土壌媒介性ウイルスは根で効率的にRNAサイレンシングを抑制する

[著者] Andika, I. B., Kondo, H., Nishiguchi, M. and Tamada, T

[論文タイトル] The cysteine-rich proteins of beet necrotic yellow vein virus and tobacco rattle virus contribute to efficient suppression of silencing in roots

[掲載論文] Journal of General Virology 93:1841-1850. (2012)

[共同研究] 愛媛大学・西口正通博士との共同研究

[使用した共通機器] DNAシークエンサー,透過型電子顕微鏡

[内容紹介]
植物ウイルスは,宿主の防御機構であるRNAサイレンシングを回避するためにRNAサイレンシング抑制遺伝子(RSS)をコードしています。しかし、RSSの根における働きは詳しく調べられていませんでした。そこで、Nicotiana benthamiana(野生タバコの一種)を用い各種プラス鎖RNAウイルスのサイレンシング抑制能を調べたところ、1)葉・根ともに抑制活性を示す(TMV,PVY,CMV)、根だけで抑制活性を示す(BNYVV,TRV)、何れでも活性を示さない(PVX,ORSV)に大別されました。これらのウイルスが感染した根では、ゲノム鎖RNA対して相補鎖(−鎖)RNAの蓄積が極端に低いことが判明しました。BNYVV,TRV をPVXと混合感染させると、PVX-鎖RNAの蓄積が上昇し、この効果はBNYVV,TRVがコードするRSS(抑制活性が比較的弱い)をPVXベクターで発現させた場合にも確認されました。また、同様な効果は既知のRSS、HC-ProやP19でも示されました。以上から、BNYVV,TRVのRSSは葉に比べ根で効率的にRNAサイレンシングを抑制することがわかりました。このことは、土壌菌類と線虫で媒介されるBNYVV,TRVが、感染の場である根で効率良くサイレンシングを抑制している可能性を示唆しています。
(文責 植物微生物相互作用グループ・近藤 秀樹)

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