イネのリン酸輸送体の制御機構の解明

[著者] Chen, J., Wang, Y., Wang, F., Yang, J., Gao, M., Li, C., Liu, Y., Liu, Y., Yamaji, N., Ma, J. F., Paz-Ares, J., Nussaume, L., Zhang, S., Yi, K., Wu, Z. and Wu, P.

[タイトル] The rice CK2 kinase regulates trafficking of phosphate transporters in response to phosphate levels.

[掲載誌] Plant Cell, 27: 711–723 (2015)

[内容紹介] リン酸輸送体(PT)は植物のリンの吸収などに重要な役割を果たしています。PTは環境中のリンの濃度に応答して転写レベルや翻訳後レベルで調節されますが、その制御機構はまだ完全に解明されていません。本研究では、浙江大学のWu教授らのグループと共同で、イネのPTをリン酸化する酵素CK2β3を突き止めました。CK2β3はCK2α3と複合体を形成し、環境中のリンの濃度が高い場合は、吸収に関わるPT2やPT8をリン酸化し、PTのERから細胞膜への細胞内輸送に重要なPHOSPHATE TRANSPORTER TRAFFIC FACILITATOR1(PHF1)との結合を阻害し、その結果、細胞膜のPTが減少し、リンの吸収を抑制します。一方、環境中のリンが少なく植物が欠乏になった場合、CK2β3が分解され、PTの細胞膜への細胞内輸送が促進されます。従って、PTのリン酸化部位を変異させた遺伝子をイネに形質転換すると、CK2β3による制御がなくなり、リン酸欠乏条件下で、より多くのリン酸を吸収することを実験で証明しました。

(文責 植物ストレス学グループ・馬 建鋒)