 

  * Single stranded DNA         25-50ng

   Double stranded DNA      150-300ng

   PCR products (100-200bp)      1-3ng

                (200-500bp)     3-10ng

                (500-1000bp)    5-20ng

                (1000-2000bp)  10-40ng

                (>2000bp)      20-50ng

 反応条件

  96℃  pause

    96℃  10sec

    50℃  5sec         25~30 cycles

    60℃  4min

     4℃  pause

 

(2-2) エタノール沈殿

1. PCR反応液を1.5ml eppen tubeに移す。

 

2. 1μlの125mM EDTAを加える。

 

3. 1μlの3M NaAcetasteを加えて撹拌。

 

4. 25μlのエタノールを加えて撹拌。

 

5. 遮光して室温で15分間静置。

 

6. 室温、15,000rpmで20分間遠心。

 

7. 上清を除く。

 

8. 70μlの80%エタノールを加える。

 

9. 室温、15,000rpmで5分間遠心。

 

10. 上清を除き、デシケーターで10分間乾燥させる。

 

11. サンプル調製へ。

または-30℃で保存(ready for sequenceの箱に入れておく)。

 

(2-3) サンプル調製

1. 95℃を用意する。

 

2. Dry upしたサンプルに15ulのHi Di formamideを加える。

 

3. よく撹拌またはピペッティングして溶解させる。

 

4. シークエンス用プレートに移す。

 

5. 2,000rpmでspin down

 

6. ゴム蓋を閉める。

 

7. 95℃で2分間処理し、すばやく氷上に移して急冷。

 

8. シークエンサー(ABI3100)にセットする。

 

(2-4) シークエンサー(ABI3100)へのセット(初めてのときは経験者と行ってください)

1. ポリマー、Bufferの確認。5runごとにbufferと水を交換する。ポリマーが少ない場合は交換できる人に頼む。

 

2. Plate Baseにサンプルプレートをセットする。

 

3. サンプルをシークエンサーにセット(1runなら左に置く)。

 

4. Data collectionを起動。

 

5. plate viewタブを選択し、plate view画面を表示。

 

6. 左下のNewボタンをおし、plate editorダイアログを表示。

 

7. name of plateボックスにplate recordの名前を入力。

 

8. finishボタンをクリックすると、plate editorダイアログが開く。

 

9. Sample Nameにサンプル名を記入。

 

10. Dye SetはZを選択。

 

11. Mobility Fileは3100POP6{BD}v3.mobを選択。ただし、Mobility Fileは反応試薬によって変わる。

 

12. Project Nameは3100Projectを選択。

 

13. Run Module1はStdseq50- POP6 DefaultModuleを選択。

 

14. Analysis ModuleはBC-3100SR-seqffFtOffを選択。

 

15. OKをクリック。

 

16. Pending Plate Recordテーブルに新しいplate recordが加わっているのでこれをクリックすると下の欄に名前が表示され、下のプレートの色が変わる。

 

17. プレート図をクリックして選択すると、画面上のスタートボタンが緑色の使用可能状態になる。スタートボタンをクリックして反応開始。

 

18. 反応中はStatus viewを開いておく。

 

 

(2-5) データの取り出し

1. 処理したいサンプルファイルをSample Managerウインドウに加える。

 

2. 一番右端のFactura Setting FileをSeq Textにする。

 

3. sample nameの横のA/F/Pをチェックする。

 

4. 印刷が終了したら、データを抽出。

 

引用・参考文献

1.    Quick Reference Guide BigDye Terminator v3.1/1.1 Cycle Sequencing Kit

2.    3100 GeneScan簡易操作ガイド

 

目 次

 


第三章  RNAを扱う実験

 

RNA抽出 (フェノール/SDS法)

(担当 西村)

はじめに

RT-PCRに用いるサンプル抽出などの場合使う。

種子や鞘などQiagen RNeasy Plant Mini kitで取りにくいサンプルでも用いる。

一回の作業で24サンプル位取ることが可能。

RNAの扱いなので、作業は注意する。

 

(1) 材料

・RNA抽出バッファー (オートクレーブ滅菌)

100mM Tris-Hcl (pH8.0)

10mM EDTA (pH 8.0)

100mM LiCl

1% SDS

・2M LiCl solution (オートクレーブ滅菌)

2M LiCl

50mM EDTA (pH 8.0)

10M LiCl (オートクレーブ滅菌)

4M LiCl (オートクレーブ滅菌)

TE (オートクレーブ滅菌)

水飽和フェノール (基本試薬)

クロロホルム(正式にはクロロホルム/イソアミルアルコール24:1だが、後者は無くても問題ない。) 

フェノール/クロロホルム (基本試薬)

3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2) (基本試薬)(オートクレーブ滅菌)

エタノール

70% エタノール

2.0ml エッペンチューブ

 

(2) 方法

スモールスケール

 

1. 液体窒素であらかじめ冷やしておいた乳ばちにサンプルを入れ、液体窒素を加え完全につぶし、2mlのエッペンチューブに移す(サンプルは1ml位にまで。およそ100-150mg)。1サンプル当たり、3週間の植物体で約1.5~2個体を用いることになる。

 

2. 400µlの抽出バッファーとそれと等量の水飽和フェノールを加え、よく撹拌する。

 

3. フェノールと等量のクロロホルムを加え、再度良く撹拌し、遠心分離(12,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

4. 上層(水層)新しい2mlエッペンに移し、等量の水飽和フェノール、クロロホルムをそれぞれ加え、良く撹拌し、遠心分離(12,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

5. 4をもう一度繰り返す(Option)。

 

6.上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、1/3vol.(120µl位)の10M LiClを加え混和後、-80℃で1時間以上静置後(個人的にはover night)、遠心分離(15,000rpm, 30min, 4℃)する。

 

7.沈澱に400µl の2M LiCl solutionを加え、よく懸濁し(ピペッティング)、再び遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

8. 7を繰り返す(少なくとも1回。2~3回やると良い)。

 

9. 沈澱を400µlのTEで溶かし、等量のフェノール/クロロホルム溶液を加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

10. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、等量のフェノール/クロロホルム溶液を加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

11. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、等量のクロロホルムを加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 5min, 4℃)する。

 

12. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、等量の4M LiClを加え、-80℃で1時間静置後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する(Option)。

 

13-1. 12を省いた場合、上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、1/10 vol.(約30µl) 3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2)、2.5vol. (約750µl) エタノールを加え撹拌後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

13-2. 12を行った場合、沈澱を300mlのTEで溶かし、1/10 vol.(約30µl) 3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2)、2.5vol. (約750µl) エタノールを加え撹拌後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

14. 上層を捨て、450µlの70%エタノールを加え、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

15. 沈澱をTEまたは滅菌水で溶かし(50~100µl)、分光光度計で濃度を測定し、アガロースゲルで各サンプル200ngずつ泳動し、サンプルを確認後、-80または-20℃で保管する。

 

引用・参考文献

新版植物のPCR実験プロトコール 秀潤社 (1997) P54-56

 

目 次

 

Beaderを使う方法

beads beaderでcrash 15 sec

100 ul extraction buffer + 100 ul phenol

crash again

Add 300 ul buffer + 300 ul phenol

crash again

65 °C for 15 min

Cfg at room temp, max 5 min

Chloroform extraction

Cfg at room temp, max 5min

Add EtOH 1ml

-20 °C for several hr ~ o/n

Cfg at 4°C, max 15 min

wash with 70% EtOH, Cfg

resuspend in 75 ul H2O

Add 75 ul 4M LiCl

4°C for 6 hr

Cfg at 4°C, max 15 min

wash with 70% EtOH

resuspend 200 ul H2O.

Phenol/Chloroforom extraction

Chloroform extraction

EtOH/70% wash

resuspend in 20~30 ul H2O


 

RNA抽出 (ATA

(担当 西村)

はじめに

ATA(Aurintricarboxylic acid)は強力な核酸とタンパク質の相互作用の阻害剤であり、RNaseの阻害剤としても働く。しかし、ATAは逆転写を阻害するため、RT-PCRやcDNAの精製などに用いることはできない。

 

(1) 材料

・抽出バッファー

50mM Tris-Hcl (pH8.0)

5mM EDTA (pH 8.0)

0.3M NaCl

2% SDS

2mM ATA

14mM 2-メルカプトエタノール

(2mM ATAと14mM 2-メルカプトエタノールを加える前にオートクレーブし、2mM ATAと14mM 2-メルカプトエタノールは抽出前に準備する。)

3M KCl

8M LiCl

5M NaCl

TE飽和フェノール

エタノール

70% エタノール

 

(2) 方法

 

1. 液体窒素であらかじめ冷やしておいた乳ばちにサンプルを入れ(0.5~2.0mgまで)、液体窒素を加え完全に潰し、抽出バッファーを15ml加え、乳ばちでよく混ぜる。

 

2. 2mlの3M KClを入れた50mlチューブ(新品)に乳ばちからサンプルを移し混合後、氷中に10分間放置する。

 

3. 4℃、8000rpmで5分間遠心する。

 

4. 上清を5mlの8M LiClを入れた50mlチューブ(新品)にサンプルを移し混合し、4℃で一晩静置する。

 

5. 4℃、8000rpmで15分間遠心する。

 

6. 沈澱を2mlの滅菌水に溶かし、2mlのTE飽和フェノールを入れておいた15mlチューブ(新品)に移し、混合する。

 

7. 4℃、3500rpmで15分間遠心する。

 

8. 200mlの5M NaClと5mlのエタノールを入れておいた15mlチューブ(新品)に移し、よく混合する。

 

9. –80℃で1時間静置する。

 

10. 4℃、3500rpmで30分間遠心する。

 

11. 70%エタノールで沈澱をリンス後、4℃、3500rpmで5分間遠心する。

 

12. 沈澱に400ml の2M LiCl solutionを加え、よく懸濁し(ピペッティング)、1.5mlチューブに移し、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

13. 12をもう一度行う(Option)。

 

14. 沈澱を400mlのTEで溶かし、等量のフェノール/クロロホルム溶液を加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

15. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、等量のフェノール/クロロホルム溶液を加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する(Option)。

 

16. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、等量のクロロホルムを加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 5min, 4℃)する。

 

17. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、等量の4M LiClを加え、-80℃で1時間静置後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する(Option)。

 

18-1. 17を省いた場合、上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、1/10 vol.(約30ml)、2.5vol. (約750 ml)を加え撹拌後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

18-2. 17を行った場合、沈澱を300mlのTEで溶かし、1/10 vol.(約30ml) 3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2)、2.5vol. (約750 ml) エタノールを加え撹拌後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

19. 上層を捨て、450 mlの70%エタノールを加え、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

20. 沈澱をTEまたは滅菌水で溶かし(50~200 ml)、分光光度計で濃度を測定し、アガロースゲルで各サンプル200ngずつ泳動し、サンプルを確認後、-80または-20℃で保管する。

 

引用・参考文献

モデル植物ラボマニュアル シュプリンガー・フェアラーク東京 (2000) P181-183

 

目 次

 


 

RNA抽出 (RNeasy Plant mini kit

(担当 西村)

はじめに

RNeasy Plant mini kitはQiagenより発売されているRNA抽出キットである。値段は高いが、早く高品質なRNAを得ることができる。また、RNeasyミニスピンカラム(ピンク)は他の方法で抽出したRNAの精製にも使用可能である。特に、Gene chipなどに用いるサンプルはこのカラムを使い、高品質なRNAにしておく必要がある。

 

(1) 材料

RNeasy Plant mini kit (Qiagen)

 

 

(2) 方法

1. 液体窒素であらかじめ冷やしておいた乳ばちにサンプルを入れ(100mgまで)、液体窒素を加え完全につぶし、エッペンチューブ(各自準備)にサンプルを薬さじで入れ、その後450mlのRLTまたはRLCバッファーを加える(あらかじめRLTまたはRLCに1%β-Mercaptethanolを加えておく)。

 

2. 激しくボルテックスをする(ここで56℃、1-3分保温すると組織がよく壊れるが、でんぷんが多い試料はでんぷんが膨張するのでやらないこと。

 

3. QIA shredderスピンカラム(紫色)にサンプルを入れ、遠心(15,000rpm, 2min, 室温)する。

 

4. コレクションチューブの沈澱を取らないように注意しながら上清を新しいエッペンチューブ(各自準備)に回収する。

 

5. 回収した上清に0.5倍量(通常225ml)のエタノールを加え、ピペッティングして混ぜる。

 

6. RNeasyミニスピンカラム(ピンク色)にサンプル(通常675ml)を入れ、遠心(10,000rpm, 10sec, 室温)する(もし、700ml以上の用量を入れる場合、何回かに分けて遠心する。コレクションチューブの液はその度に捨てる。)。

 

7. コレクションチューブの液を捨て、カラムにRWバッファーを700ml加え、遠心(10,000rpm, 15sec, 室温)する。

 

10. RNeasyミニスピンカラム(ピンク色)を新たなコレクションチューブに入れ、500mlのRPEバッファー(エタノールが加えられているもの)をカラムに加え、遠心(10,000rpm, 15sec, 室温)する。

 

11. コレクションチューブの液を捨て、カラムに500mlのRPEバッファーを加え、遠心(15,000rpm, 2min, 室温)する。

 

12. カラムを新しい1.5mlのコレクションチューブに入れ、30-50mlのRNase free滅菌水をRNeasyカラムの膜に直接のせ、1分間静置した後、遠心(10,000rpm, 1min, 室温)する。RNAの収量が20mg以上なら、繰り返し溶出すると回収率は上がる(Option)。

 

13. RNAサンプルは分光光度計で濃度を測定し、アガロースゲルで各サンプル200ngずつ泳動し、サンプルを確認後、-80または-20℃で保管する。

 

引用・参考文献

RNeasy MiniHandbook (Qiagen) P75-78

 

目 次

 


 

DNase処理

(担当 西村)

はじめに

抽出したRNAサンプルにはDNAのコンタミが多少存在する。半定量RT-PCRを行う場合、このDNAのコンタミが実験結果に大きな影響を与える。そこで、半定量RT-PCRに用いるサンプルRNAは必ずDNase処理する。今回はRNAを1mg使う方法を記載したが、通常3-5mg用いて行う。その場合、方法(1)の試薬の量をそれぞれ増やせば良い。

 

(1) 材料

DNase (Promega)

RNase inhibitor (Wako)

 

(2) 方法

1. PCRチューブまたはエッペンチューブに下に示す試薬とRNAを準備する。

 

試薬

用量

RNA sample (1mg)

Xml

RQ1 RNase-Free DNase 10X Reaction Buffer

1ml

RQ1 RNase-Free DNase (1U/mgRNA)

1ml

RNase inhibitor (23U/ml)  (Option)

0.1ml

滅菌水or TE

8−Xml

Total

10ml

 

2. 37℃で30分間酵素処理を行う。

 

3. 1ml RQ1 DNase Stop solutionを添加し、65℃で10分間処理する。

 

4. エッペンにサンプルと390mlのTEを加え、等量のフェノール/クロロホルム溶液を加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

5. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、等量のクロロホルムを加え、よく撹拌した後、遠心分離(15,000rpm, 5min, 4℃)する。

 

6. 上層(水層)新しい1.5mlエッペンに移し、1/10 vol.(約30ml) 3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2)、2.5vol. (約750 ml) エタノールを加え撹拌後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

7. 上層を捨て、450 mlの70%エタノールを加え、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

20. 沈澱をTEまたは滅菌水で溶かし(10 ml)、分光光度計で濃度を測定し、アガロースゲルで各サンプル200ngずつ泳動し、サンプルを確認後、-80または-20℃で保管する。

 

引用・参考文献

RQ1 RNase-Free DNase (Promega)添付のプロトコール

 

目 次

 

 


 

RT-PCR

(担当 西村)

はじめに

Primerは用途に合わせてしよう。通常はOligo(dT) Primerを使用する。しかし、器官やストレス処理でTubulinやActinなどがコントロールとして使用できず、コントロールに18S rRNAを用いる場合はRandom Primerを使用すること。

 

(1) 材料

ReverTra Ace (TOYOBO)を使用

試薬

用量

RNase Free 滅菌水

4−X ml

5×RT Buffer

4 ml

2 mM dNTP

10 ml

RNase inhibitor (option)

 

Primer

Random Primer (50ng/ml)

Oligo(dT) Primer (25pmol/ml)

1 ml

RNA sample (1mg以下)

X ml

ReverTra Ace

1 ml

Total Volume

20ml

Random PrimerはInvitrogenのRandom hexemerを使用。

 

(2) 方法

 

1. (8連)PCRチューブに材料で書いたサンプル量(2倍量までOK)でそれぞれ準備する。

 

2. RT-PCR反応を行う。反応時間は

(30℃ 10min (Random Primerの使用時のみ))

42℃ 20min

95℃ 5min

4℃ 5min

 

3. 反応したサンプルに60ml TEを加え(4倍希釈)、その後の半定量性PCRのテンプレートとして1ml or 2ml使用する。その他は用途に合わせて使用。

 

引用・参考文献

ReverTra Ace (TOYOBO)添付のプロトコール

 

目 次

 


 

半定量RT-PCR

(担当 西村)

はじめに

半定量RT-PCRはノーザンハイブリダイゼーションに比べ、約1000倍の検出感度を示す。しかし、PCRの性質上、増幅産物がある限度を超えてしまうと増幅率が低下してしまい、初期鋳型量を反映しない結果を導きだす恐れがある。その点注意する必要がある。PCR方法は通常のPCRと変わらないので、PCRの項目を参照。ここでは注意点のみを述べる。

 

注意点

コントロールにはb-TUBLIN、ACTIN、18s rRNAなどを用いる。器官やストレス処理により、b-TUBLINは発現量が変化していることがあり、そのような場合は18s rRNAを用いる。18s r RNAを用いる場合、RT-PCRのときRandom primerを用いる。また、18s r RNAは発現量が非常に高いためPCRサイクルは20回程度で良い。

 

目 次

 


 

Gene chip

(担当 西村)

Affymetrix社から発売されているGene chipは網羅的発現解析が可能である。

 

(1) 材料

SuperScript Double-Stranded cDNA Synthesis Kit (Invitorogen)

Bio Array High yield (Enzo life science)

RNeasy Plant mini kit (Qiagen)

 

(2) 方法

 

(2-1) First-strand Synthesis 

SuperScript Double-Stranded cDNA Synthesis Kit (Invitorogen)を使用。

 

1. エッペンチューブに下に示すPrimer, Total RNA, RNase free滅菌水を準備する。

100pmol/ul Primer

1ml

16mg Total RNA

Xml

RNase free滅菌水

11−Xml

Total volume

12ml

 

2. サンプルをHeat block (70℃, 10min)で処理後、氷中に立てる(3min)。その後、次の試薬を加える。

5 X first-strand Reaction Buffer

4ml

0.1M DTT

2ml

10mM dNTP mix

1ml

Total volume

19ml

 

3. ボルテックスをし、軽く遠心し、サンプルをWater bath (45℃, 2min)で処理する。

 

4. SuperscriptTM・を1ml加え、ゆっくり混ぜ、そのままサンプルをWater bath (45℃, 1h)で酵素反応を行う。Total volumeは20mlになっている。

 

(2-2) Second-strand Synthesis

SuperScript Double-Stranded cDNA Synthesis Kit (Invitorogen)を使用。

 

1. 酵素反応を行った20mlのfirst-strand反応液に下の試薬を氷中で入れる。

RNase free water

91ml

5 X Second-strand Reaction Buffer

30ml

10mM dNTP mix

3ml

E. coli DNA Ligase (10U/ml)

1ml

E. coli DNA Polymerase ・ (10U/ml)

4ml

E. coli RNaseH (2U/ml)

1ml

Total volume

150ml

 

2. ボルテックスをし、Cool bath(16℃, 2h)で反応させる。16℃から温度が上がらないように注意する。

 

3. 2h後、1ml T4 DNA Polymerase (10U/ml)を加え、さらにCool bath(16℃, 5min)反応させる。

 

4. 反応を停止させるため、0.5M EDTAを10ml加える。

 

5. 160mlフェノール/クロロホルムを加え、ボルテックス後、遠心(14,000×g, 5min, 室温)する。新しいエッペンチューブに140ml上清を入る(中間層を取らないように注意する。

 

5.7.5M NH4OAcを10ml加え、冷えたエタノール0.5mlを加え、ボルテックス後、遠心(14,000×g, 20min, 室温)する。

 

6. ぺレットに0.5mlの冷えたエタノールを加え、遠心(14,000×g, 2min, 室温)する。

 

7. ぺレットを乾燥し(37℃、10min)、RNase free滅菌水を12ml加える。

 

(2-3) cRNA合成

Bio Array High yield (Enzo life science)を使用

 

1. (2-2)で作成した10mlに溶かしたcDNAのうち5mlを用い, エッペンチューブに下に示試薬を準備する。

Template cDNA

5ml

滅菌水

17ml

10 X HY Reaction buffer (Vial1)

4ml

10 X Biotin-Labeled Ribonucleotides  (Vial2)

4ml

10 X DTT  (Vial3)

4ml

10 X RNase Inhibitor mix (Vial4)

4ml

20 X T7 RNA polymerase (Vial5)

2ml

Total

40ml

 

2. ゆっくり混ぜ、スピンを行う。

 

3. サンプルをWater bath (30℃, 4~5hours)で処理する(30~45分ごとに軽く混ぜる)。

 

4. サンプルはすぐに用いない場合、-30℃か-80℃に保存する。

 

(2-4) cRNA精製

RNeasy Plant mini kit (Qiagen)のRNA Cleanup Protocolに従って行う。

 

 

1. (2-3)で作成したサンプル40mlに、60ml滅菌水、350ml RLT buffer (1%β-Mercaptethanolを加えておく)、250ml エタノールを加え、RNeasyミニスピンカラム(ピンク色)に700ml サンプルを入れ、遠心(10,000rpm, 15sec, 室温)する。

 

2. Flow throughをもう一度カラムにアプライし、遠心(10,000rpm, 15sec, 室温)する。

 

3. RNeasyミニスピンカラム(ピンク色)を新たなコレクションチューブに入れ、500mlのRPEバッファー(エタノールが加えられているもの)をカラムに加え、遠心(10,000rpm, 15sec, 室温)する。

 

4. コレクションチューブの液を捨て、カラムに500mlのRPEバッファーを加え、遠心(15,000rpm, 2min, 室温)する。

 

5. カラムを新しい1.5mlのコレクションチューブに入れ、50mlのRNase free滅菌水をRNeasyカラムの膜に直接のせ、1分間静置した後、遠心(10,000rpm, 1min, 室温)する。繰り返し溶出する。

 

6. 約100mlのサンプルに対し、1/10 vol.(約10ml) 3M 酢酸ナトリウム (pH 5.2)、2.5vol. (約250 ml) エタノールを加え撹拌後、1時間-80℃に静置後、遠心分離(15,000rpm, 15min, 4℃)する。

 

7. 上層を捨て、450 mlの70%エタノールを加え、遠心分離(15,000rpm, 10min, 4℃)する。

 

8. RNAサンプルを50mlの滅菌水に溶かし、分光光度計で濃度を測定する。測定後、持ち込んだRNA7.5mgをTotal濃度から引き、合成されたcRNA量を計算する。計算後、アガロースゲルで各サンプル500ngずつ泳動し、サンプルを確認後、-80または-20℃で保管する。

 

引用・参考文献

RNeasy MiniHandbook (Qiagen) P79-81

 

(2-5) cRNA Fragmentation

 

1. (2-4)で計算した25mg cRNAに対し、下に示す試薬を加え、Heat block (94℃35min)で反応する。

25mg cRNA

×ml

5×Fragmentation buffer

8ml

滅菌水

32−×ml

Total

40ml

 

2. 反応後、サンプルを氷中に置き、1ml泳動する。サンプルは-20℃に置き、Penn大に送る。

 

目 次

 


 

Northern blot hybridization

(担当 吉田)

はじめに

電気泳動、ブロッティングは特に難しいことはありません。ハイブリからウォッシュにかけてのRI汚染やImaging Plate (IP) の取り扱いに気をつけましょう。

 

(1)材料

・10× MOPS/EDTA (オートクレーブ滅菌、室温保存)

0.2 M   MOPS

50 mM  酢酸ナトリウム

10 mM  EDTA

pH7.0

・泳動バッファー (用時調整)

1× MOPS/EDTA  (水はMilliQでよい。1泳動あたり500 mlで十分)

・サンプルRNA

5~20 µg total RNA を滅菌水or TEで4 µl にメスアップする。

・RNAサンプルバッファー  (-20℃保存)

0.75 ml  ホルムアミド

0.15 ml  10× MOPS-

0.24 ml  ホルムアルデヒド

0.1 ml   滅菌水

0.1 ml   グリセロール-

0.08 ml  10% BPB

・1 mg/ml EtBr (4℃保存)

・変性ゲル

0.96 g   アガロース

8 ml    10× MOPS

70ml    H2O

4.08 ml  ホルムアルデヒド

(ホルムアルデヒドは50℃以下に冷してからドラフト内で加える。)

(ミューピッドの正方形のゲル板を用いるときの分量。コームは太い12well

のものを用いる。)

・10× SSC (基本試薬)

・Wattman 3MM ろ紙 3枚×2  ゲルのサイズに切る

・Nylon membrane (HybondN+, Pharmacia) 1枚  ゲルのサイズに切る

・キムタオル、スポンジ、サランラップ

・Hybridization buffer (Church buffer) (用時調整)

12.5 ml  1M NaPO4 (pH7.2) (基本試薬)

8.75 ml  20% SDS

0.5 ml   0.5 M EDTA

3.25 ml  滅菌水

(チューブ1本あたり25 ml)

・1次洗浄液 (オートクレーブ不要)

1× SSC, 0.1% SDS

・2次洗浄液 (オートクレーブ不要)

0.1× SSC, 0.1% SDS

・RI除去用バッファー (オートクレーブ不要)

10 mM  Tris-HCl (pH 7.4)

0.2%   SDS

 

(2)方法

1. 変性ゲルをドラフト内で作成する。ホルムアルデヒドは50℃以下で加えること。

 

2. サンプルRNAを滅菌水or TEで4 µl にメスアップし、20 µl RNAサンプルバッファーを加え混合する。65℃, 15分加熱することで変性し、氷水で急冷する。1 µl 1mg/ml EtBrを加え混合する。

 

3. 変性ゲルにサンプルをアプライする。1× MOPS/EDTAで50V定電圧で電気泳動する。BPBがゲルの下端まで移動したところで終了する(必ずRNA専用の泳動槽を用い、50Vで泳動すること。だいたい2時間ほどかかる。)

 

4. ゲルの「耳」の部分をスパチュラで切ってUV照射してEtBr染色像を撮影しておく。ゲルは脆いので扱いに注意。

 

5. ゲルを10× SSC内で10分間穏やかに震盪する。3MMろ紙を10× SSCに浸す。Nylon membraneは10× SSCに浮かべて片面だけ濡らす。スポンジに10× SSCをしみこませる。

 

6. 図に示すようにブロッティング台を組み立てる。10時間以上ブロッティングする。(コツ:・メンブレンやゲルを汚さないように手袋とピンセットを使う。・メンブレンとゲルの間に空気が入った場合は10× SSCを加えたりメスピペットを押し転がしたりして追い出す。・ゲルの側壁にサランラップを貼って10× SSCが漏れないようにする。)

 

7. UVトランスイルミネーターでゲルを照射し、ブロッティングがうまくいったか確認する。UVクロスリンカーを用いてRNAをメンブレンに固定する。できあがったメンブレンはハイブリするまで常温で保存可能。(UVクロスリンカーは基本的に電源を入れてSTARTすればよい。80℃、2時間のベーキングはしてもしなくてもよい。)

 

(8~11の操作は全てハイブリチューブ内で行う。) 25 ml Church bufferで60℃、1~2時間プレハイブリダイゼーションする。

 

8. プローブ液を加え、60℃、15~20rpmで16時間以上ハイブリダイゼーションを行う。

 

9. プローブ液を50 mlチューブに回収し、1次洗浄 (室温、10分、20~30rpm)を2回行う。洗浄液は廃液入れへ。

 

10. 2次洗浄 (60℃、20分、20~30rpm)を2回行う。

 

11. メンブレンを取り出し、サランラップで密封する。(表(RNA面)を下向きにラップに貼るイメージでやるときれいにできます。)

 

12. あらかじめ初期化しておいたIPをカセットに挟んで露出する。2時間ほどで傾向が確認できる。その後IPを消去してさらに1日露出して正式なデータをとる。メンブレンは日付、名前、コメントをつけて4℃で保存。

 

注) チューブの側壁とメンブレンの間に空気が入らないよう注意する。ピンセットでメンブンの端を押さえて側壁を滑らせる等するとうまく抜けてく れる。ハイブリ中はメンブレンがチューブと一緒に回転していることを確認する。洗浄液の量はチューブの体積の半分ほど。洗浄の過程ではメンブレンが乾いて しまわないよう注意。バックグラウンドが高くなる。密封したラップからの液漏れ厳禁。IPは水分に非常に弱い。メンブレンはRIを除去して繰り返し使用できる。70℃のRI除去用バッファーで1.5~2時間洗う。時間や回数はシグナルの強さによって異なる。プローブ液は-20℃で保存して再利用できる。再利用するときは60℃に熱してプレハイブリ液と交換する。

 

参考文献

Tech Tip 158 (R962516)

Strategies for reducing background in membrane based nucleic acid

detection

Northern Blotting: Efficient RNA Staining and Transfer

Northern Hybridization: Molecular Cloning pp. 7.42-44

バイオ・イメージングアナライザーBAStasion版操作ガイド: 富士フィルムのマニュアル

 

目 次

 


第四章  タンパク質を扱う実験

 

種子および植物体からの粗タンパク質抽出

(担当 村山)

はじめに

 

(1) 材料

・粗タンパク質の抽出

・extraction buffer

   100mM Hepes (pH7.5)

   5mM EDTA

   5mM EGTA

   10mM DTT

   10mM Na3VO4

   10mM NaF

   50mM β-glycerophosphate

   10%(w/v) glycerol

   7.5%  (正しい名前を書く)

   Protease inhibitor mixture

Homogenization pestle

Homogenization pestle用eppen tube (SSI, 12100-00)

 

・Bradford法によるタンパク質の濃度測定

Protein Assay <BIO-RAD>

・2×サンプルバッファー

  125mM    Tris-HCl (pH6.8)

    4%        SDS

    20%       glycerol

    10%       メルカプトエタノール

  0.04%     ブロモフェノールブルー

 

(2) 方法

・粗タンパク質の抽出

1.     1サンプルあたり種子は乾燥重量で0.04g、葉は2〜3枚、サヤは10〜20サヤをエッペンに採集して氷上に置く。

 

2.     500ulのextraction bufferを加える。

 

3.     homogenization pestleを用いてよくすり潰す。

 

4.     4℃、15,000rpmで30分間遠心。

 

5.     新しいチューブに上清を採る。

 

・Bradford法によるタンパク質濃度の測定

1.    Protein Assay試薬(CBB)を5倍希釈。

 

2.    0/0.2/0.5/1.0mg/ml BSAを各1ml作成。

 

3.    5倍希釈CBBを1mlずつキュベットに分注する。

 

4.    キュベットのCBBに10ulの各種濃度のBSA、10倍希釈したサンプル粗タンパク質溶液を加える。

 

5.    BSAを用いて検量線を作成。

 

6.    分光光度計でサンプルのOD595を測定して濃度を求める。

 

7.    サンプルタンパク質は、等量の2×サンプルバッファーを加えて、97℃で5分間加熱処理を行い、-30℃で保存。

 

引用・参考文献

 


他の方法

Plant cells are rich in compounds that interfere with the 2DE separation method such as salts, organic acids, phenolics, pigments, terpenes, among others. A common protocol used in our lab for extraction proteins from plant tissues consists in the homogenization of mortar-grounded material in liquid nitrogen with an extraction buffer (20 mM Tris-HCl, pH 8.0, 5 mM EDTA, 50 M leupeptin, 1 M pepstatin A, 10 M 3, 4-dichloroisocumarine, 1 mM phenylmethylsulfonyl fluoride and 0.05 % SDS). Although, proteins extracted following this protocol produce good SDS-PAGE separations they are not suitable for 2DE. Therefore, we adopted the widly applied (see references) protocol developed by Damerval and introduced some modifications. We were able to generate 2DE separations with superior resolution and recovery from various plant parts. Moreover, we tested this method to prepare and separte proteins from mycelium of the filamentous fungus Aspergillus nidulans with great success.

Protocol

•       Ground tissue in a mortar with liquid nitrogen. Collect grounded material in a eppendorff tube (tube weight 1.0 g).

•       Weight the material

•       Add 10 % w/v trichloroacetic acid and 0.07 % v/v 2-mercaptoethanol in COLD (-20 C) acetone (approx. 1ml for 0.3 g of tissue

•       Incubate for 2 hs at -20C (Other protocols leave it over night at -20 C)

•       Centrifuge the precipitated proteins in microfuge for 15-20 min. at 14,000 rpm

•       Wash pellet with COLD acetone containing 0.07 % v/v 2-mercaptoethanol(approx. 1 ml) to remove pigments and lipids until the pellet is colorless.

•       Dry proteins under vacuum (5- 10 min.)

•       Resuspend proteins in the appropriate rehydration buffer

•       Sonicate to extract proteins in a water-bath sonicator, 15-30 min.

•       Centrifuge and collect the supernatant containing predominantly soluble
proteins.

For a liquid sample (such a plasma, lysides or a grounded tissue
resuspended in a buffer) add 4 vol. of the 10 % w/v trichloroacetic acid
and 0.07 % v/v 2-mercaptoethanol in acetone and start at step 4.

 

 

ReferencesDamerval C, de Vienne D, Zivy M, Thiellement H. The technical improvements in two-dimensional electrophoresis increase the level of genetic variation detected in wheat-seedling proteins. Electrophoresis 1986;7:52-54.

Porubleva L, Velden KV, Kothari S, Oliver DJ, Chitnis PR. The proteome of maize leaves: Use of gene sequences and expressed sequence tag data for identification of proteins with peptide mass fingerprints. Electrophoresis 2001;22:1724-1738.

Santoni V, Bellini C, Caboche M. Use of two-dimensional protein-pattern analysis for the characterization of Arabidopsis thaliana mutants. Planta 1994;192:557-566

 

 

目 次

 


 

SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE)

(担当 村山)

(1) 材料

10% APS

TEMED

2M Tris-HCl(pH8.8)

10% SDS

10% APS

・10×泳動buffer

  250mM Tris base

  1.92M  Glycine

・SDS-PAGE泳動buffer

  1×泳動buffer

  0.1% SDS

CBBステイン ワン(Ready to Use)

 

(2) 方法

1.    泳動板の内側をエタノールで拭く。

 

2.    泳動板を組み立てる。

 

3.    ゲル作成版に印をつける。

 

4.    コニカルビーカーに分離ゲルを作る。

試薬

容量(6%分離ゲルの場合)

30% Acrylamide mix

3.6ml

2M Tris-HCl (pH8.8)

2.8ml

10% SDS

150ul

MQW

8.2ml

10% APS

160ul

TEMED

16ul

*  全体を室温に戻してから、APSとTEMEDを加える。

*  TEMEDを加えると重合が始まるので、均一に混じったらすぐに泳動プレートに注ぐ。

 

5.    切り欠きのあるほうを上側として泳動プレートを傾け、分離ゲルを印をつけた位置まで注ぐ。

 

6.    MQWを分離ゲル溶液の上に静かに重層し、30分から1時間程度清置して重合させる。

 

7.    MQWと分離ゲルの境がはっきりしてきたら、重層したMQWを除く。

 

8.    濃縮ゲルを作成する。

試薬

容量

30% Acrylamide mix

660ul

2M Tris-HCl (pH8.8)

312ul

10% SDS

50ul

MQW

4ml

10% APS

60ul

TEMED

6ul

*  全体を室温に戻してから、APSとTEMEDを加える。

*  TEMEDを加えると重合が始まるので、均一に混じったらすぐに泳動プレートに注ぐ。

 

9.    濃縮ゲルを切り欠きの下端から2mm程度下まで注ぐ。

 

10. サンプルコウムを、ストッパーが泳動プレートの切り欠きに接するまで際込む。30分程度室温で重合させる。

 

11. コウムとシールガスケットを外し、MQWまたは泳動バッファーで未重合のアルリルアミドを除く。

 

12. 泳動槽下槽部に400mlの泳動バッファーを泡立てないように注ぐ。

*  泡立ててしまったら暫く置いておけば消える。

 

13. プレートを泳動槽上槽部にセットする。

 

14. 上槽部を下槽部へ沈める。ゲル下端に気泡がたまらないように、上槽部を傾けながらゆっくり沈める。

 

15. 上槽部のシンクに、液面が泳動プレートの上端から2〜3cm下になるように泳動バッファーを注ぐ。

 

16. シロチップを用いてマーカーとサンプルをそれぞれウェルにアプライする。

 

17. ゲル1枚あたり20mAで泳動。

 

18. ゲルをMQWで洗って、20〜50mlのCBBステイン ワンをトレーにゲルが充分浸る程度に加え、振とうさせて60分間染色する。

 

19. トレーからCBBを除き、MQWでゲルを洗浄する。

 

引用・参考文献

ATTO Instruction Manual 製品取扱書 対応機種AE-6531M/AE-6531P pageRun

 

目 次


 

Western Blotting

(担当 村山)

はじめに

 

(1) 材料

・ Transfer

・セミドライ式ブロッティング装置

(ATTO; ホライズブロット AE-6678型)

・Power supply

(GIBCO BRL; Electrophoresis Power Supply Model 250EX)

・泳動したゲル

・PVDF膜 (Amersham; Hybond-P)

・ろ紙(6枚)

・Transfer Buffer

  48mM    Tris

    39mM    Glycine

    0.037%   SDS

    20%      Methanol

 

・ 抗体処理

・Primary Antibody

・Secondary Antibody

・Detection Reagents

  (Amersham; ECL-plus Western Blotting Detection Reagents)

・Blotting buffer (Transfer buffer)

・TBS-T

  10mM    Tris-HCl (pH8.0)

  150mM   NaCl

  0.05%    Tween20

・TBS-SM

    5%(w/v) skim milk in TBS-T

 

・ Detection

・ハイレンドール(現像液)

・ハインフィックス(固定液)

 

(2) 方法

・ Transfer

1.    泳動する

 

2.    PVDF膜をMethanolに20〜30秒間浸し、15分間Transfer Bufferに浸しておく。

 

3.    ろ紙をTransfer Bufferに浸しておく。

 

4.    ブロッティング装置の下部電極板に以下のようにろ紙、PVDF膜、ゲルをセッティングする。

 

             

               ろ紙(3枚)

               ゲル

               PVDF

               ろ紙(3枚)

       +

 

5.    ブロッティング装置の上部電極板をかぶせる。

 

6.    2.0mA/ cm2で1時間くらい通電する。

 

・ 抗体処理

7.    transfer終了後、すぐにゲルとPVDF膜を分離し、PVDF膜はただちに5% skim milk in TBS-Tで1時間以上(~O/N)浸透する(blotting)。ゲルにタンパク質が残っていない事を染色によって調べておく。

 

8.    Primary AntibodyをTBS-SMで必要濃度に希釈する。これにPVDF膜を浸して1~2時間振とうする。

 

9.    PVDF膜を10分間TBS-Tに浸して振とうして洗う。3回行う。

 

10. TBS-SMで必要倍希釈したSecondary AntibodyにPVDF膜を浸して、1時間振とう。

 

11. PVDF膜を10分間TBS-Tに浸して振とうして洗う。3回行う。

 

・ Detection

12. PVDF膜の洗浄中に机をきれいにし、ECL plusのsolution A : solution B = 40 : 1(ミニゲル1枚ならA 1.5ml + B 37.5m)を作って室温に戻す。低温のままだと効果が下がる。Bを加えたときに白濁する事を確認する。白濁しなかった場合は使えないと判断。

 

13. 机にラップを2枚取る。片方の上にタンパク質面を上にしてPVDF膜を置き、ピペットマンで100ulずつメンブランの端から全体にCEL plusを滴下していく。5分間置いてから、その上に用意しておいたもう1枚のサランラップをかぶせてパックする。

 

14. 以下暗室。三角灯は赤にする。X線フィルムを適当な大きさに切る。

 

15. PVDF膜をX線フィルムとともにオートラジオグラフィーのカセットにはさんで30秒〜10分間(必要に応じて調節)露光する。一度重ねたフィルムと膜は動かしてはいけない。

 

16. トレーに洗浄用水道水と現像液・定着液を用意する。現像液と定着液は繰り返し使用可能。現像液が黒くなってきたら両方とも新しく作り変える。

 

17. X線フィルムを現像液→洗浄液→定着液→洗浄液の順に浸す。液が混じらないように場所ごとにつまみを変える。2度目の洗浄液に移したら電気をつけて乾かす。

 

 

引用・参考文献

モデル植物ラボマニュア Springer (2000) p218-221

 

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GST融合タンパク質実験(発現誘導と精製)

(担当 吉田)

はじめに

pGEXベクターを用いた一般的なGST融合タンパク質の発現と精製のプロトコールです。タンパク質の性質は様々なので条件検討は必須です。

 

(1)材料

・LB液体培地 (基本試薬)

・100 mg/ml アンピシリン (基本試薬)

・LB / Amp 液体培地

LB液体培地にAmpを終濃度20~50 µgになるように加える。

・PBS (基本試薬、常温保存)

・PBST (常温保存)

PBSにTritonX-100を終濃度0.5% v/v になるように加える。

・1 M IPTG (基本試薬)

・グリセロール (オートクレーブ滅菌)

・1 mM PMSF (基本試薬、-20℃保存)

・1 M DTT (基本試薬、-20℃保存)

・2×SDSサンプルバッファー

0.25 M Tris-Hcl (pH 6.8)

50 ml

SDS

4.0 g

滅菌水

18 ml

グリセロール

20 ml

BPB

10 mg

全量

約90 ml

使用前に2-メルカプトエタノールを終濃度100 µl / ml になるよう加える。

・sonication buffer

50 mM

Tris-Hcl (ph 8.0)

50 mM

NaCl

1 mM

EDTA

使用時にDTTを終濃度1 mMになるように添加し、氷冷しておく。

・10 mMグルタチオン溶液 (用時調製)

グルタチオン

0.154 g

1 M Tris-Hcl (pH 8.0)

1.0 ml

滅菌水

19 ml

・SDS-PAGE running gel

アクリルアミド濃度

8 %

10 %

12 %

0.75 M Tris-Hcl (pH 8.8)

10 ml

10 ml

10 ml

30 % アクリルアミド溶液

5.3 ml

6.7 ml

8.0 ml

10 % SDS

0.4 ml

0.4 ml

0.4 ml

滅菌水

4.3 ml

2.9 ml

1.6 ml

TEMED

20 µl

20 µl

20 µl

10 % APS 水溶液(用時調製)

150 µl

150 µl

150 µl

・SDS-PAGE stacking gel

0.25 M Tris-Hcl (pH 6.8)

3.0 ml

30 % アクリルアミド溶液

0.6 ml

10 % SDS

0.12 ml

滅菌水

2.3 ml

TEMED

7 µl

10 % APS 水溶液(用時調製)

60 µl

 

(2)方法

1. 発現ベクターを構築する。

 

2. 発現ベクターを宿主大腸菌に導入する。

 

3. 発現ベクターを取り込んだ大腸菌を選択する。(コロニーPCR, 制限酵素処理)

 

4. (発現チェック) 3.で得たクローン数個を37 ℃、1~3 ml LB / Amp 液体培地で一晩震盪培養する (前培養)。

 

5. 培養液300 µlを9倍量のLB / Amp に移し、37℃で1時間培養する(本培養)。残った一晩培養液はグリセロールストック作製に使う。

 

6. 「誘導前サンプル」として300 µl の培養液をチューブに取る。

 

7. 残りの培養液に1 M IPTGを終濃度1 mM になるよう添加して誘導を開始する。37℃で培養し、経時的に300 µl ずつサンプリングする(例:15分、30分、1時間、2時間、3時間など)。

 

8. 各サンプルは5000 rpm で30秒間遠心したあと上清を除き、沈殿を25 µl PBSTに懸濁する。25 µl の2×SDSサンプルバッファーを加えて混合し、室温で保存しておく。

 

9. サンプルを100℃で5分間熱処理する。

 

10. 10% SDSポリアクリルアミドゲルに各試料を1レーンあたり5 µl泳動する。

 

11. 泳動終了後、ゲルをCBB染色する。

 

12. 最も発現のよい大腸菌クローンを選び、5. で保存していた培養液に終濃度20% になるようにグリセロールを加え、-80℃で保存する。

 

13. (可溶性チェック) 3mlで培養、発現誘導する。集菌後、300 µlのsonication bufferに懸濁し、0.1 mM PMSF、1 mM DTT(終濃度)を加える。

 

14. 超音波破砕機で菌体を破砕する。10 µlをとり、15 µl PBSと25 µl 2×SDSサンプルバッファーを加える(分画前サンプル)。

 

15. 15000rpm、5分、4℃で遠心分離し、上清10µlに15 µl PBSと25 µl 2×SDSサンプルバッファーを加える(supサンプル)。

 

16. 沈殿に300 µl PBSTに懸濁する。10 µlをとり、15 µl PBSと25 µl 2×SDSサンプルバッファーを加える(pptサンプル)。

 

17. 各サンプルを5 µlずつ電気泳動し、可溶性をチェックする。

 

18. (大量培養) 50 mlのLB / Ampで一晩培養する(前培養)。

 

19. 培養液を500 mlのLB/Ampに移し、37℃で培養する(本培養)。

 

20. O.D.600=0.5でIPTGを添加(終濃度1mM)し、37℃でさらに3~4時間培養する。

 

21. 4℃、6000rpm、10分間遠心して集菌する。

 

22. 沈殿を50ml の氷冷したsonication bufferに懸濁する。1mM DTT、0.1mM PMSF(終濃度)を加え、4℃で撹拌する。

 

23. フレンチプレスを用いて菌体を破砕する。10000 rpm、20分間、4℃で遠心分離する。

 

24. (カラム法によるアフィにティー精製) 2~5 mlのグルタチオンセファロース4Bをカラムに入れ、5~10倍量のPBSTで平衡化する。

 

25. 23. の上清をカラムにアプライし、4℃で1時間混合して樹脂に吸着させる。

 

26. flow through画分を回収する。

 

27. 5 ml PBSで3回洗浄する。wash 画分を回収。

 

28. 10 mM グルタチオン溶液でelutionを行う(5 ml×3回)。1 mlずつ、15画分回収する。

 

29. 各サンプル5 µl を電気泳動し、目的のタンパク質を確認する。メインの画分をプールする。

 

30. Bradford法でタンパク質濃度を測定し(Bio-Radのキットを使用)、後の実験に1回で使う量に分注し、-20℃で保存。

 

 

注) 目的のタンパク質の大部分が不溶性画分にある場合は培養の温度、時間、 スケールやIPTGの濃度、菌体破砕などの条件を調節することで改善を試みる。

 

(3)参考文献

タンパク実験プロトコール1.機能解析編 (秀潤社)p12~62, 128~136

 

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PP2C活性測定

(担当 吉田)

はじめに

PP2C はMg2+依存性カゼインホスファターゼ活性として、5 µMオカダ酸の存在下で測定する。

 

(1)材料

・[g-32P]ATP (Amersham, 0.25 mCi (25 µl))

・100 mM ATP (-20℃保存)

NaOHでpH 7.0に調整。

・100 mM 酢酸マグネシウム

・カゼイン (Sigma C 4765, 約10 mg/ml)

・プロテインキナーゼA触媒サブユニット

・5× incubation buffer

200 mM

Tris-HCl pH7.0

0.5 mM

EGTA

50 % v/v

グリセロール

使用時に2-メルカプトエタノールを終濃度0.5 % v/v になるように加える。

・stop solution

100 mM

EDTA

500 mM

NaF

10 mM

ピロリン酸Na

pH 7.0

 

・Sephadex G-50 superfine カラム

15 cm×1 cm, 1×incubation bufferで平衡化する。

・バッファーA

50 mM

Tris-Hcl pH7.5

0.1 mM

EGTA

0.1% v/v

2-ME

1.0 mg/ml

BSA

 

 

・バッファーB

50 mM

Tris-Hcl pH7.5

0.1 mM

EGTA

15 µM

オカダ酸

60 mM

酢酸マグネシウム

0.03% v/v

Brij-35

・20% w/v TCA (4℃保存)

 

(2)方法

1. ([g-32P]ATPの調製) [g-32P]ATP全量を1.5 mlチューブに移す。222.5 µlの蒸留水でバイアルを洗い、チューブに移す。

 

2. 2.5 µlの100 mM ATPを加える(合計250 µl)。少量(2~10 µl)を2回、シンチレーションカウンタでチェレンコフ光をカウントして比活性を出しておく。適当に分注して-20℃保存。

 

3. (32P標識カゼインの調製) [g-32P]ATPを溶解し、2.の方法で比活性を求める。

 

4. チューブに以下の物質を加える。

[g-32P]ATP

100 µl

100 mM 酢酸マグネシウム

100 µl

5× incubation buffer

200 µl

滅菌水

400 µl

カゼイン

200 µl

1 ml

 

5. プロテインキナーゼAを加える(終濃度250 mU/ml)。30℃で16時間インキュベーションする。

 

6. 110 µl のstop solutionを加えて5~10分間インキュベーションする。12,000g、4℃、2分間遠心し、変性したタンパク質の沈殿を除く。

 

7. 上清をSephadex G-50 superfine カラムに流す。300 µずつモニターする。ガイガーカウンターで32Pカゼイン画分(素通り画分)を確認する。

 

8. 各画分10 µlずつをシンチレーションカウンタでカウントし、3.で求めた比活性をもとに取り込まれたリン酸濃度(µM)を算出する。32Pカゼイン画分を適当に混合、希釈して32P濃度を18 µMに合わせる。

 

9. (PP2C活性測定) PP2C試料をバッファーAで希釈する (2~10 µg/µl 程度)。このPP2C試料10µlに10 µlのバッファーBを加えて氷上に置く。各サンプルは2~3回測定する。ブランクとしてバッファーAとバッファーBを10 µlずつ入れたものを準備する。

 

10. 32Pカゼイン10 µlを加えて反応を開始する。Vortexし、30℃で一定時間インキュベーションする (例:0, 10, 30, 60分など。) 0分のサンプルは先に20 % TCA 100 µlを入れておく。

 

11. 100 µlの20 % TCAを加え、vortexして反応を停止する。12000g、室温、2分間遠心してタンパク質を沈殿させる。

 

12. 上清100 µlを新しいチューブに移し、チェレンコフ光をカウントする。10 µlの32Pカゼインをカウントし、トータルの値を出す。

 

13. (計算) プロテインホスファターゼ活性1 unit は、1分間に基質から1 µmolのリン酸」を加水分解し遊離させる活性なので、計算式は以下のようになる。

 

cpm放出=試料cpm – ブランクcpm

活性 (mU/ml) = (cpm放出 / cpm トータル)×0.18 / 反応時間(分)×100×130/100

 

0.18はカゼイン量(nmol)、100は10 µlから1 mlの活性への換算、130/100は上清(130 µl)と測定量(100 µl)の比。

 

注)カゼインの標識効率が悪いときはプロテインキナーゼAの量やインキュベーション時間を増やすことで改善する可能性がある。

 

参考文献

プロテインキナーゼとホスファターゼ    バイオ実験法シリーズ(メディカル・サイエンス・インターナショナル) p167~186

 

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Yeast two-hybrid (CLONTECH MATCHMAKER system)

(担当 吉田)

はじめに

bait (pGBKT7)の選択マーカー(バクテリアはKan、酵母はTrp) と prey (pGADT7)の選択マーカー(バクテリアはAmp、酵母はLeu)を間違えないように。目的によって同時トランスフォーメーションと連続トランスフォーメーションを使い分けましょう。ここでは特定の2種類のタンパク質の相互作用を調べるための同時トランスフォーメーションについて述べます。ライブラリースクリーニングなどは参考文献を見て下さい。

 

(1)材料

・100×Ade溶液 (濾過滅菌、室温保存)

0.2% w/v   L-アデニンヘミスルフェイト塩

・100×Leu 溶液 (オートクレーブ滅菌、室温保存)

1% w/v     L-ロイシン

・100×Trp 溶液 (オートクレーブ滅菌、室温保存)

0.2% w/v    L-トリプトファン

・100×His 溶液 (オートクレーブ滅菌、室温保存)

0.2% w/v    L-ヒスチジン塩酸一水和物

・YPDA液体培地 (オートクレーブ滅菌(15分間)室温保存)

1% w/v   Yeast extract

2% w/v   Peptone

2% w/v   Glucose

pH5.8

オートクレーブ後、50℃以下で100×Ade溶液を加える。

・YPD寒天培地 (オートクレーブ滅菌(15分間)4℃保存)

1% w/v   Yeast extract

2% w/v   Peptone

2% w/v   Glucose

pH5.8

2% w/v   Agar

・1 M 3-AT (HIS3阻害剤)

超純水に溶かし濾過滅菌。4℃保存。

・アンピシリン (基本試薬)

・カナマイシン (基本試薬)

・ドロップアウト(DO)パウダー(-Ade-Leu-Trp-His-Ura)

L-イソロイシン

300 mg

L-バリン

1500 mg

L-塩酸アルギニン

200 mg

L-塩酸リジン

300 mg

L-メチオニン

200 mg

L-フェニルアラニン

500 mg

L-トレオニン

2000 mg

L-チロシン

300 mg

・SD培地

アミノ酸を含まない酵母窒素ベース

0.68 g

DOパウダー

0.13 g

グルコース

2 g

Bacto agar

2 g

超純水

100 ml

オートクレーブ後必要ならばAde、His、Leu、Trpの100×溶液を加える。

・50 % PEG4000 溶液

超純水で調製、50℃に加温して溶かす。

・DMSO

・10×TE (基本試薬の10倍の濃度、オートクレーブ)

・10×LiCl (オートクレーブ)

1 M酢酸リチウム。酢酸希釈液でpH7.5に調製。

・PEG/LiCl

Final

50% PEG

40 %

8 ml

10×TE

1 ml

10×LiCl

1 ml

10 ml

・pCL1 (コントロールベクター。酵母選択:Leu、バクテリア選択:Amp)

・pLAM5(コントロールベクター。酵母選択:Trp、バクテリア選択:Kan)

 

(2)方法

1. 1 mlのYPDAに幾つかのコロニーを接種する。

 

2. ボルテックスで強く撹拌し、よく懸濁する。

 

3. 50 mlのYPDAに細胞を移す。

 

4. 30℃で一晩震盪培養する (250rpm)。OD600=2~3で、300 mlのYPDAに移す。

 

5. 30℃で3時間震盪培養する (230~250rpm)。OD600は0.5±0.1 になる。

 

6. 細胞を50 ml遠心管に入れ、1000g、室温、5分間遠心する。上清を捨て、20~50 mlのTEまたは滅菌水に再懸濁する(ボルテックス)。1000g、室温、5分間遠心し、上清を捨てる。

 

7. 用時調製した1.5 mlの滅菌1×TE/LiClに懸濁する。

 

8. PEG/LiCl溶液を調製する。

 

9. 1.5 mlチューブに、bait (pGBKT7)とprey (pGADT7)を0.1 µgずつ入れる。コントロールとしてどちらか1種類だけのものやコントロールベクターを準備する。(Option: サケ精巣キャリアーDNA0.1 mgを加えてもよい。)

 

10. 7.で調製した酵母コンピテント細胞100 µlを加え、ボルテックスする。

 

11. 8.で調製したPEG/LiCl溶液600 µlを加え、ボルテックスする。

 

12. 30℃、30分間、200rpmで震盪する。

 

13. 70 µlのDMSOを加える。インバージョンで混合する。ボルテックスしない。

 

14. 42℃のウォーターバスで15分間熱ショックを与える。

 

15. 氷上で1~2分間冷却する。遠心(フラッシュ)して上清を除く。

 

16. 500 µl TEに懸濁し、適当なSD培地にプレーティングする。30℃で2~3日培養する。陽性と思われる場合、ベクターの入れ替えやGAL4 assayなどを行って相互作用の確認をする(参考文献)。

 

注)・HIS3の漏出性発現が見られる(コントロールが-Hisのプレートで生育する) 場合、3-ATをSD培地に1~50 mMの範囲で加え、バックグラウンドが出ない最も低い濃度を用いる。

 

(3)参考文献

Koshland Web Site/Methods; LiAc/SS-DNA/PEG TRANSFORMATION

CLONTECH; Yeast Protocols Handbook

CLONTECH; MATCHMAKER GAL4 Two-Hybrid System 3 & Librariesユーザーマニュアル

 

目 次

 


第五章  基本試薬

 

基本試薬

(担当 吉田)

0.5M EDTA (PH8.0)

ethylenediaminetetraacetic acid・2Na・2H2O; MW=372.24

Final

EDTA

0.5M

46.5g

186.1g

超純水

+α

+α

250ml

1l

NaOH(pH調製用)

約5g

約20g

5N NaOH(pH調製用)

適宜

適宜

オートクレーブ滅菌を行う。

 

1 M Tris-HCl

Tris [hydroxymethyl] aminomethane; MW=121.14

Final

Tris

1.0 M

30.3 g

121.1 g

超純水

+α

+α

250ml

1l

HCl(約35%,pH調製用)

pH 8.0の場合

pH 7.6の場合

pH 7.4の場合

約10 ml

約15 ml

約17ml

約42 ml

約60 ml

約70 ml

室温でpHを合わせ、オートクレーブ滅菌。

 

TE

Tris-EDTA

Final

1M Tris-HCl (pH 8.0)

10 mM

1 ml

0.5 M EDTA (pH8.0)

1 mM

200 µl

超純水

+α

100 ml

オートクレーブ滅菌。

 

50× TAE

Tris-acetate, EDTA

Final

Tris

2 M

60.5 g

242 g

氷酢酸

2 M

14.3 ml

57.1 ml

0.5 M EDTA (pH 8.0)

0.05 M

25 ml

100 ml

蒸留水

+α

+α

250ml

1l

 

20%SDS

sodium dodecyl sulfate, sodium lauryl sulfate

Final

SDS

20 %

20 g

100 g

超純水

+α

+α

100 ml

500 ml

数滴の0.1 N NaOHでpH 7.2に調製する。

 

目 次

 

 

20× SSC (pH 7.0)

NaCl; sodium chloride; MW=58.44

C6H5O7Na3・2H2O; sodium citrate (trisodium citrate dihydrate); MW=294.10

Final

NaCl

333 mM

43.8 g

175.3 g

C6H5O7Na3・2H2O

333 mM

22.1 g

88.2 g

蒸留水

+α

+α

250ml

1l

濃HCl(pH調製用)

適宜

適宜

 

TBE

Tris-borate, EDTA

 

Final

 

 

Tris

0.089 M

2.7 g

10.8 g

ホウ酸

0.089 M

1.38 g

5.5 g

0.5 M EDTA (pH 8.0)

0.002 M

1 ml

4 ml

蒸留水

 

+α

+α

 

 

250ml

1l

 

10 M 酢酸アンモニウム

ammonium acetate; MW=77.08

Final

酢酸アンモニウム

10 M

77.0 g

385.0 g

超純水

+α

+α

100ml

500 ml

濾過滅菌する。

 

3 M 酢酸ナトリウム

sodium acetate (NaOAc)・3H2O; MW=136.08

Final

NaOAc・3H2O

3 M

20.4 g

408.1 g

超純水

+α

+α

50 ml

1 l

氷酢酸(pH調整用)

pH7.0のとき

pH5.2のとき

約64 µl

約5.7 ml

約1280 µl

114 ml

 

10 mg/ml Rnase A

ribonuclease A

Final

RNase A

10 mg/ml

50 mg

250 mg

1 M Tris-HCl (pH 7.5)

10 mM

0.05 ml

0.25 ml

5 M NaCl (pH 7.5)

15 mM

0.015 ml

0.075 ml

5 ml

25 ml

1 M Tris-HCl (pH 7.5)、5 M NaCl (pH 7.5)を超純水で薄めてフタのできる容器に入れる

Rnaseの粉末を全量バッファーに入れて溶かす

大きな鍋にお湯を沸かす。100℃で15分間加熱する。

火を消し、お湯につけたまま自然に冷ます

チューブに分注して-20℃で保存する

 

目 次

 

 

PBS

phosphate-buffer saline (pH 7.4)

Final

NaCl

137 mM

8 g

40 g

Na2HPO4・12H2O

8.1 mM

2.9 g

14.5 g

KCl

2.68 mM

0.2 g

1 g

KH2PO4

1.47 mM

0.2 g

1 g

超純水

1 l

5 l

約1 l

約5 l

オートクレーブ滅菌

 

1 mM PMSF

phenylmethylsulfonyl fluoride; MW=174.20

Final

 

 

PMSF

1 mM

1.74 mg

8.70 mg

イソプロパノール

10 ml

50 ml

約10 ml

約50 ml

-20℃保存。有害。触ったら大量の水で洗う。

 

1 M DTT

dithiothreitol; MW=154.25

Final

 

DTT

1 M

3.09 g

0.01 M 酢酸ナトリウム (pH 5.2)

 

20 ml

20 ml

0.22 µm のフィルターで濾過滅菌。-20℃保存。

 

1 M IPTG

isopropylthio--D-galactoside; MW=

Final

IPTG

1 M

g

蒸留水

ml

ml

0.22 µmのフィルターで濾過滅菌。-20℃保存。

 

X-gal

5-bromo-4-chloro-3-indolyl--D-galactoside

Final

X-gal

200 mg/ml

100 mg

ジメチルホルムアミド

5 ml

5 ml

アルミ箔で覆って-20℃保存。滅菌必要なし。

 

抗生物質

溶媒

Final (mg/ml)

使用濃度の範囲 (µg/ml)

アンピシリン

蒸留水

50

20~60

テトラサイクリン

エタノール

5

10~50

クロラムフェニコール

エタノール

100

25~170

カナマイシン

蒸留水

20

10~100

ストレプトマイシン

蒸留水

20

10~50

ハイグロマイシン

蒸留水

20

10~100

溶媒が蒸留水のものは0.22 µmのフィルターで濾過滅菌。-20℃保存。

 

LB培地

Final

bacto tryptone

1 %

1.0 g

10 g

bacto yeast extract

0.5 %

0.5 g

5.0 g

NaCl

1 %

1.0 g

10 g

5N NaOH (pH調整用)

0.2 ml

2.0 ml

超純水

+α

+α

 

100 ml

1 l

オートクレーブ滅菌。プレートは、bacto agarを終濃度1.5~2%になるように加える。

 

目 次

 

 

TE飽和フェノール

Final

フェノール

約40 g

8-ヒドロキシキノリン (8-HQ)

0.1 %

0.04 g

2-メルカプトエタノール (2-ME)

0.2 %

約90 µl

0.5 M EDTA (pH 8.0)

1 mM

約90 µl

0.5 M Tris-Hcl (pH 8.0)

60 ml以上

0.1 M Tris-Hcl (pH 8.0)

60 ml以上

フェノールを50 mlチューブにとる。

0.04 gの8-HQをチューブのフタにとる。

0.5 M Tris-Hcl (pH 8.0)をチューブにいっぱいになるまで加える。

8-HQをこぼさないようにフタをして65℃のウォーターバスで溶かす。

固くフタを閉めて5~10分激しくシェイクする。

2000rpm、5分間遠心し、上層の水層をアスピレーターで除く。

もう一度0.5 M Tris-Hcl (pH 8.0)を加え、15分間シェイクし、遠心後、水層を除く。

0.1 M Tris-Hcl (pH 8.0) を加えシェイクし、遠心後、水層を除く。フェノール層のpHをpH試験紙で確認し、pH7.8>以上になるまで繰り返す。

約10ml0.1 M Tris-Hcl (pH 8.0)を加え、さらに約90µl2-MEと約>90 µl0.5 M EDTA (pH 8.0)を加える。遮光し、日付を明記し、4℃または-20℃で保存する。

注) 大量に調製するためのスケールアップ可。

 

水飽和フェノール

Final

フェノール

約30 g

8-ヒドロキシキノリン (8-HQ)

0.1 %

0.03 g

超純水

約20 ml

TE飽和フェノールの場合と同様にフェノールを溶かす。

フタを固く閉めて、激しくシェイクする。

室温以下分層しなければ氷冷で放置して2層に分離させる。水層がなくなるようであれば超純水をさらに加えてシェイクする。

遮光して4℃で保存。

注) 大量に調製するためのスケールアップ可。

 

フェノール/クロロホルム

phenol :chloroform=1:1

フェノール(平衡化済み)

50 ml

クロロホルム

50 ml

0.1 M Tris-Hcl (pH 8.0)

約10 ml

参考文献

バイオ実験イラストレイテッド・ (秀潤社) p85~111, p143~158