植物の葉における老化作用とDNAの分解について解説しました

[著者] Wataru Sakamoto and Tsuneaki Takami

[論文タイトル] Nucleases in higher plants and their possible involvement in DNA degradation during leaf senescence.

[掲載論文] Journal of Experimental Botany, doi: 10:1093/jxb/eru091

[内容紹介]
植物の葉は、成長すると老化作用により様々な高分子化合物を分解し、より上部の葉や花などの生殖器官へ養分として転流させ、最大限の成長を促します。葉の老化は、単なる細胞死ではなく、養分を再利用するための作用であり、植物が持つ独自の、かつ重要な環境適応戦略の1つです。
このように葉の老化では、タンパク質や脂質、色素などの高分子が分解されますが、遺伝情報であるDNA(デオキシリボ核酸)も高分子の1つとして分解されると考えられています。また、老化における分解作用では、光合成に使われている高分子や補因子の多くが再利用されることから、葉緑体における分解作用が重要であると考えられています。
今回の総説では、葉の老化におけるDNAの分解について着目し、これまでに報告されているDNA分解酵素について調べるとともに、それらの中で葉の老化と関連する酵素があるかを調べています。これらの結果、葉の老化で活性化される分解酵素が明らかになるとともに、葉緑体DNAを分解する酵素も葉の老化で活性化される可能性が浮かび上がってきました。葉の老化と葉緑体DNAの分解は20年以上、実体のつかめない現象でしたが、これらの分子機構を今後明らかにできるかもしれません。

(文責 光環境適応研究グループ・坂本 亘)

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