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半導体工場廃液が水圏生態系に及ぼす影響のリスク評価

[著者] Mori IC, Arias-Barreiro CR, Koutsaftis A, Ogo A, Kawano T, Yoshizuka K, Inayat-Hussain SH, Aoyama I

[タイトル] Toxicity of tetramethylammonium hydroxide to aquatic organisms and its synergistic action with potassium iodide

[掲載誌]  Chemosphere (2015) 120: 299-304.

[雑誌のURL] http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0045653514008613

[共同研究] 北九州市立大学/マレーシア国民大学との共同研究

[内容紹介] TMAHは半導体生産過程でエッチング液として大量に利用され、多くは河川等に放出される。TMAHは細菌や藻類に対して毒性を示さなかったが、オオミジンコやメダカに対して毒性を示した。TMAHの毒性は世界基準(GHS)に照らし合わせると弱い生態毒性に分類されたが、ヨウ化カリウムと共存すると、オオミジンコに対する毒性が強まることが本研究で明らかとなった。
2008年に台湾の半導体工場で事故があり、大量のTMAHに暴露した作業員が死亡した。死亡原因はTMAHによる神経麻痺とされた。水生生態系でも大量のTMAH暴露により神経系を持つ生物が致死的な影響を受けることが予想される。
半導体生産工場ではヨウ化カリウムも頻繁に使用される。オオミジンコを用いてヨウ化カリウムとTMAHが共存する場合の毒性を詳細に調べた。ヨウ化カリウムとTMAHが共存すると単体の化学物質よりも毒性が3倍ほど強くなることが分かった。化学工場から複数の化学物質を放流することがあるが、毒性の相乗効果を念頭において半導体工場からの排水の安全管理および周辺水域の環境モニタリングを実施する必要がある。(文責 環境応答機構研究グ ループ 森 泉)

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