イネのヒ素蓄積と分配における節の役割

[著者] Chen Y, Moore KL, Miller AJ, McGrath SP, Ma JF, Zhao FJ

[タイトル] The role of nodes in arsenic storage and distribution in rice.

[掲載誌] J Exp Bot 66: 3717-3724 doi: 10.1093/jxb/erv164 (2015)

[内容紹介] ヒ素は毒性の強い元素で、摂取すると、我々の健康に悪影響を与えます。主食であるコメからのヒ素の摂取は多くの部分を占めています。したがって、コメのヒ素濃度を低減させることは非常に重要です。本研究では、シンクロトロンを利用したマイクロX線蛍光分析法(μ-XRF) を用いて、イネの節でのヒ素の蓄積と分配を調べました。ヒ素は主に上位節と節間の維管束の篩部に蓄積していました。またケイ酸輸送体遺伝子Lsi2が節で高く発現し、この遺伝子を破壊すると、篩部でのヒ素の蓄積が減少しました。節間の切口から亜ヒ酸を与えると、野生型イネと比べ、ケイ酸輸送欠損変異体lsi2では節および止葉へのヒ素の分配が増え、逆に種子への分配が減少しました。しかし、メチルヒ素DMAを与えた場合、野生型イネと変異体との間にヒ素の分配に差が認められませんでした。またファイトキケラチンの合成を阻害するブチオニンスルホキシミンで処理すると、上位節でのヒ素の蓄積が減少しましたが、止葉と種子のヒ素蓄積が増加しました。これらの結果から、Lsi2はイネの節においてヒ素の分配に重要な役割をし、またファイトケラチンが節でのヒ素の蓄積に必要な化合物であることを示唆しています。したがって、節は種子へのヒ素分配を制限するフィルターの役割をしていると言えます。なおこの研究はイギリスRothamsted研究所との共同研究です。

(文責 植物ストレス学グループ・馬 建鋒)