サクラソウの植物体表面に析出しているフラボノイドには耐凍性を高める効果がある

[著者] Ryutaro Isshiki, Ivan Galis and Shigemi Tanakamaru

[発表タイトル] Farinose flavonoids are associated with high freezing tolerance in fairy primrose (Primula malacoides) plants

[掲載論文] Journal of Integrative Plant Biology 56: 181–188. doi: 10.1111/jipb. 12145

[使用した共通機器] イオントラップ質量分析計

[内容紹介] サクラソウ属植物の一部では葉や茎などの植物体表面に粉末状のフラボノイドを析出させる特殊な現象が知られています。植物体表面のフラボノイドが植物においてどのような機能を持っているかについてはこれまで知られていませんでした。今回我々は、サクラソウ属の園芸植物であるPrimula malacoidesを用いて植物体表上に存在するフラボノイドについて機能解析を行った結果、耐凍性向上に強く関与していることが明らかになりました。また、非常に興味深いことに植物体表面のフラボノイドによる耐凍性向上効果は、市販のフラボン試薬を人工的に散布して植物体表面に付着させることによっても同様の効果を得ることができることも確認されました。さらに、フラボン散布処理による耐凍性向上効果は、Primula malacoidesだけでなく数種の果樹においても適用することにより耐凍性を向上させることが可能でした。このことから、フラボン散布は果樹の凍霜害による被害の軽減に向けた新しい技術として期待されます。なお、本論文は雑誌の表紙を飾りました。(文責 一色 隆太郎)

フラボノイド

 

写真. プリムラ・マラコイデスのつぼみに析出しているフラボノイド(左上、左下)と走査電子顕微鏡によるつぼみ表面の観察(右上、右下)。 中央: 析出しているフラボノイドの主成分であるフラボンの構造式

 

 

 

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