イネの葉緑体分裂を制御する因子を明らかにしました

[著者] Peter K. Kamau, Shingo Sano, Tsuneaki Takami, Ryo Matsushima, Masahiko Maekawa, and Wataru Sakamoto

[論文タイトル] A mutation in GIANT CHLOROPLAT encoding a PARC6 homolog affects spikelet fertileity in rice

[掲載論文] Plant and Cell Physiology, doi: 10.1093/pcp/pcv024

[内容紹介]

植物の光合成は、約10億年前に光合成能を持つラン藻(シアノバクテリア)が共生したことに由来する「葉緑体」で行われています。このため、光合成や葉緑体を維持するための多くのしくみがバクテリア由来であるという特徴を持っています。例えば、葉緑体は植物細胞にたくさん存在しており、1つの細胞の中で分裂しながら増えていきますが、これはバクテリアに類似の分裂装置によって行われています。葉緑体が分裂して細胞内で増殖することは、植物の成長や葉の大きさに関係すると考えられていますが、それらの詳細はよくわかっていません。「シロイヌナズナ」という小型のモデル植物を用いて分裂制御因子の解析が進んでいますが、イネなどの作物、特に単子葉植物ではそれらの研究が進んでいませんでした。

私たちは今回、イネで葉緑体分裂が異常となり、葉緑体が巨大化する変異体を見つけてその原因となる遺伝子の作用を明らかにしました。「ジャイアントクロロプラスト(gic)」と名付けられたこの変異体は、葉緑体分裂を制御するPARC6という因子が以上となり、葉緑体が2倍以上巨大化して細胞あたりの数が減ることがわかりました。さらに、gicは通常のイネと同様の成長をするものの、穂で不稔になる種子が増加するため、葉緑体分裂がイネの稔実に重要であることが初めて明らかとなりました。さらに、今回得られた葉緑体が巨大化するイネgicを用いることで、葉緑体ゲノムの分子育種にも応用の可能性が広がることが期待されます。

(文責 光環境適応研究グループ・坂本 亘)

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