テンサイそう根病の病原ウイルス(BNYVV)の解説です

[著者] 玉田哲男・近藤秀樹

[論文タイトル] テンサイそう根病の病原ウイルス(BNYVV)の進化と品種抵抗性

[掲載論文] 植物防疫 68, 168-179

[使用した共通機器] 超遠心機、DNAシークエンサー

[内容紹介] 土を介して媒介される(土壌伝染性)ウイルスは多くの作物で問題になっています。その多くは、土壌中(根圏)に生息するネコブカビ(原生生物)によりウイルスが伝搬されます。ネコブカビ類媒介性のウイルスは約20種が知られていますが(Tamada & Kondo、 JGPP 2013参照)、そのうち、ネコブカビPolymyxa betaeにより媒介されるBNYVV(テンサイそう根病の病原ウイルス)はテンサイ(甜菜)の最重要病害のひとつとして知られています。本総説では、BNYVVの基本性状を紹介するとともに、本ウイルスの進化、系統と地理的起源、伝搬経過、抵抗性品種および抵抗性品種の罹病化について総合的に解説を行いました。筆者のひとり玉田元教授(岡山大資生研)は、テンサイそう根病の発生当初よりほぼ半世紀にわたって、本病の世界的発生拡大の現状に接しながら、ウイルス学的な研究にも携わってきました。このようにひとつの病害について、分子からほ場レベルまでの全体像が明らかにされた事例はそれほど多くないので、病害研究のケーススタディとして、他の病害研究の参考になると期待されます。特に、私達が進めているウイルスの病原性・伝搬性あるいは抵抗性の打破メカニズムの解析は、将来的には土壌伝染性ウイルスの制御技術の構築にも重要な知見になると思われます。
(文 責:近藤秀樹)

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