C4植物の維管束鞘細胞におけるルビスコシャペロンBSD2と葉緑体発達の新たな知見

[著者] Salesse C, Sharwood R, Sakamoto W, Stern D

[論文タイトル] The Rubisco Chaperone BSD2 May Regulate Chloroplast Coverage in Maize Bundle Sheath Cells

[掲載論文] Plant Physiol., 175: 1624-1633 (2017).

[共同研究]
大原奨農会(国際研究助成)
共同研究者
David Stern (Boyce Thompson Institute for Plant Research, Cornell University, USA)

[使用した共通機器] 光合成蒸散測定装置、共焦点レーザー走査型顕微鏡、マルチストレス負荷型植物培養施設

[内容紹介]
光合成は、地球の大気環境を維持する植物の最も重要な生命反応です。光合成の暗反応とよばれる二酸化炭素の同化は葉緑体のストロマで行われ、そこでは「ルビスコ」という酵素により大気中のCO2が捕捉され(カルボキシラーゼ反応)、カルビン-ベンソン回路により炭素化合物が合成されます。ルビスコが行うカルボキラーゼ反応は大変効率が悪いため、植物はルビスコを大量に合成したり、トウモロコシなどのC4植物では葉に特殊な細胞(維管束鞘細胞)を発達させて効率よく反応が進むように環境に適合しています。トウモロコシでは、維管束鞘細胞の形成に必須の因子としてBSD2タンパク質が1990年代に報告されましたが、これまでの研究により、BSD2がルビスコ酵素の形成を助けるシャペロン因子であることが明らかになってきています。
本研究では、BSD2を維管束鞘細胞だけ、葉肉細胞だけで発現させる植物を作成してその機能を調べることを試みています。その結果、BSD2の必要性が高いのは維管束鞘細胞であり、BSD2の蓄積が葉緑体発達にも多面的に作用して維管束鞘の形成に関与する可能性を明らかにしました。
本研究は、植物研が研究交流協定を締結しているコーネル大学ボイストンプソン研究所との共同研究により行われました。(文責 光環境適応研究グループ・坂本 亘)

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