ミナミキイロアザミウマのピレスロイド剤抵抗性には標的の感受性の低下と解毒分解酵素活性の増大の両方が関与していました!

[著者] Bao Wenxue and Shoji Sonoda

[論文タイトル] Resistance to cypermethrin in melon thrips, Thrips palmi (Thysanoptera: Thripidae), is conferred by reduced sensitivity of the sodium channel and CYP450-mediated detoxification

[掲載論文] Applied Entomology and Zoology (2012) 47: 443-448

[使用した共通機器] DNAシーケンサー

[内容紹介]
ミナミキイロアザミウマは現在殺虫剤による防除が最も困難な害虫の1つです。本種のピレスロイド剤(シペルメトリン)に対する抵抗性機構を明らかにするために、抵抗性レベルの異なる2つの系統(岡山系統および高知系統)を用いて、標的であるナトリウムチャネルをコードする遺伝子の部分配列を決定し、アミノ酸配列の比較を行いました。その結果、両系統ともピレスロイド剤抵抗性への関与が報告されているアミノ酸変異(T929I)を備えていることが明らかとなりました。岡山および高知系統のシペルメトリンに対する抵抗性レベルはそれぞれ72 ppm、3923 ppmであり、ナスにおける常用濃度である60 ppmを超えているので、両系統が抵抗性型のアミノ酸を備えていたことは驚きではありません。しかし、通常L1014FとリンクしているはずのT929Iが単独で存在していたことは、過去に数例しか報告がなく、注目すべきです。解毒分解酵素チトクロームP450の活性阻害試験を行った結果、両系統の抵抗性レベルの違いはチトクロームP450の解毒分解酵素活性の違いに由来することが示唆されました。このように、ミナミキイロアザミウマのピレスロイド剤抵抗性にはナトリウムチャネルのアミノ酸変異による感受性の低下とチトクロームP450による解毒分解活性の増大の両方が関与しているのです。
(文責 植物昆虫間相互作用グループ・園田 昌司)

関連リンク: 植物昆虫間相互作用グループ