第3回IPSR国際トレーニングコース、成功裏に終了!

岡山大学資源植物科学研究所は、国際拠点化を目指した活動の一環として、2014年度から、国内外の若手研究者の育成、交流を目的としたIPSR国際トレーニングコースを行っております。

本年度は、第3回国際トレーニングコース(2016 IPSR International Training Course: Methods in Plant Stress Research)を、8月22日から26日まで開催いたしました。ほぼ一週間、海外(チェコ、インドネシア、パキスタン)からの3名の参加者と日本から3名(台湾、フィリピンからの留学生を含む)の若手研究者は、共に質量分析機器を用いた様々な分析手法とデータ解析法の習得に励みました。

今回のコースでは以下の分析方法を主に学びました。
1)ICP-MSを用いた植物のミネラル分析
2)GC-MSを用いた植物の一次代謝物変動解析
3)MALDI-TOF-MSを用いた植物共生微生物の迅速同定・分類

このコースでは、分析方法の理論的背景等を講義により学んだ後に、各種質量分析装置を用いた解析を実際に参加者がサンプルの調製段階から行うことで、分析の実際を確実に理解できるよう配慮されたスケジュールで行われました。今年度は、一昨年から進めてきた植物科学研究棟の新築、研究棟1、2の改築、すべてが完了した新しい研究所の快適な実験環境で解析を行うことができました。またこのコースでは、英国University of NottinghamのDavid E. Salt教授による特別セミナー「The root endodermis acts as a gateway for vascular transport」が開催され、Salt教授が長年にわたり取り組んでこられた、外界と内環境を分断するカスパリー線の構築に関わる研究について、ご講演していただきました。その中で、人知に左右されない遺伝学と最新のionomicsを統合した研究手法の利点、それから見出された数々の興味深い知見について、同教授の深い洞察と共に紹介していただきました。これに加えSalt教授がリードするラウンドテーブルセミナーにより、コース参加者は、植物を対象とした研究には、遺伝学的アプローチとそれを可能にする正確な(precisionな、しかしaccurationである必要はない)表現型解析法を考えることの重要性を、様々な例とともに解説していただきました。研究課題に関わらず、生物(植物)を理解する上で最も重要と思われる研究概念の理解をより深めることができたと思われます。また、優秀な研究者になるためにはという質問に、どんな手法を用いるよりも、どんな問題を解決したいのか、大事で、またやみくもに「必死に実験をする」のではなく、「必死に考える」ことも重要と、身振り手振りを加えながら熱く答えられたことは印象的でした。一方、コース参加者は、一緒に実験を行うことはもちろん、自分が現在行っている研究について紹介し、それぞれのバックグランドを理解した上で議論しあうことで研究の視野と交流の輪を広げました。一方、倉敷夜散歩、大原美術館探訪、バーベキューパーティーといったリラックスできるイベントは、参加者間の理解をさらに深めることにつながったようです。

本年度も、確実な研究/実験手法の取得と国内外の参加者間の密接な交流の促進という、本国際トレーニングコースの狙いにのっとり、少人数編成のコースを企画しましたが、昨年同様この狙いどおりの非常に内容の濃いトレーニングコースになったようです。来年度も、改善できる点を検討しさらに魅力的なトレーニングコースを実施したいと考えています。

最後に、2016年度の国際トレーニングコースが成功裏に終了できたのは、参加者の皆様、それに本トレーニングコースの運営に尽力していただいた全ての方々のおかげです。皆様に心より感謝申し上げます。

来年も、皆様の積極的な参加を期待しております。

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