ベニウイルスの感染記録(ウイルス化石配列)を植物・昆虫ゲノム上で発見

[著者] Kondo, H., Hirano, S., Chiba, S., Andika, I.B., Hirai, M., Maeda, T. and Tamada, T.

[論文タイトル] Characterization of burdock mottle virus, a novel member of the genus Benyvirus, and the identification of benyvirus-related sequences in the plant and insect genomes

[掲載論文] Virus Research 177, 75-86 (2013)

[共同研究] 中国浙江省農業科学院、群馬大学、日本大学との共同研究

[共同利用機器] 透過型電子顕微鏡、超遠心分離機、DNAシークエンサー

[内容紹介] ベニウイルスは2〜5分節からなるCap/Poly(A)型のプラス一本鎖RNAゲノムを持つ棒状の植物ウイルスです.タイプ種のBNYVVは主要作物のテンサイ(甜菜)に重要病害を引き起こすことで知られており,その他にテンサイのBSBMV,イネに感染するRSNVや本研究で明らかにしたゴボウ斑紋ウイルス(BdMoV、新規ウイルス種)が含まれます.また,淡水藻類の一種・シャジクモ類に感染するChara australis virus (CAV)の複製酵素はベニウイルスと類縁性を示すことが判明しています(Gibbs et al.,2011;オーストラリア国立大学との共同研究).我々はこれまでに,古のウイルス感染記録と考えられる非レトロRNAウイルス様配列(いわゆるウイルス化石配列)を植物の核ゲノム上に複数発見しています(Chiba et al., 2011;
Kondo et al., 2013).それらのほとんどは、2本鎖RNAやマイナス鎖RNAをゲノムに持つウイルスに類似していました.そこで,本研究ではプラス鎖RNAウイルス類似配列の探索の一環として,上記BNYVV遺伝子配列をクエリとしてデータベースを検索しました.その結果,ベニウイルス複製酵素の類似配列が植物(ヒヨコマメ)と昆虫(サシガメ)の核ゲノム配列データ中に見出され,その一部はゲノミックPCRで配列断片の存在を確認しました.さらに,いくつかの植物や昆虫(キクイムシ)の転写物アッセンブリ配列データにもベニウイルス複製酵素の類似配列が見つかりました.以上から,核ゲノム上のウイルス様配列(化石配列)の存在は藻類ウイルスCAVよりも近縁なベニウイルス祖先種の植物や昆虫への感染イベントを示し,さらにウイルス様転写物はベニウイルスに類似したユニークなウイルスの存在を唆示します.(文責:近藤)

化石配列

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