イネにおいてシクロフィリン(Cyclophilin)タンパク質が側根形成とオーキシン情報伝達を制御することを明らかにしました。

[著者] Huakun Zheng, Sujuan Li, Bo Ren, Jian Zhang, Masahiko Ichii, Shin Taketa, Yuezhi Tao, Jianru Zuo, and Hua Wang.

[論文タイトル] LATERAL ROOTLESS2, a Cyclophilin Protein, Regulates Lateral Root Initiation and Auxin Signaling Pathway in Rice

[掲載論文] Molecular Plant 6: 1719-1721 (2013)

[共同研究] 浙江省農業科学アカデミー(中国 杭州市)、香川大学農学部などとの共同研究。

[内容紹介] 根は養水分の吸収や植物体を支える役割を担い、目では見えlrt2ない地中で縁の下の力持ちとして働いています。しかし、根の形を決める遺伝子は十分解明されていません。私たちは、イネ品種「日本晴」のカルスから再分化した植物集団から、根が枝分かれしない突然変異体(ltr2; lateral root less 2)を見つけました(図をご覧ください。)。遺伝学的な研究により、この無側根突然変異体の原因遺伝子はシクロフィリンタンパク質の1種とわかりました。シクロフィリン(cyclophilin; CYP)は真核生物に広く存在し、シス-トランス異性化反応を触媒するタンパク質の一群です。このタンパク質は真核生物で高度に保存されています。イネではシクロフィリンに類似のタンパク質が27個あります。
シクロフィリンタンパク質は細胞基質、細胞膜および核に存在することがわかりました。植物ホルモンのオーキシンへの応答に関係する遺伝子のうち4種類の遺伝子発現をインドール酢酸(IAA)が有る条件と無い条件で、変異体と正常品種の間で比較しました。その結果、突然変異体ではいずれの遺伝子もIAA存在下での発現が低下していました。この突然変異体のオーキシンの極性輸送は正常でした。
今後の課題として、シクロフィリンタンパク質が結合する標的を明らかにすることが重要です。さらに、どのようなメカニズムでシクロフィリンタンパク質がオーキシン応答に関与し、根の分岐を制御するかを生化学的に解明する必要があります。(文責 遺伝資源機能解析グループ・武田 真)

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