日本、中国、タイにおいてコナガのピレスロイド剤抵抗性遺伝子の頻度を調査しました

[著者] Shoji Sonoda, Xueyan Shi, Dunlun Song, Youjun Zhang, Jianhong Li, Gang Wu, Yong Liu, Ming Li, Pei Liang, David Wari, Masaya Matsumura, Chieka Minakuchi, Toshiharu Tanaka, Tadashi Miyata and Xiwu Gao

[論文タイトル] Frequencies of the M918I mutation in the sodium channel of the diamondback moth in China, Thailand and Japan and its association with pyrethroid resiastance

[掲載論文] Pesticide Biochemistry and Physiology (2012) 102: 142-145

[共同研究] 中国農業大学、中国農業科学院、福建農林大学、湖南農業科学院、湖南農業大学、華中農業大学、貴州大学、名古屋大学、九州沖縄農業研究センターとの共同研究

[使用した共通機器] DNAシーケンサー

[内容紹介]
アブラナ科作物の世界的な害虫であるコナガのピレスロイド剤に対する抵抗性は、標的であるナトリウムチャネルにおける3つのアミノ酸変異(L1014F、T929I、M918I)が関与していることが示唆されてきました。しかし、これらの変異の野外における頻度についてはほとんど調べられていませんでした。また、M918Iの抵抗性への関与についても明らかにされていませんでした。そこで、3つの抵抗性遺伝子の頻度をアジア3カ国(中国、タイ、日本)の野外系統を用いて調査しました。L1014Fの中国、タイ、日本における頻度はそれぞれ、89-100%、97-100%、65-85%でした。T929Iに関してはそれぞれ86-100%、70-97%、54-84%でした。M918Iは日本と中国の系統からは低い頻度(最高27%)で検出されましたが、タイ系統からは検出されませんでした。M918Iがピレスロイド剤抵抗性に関与していることを明らかにするために、M918Iをホモに持つ系統を確立し、T929Iをホモにもつ個体と抵抗性レベルの比較を行いました。その結果、M918Iのホモ系統はT929Iのホモ系統と同程度のピレスロイド剤抵抗性を示すことが明らかとなりました。
本研究によって、日本におけるピレスロイド剤抵抗性遺伝子の頻度は他のアジア諸国に比べて低いことが示唆されました。これは日本では、コナガ防除における殺虫剤の主役がピレスロイド剤から他の殺虫剤に移ったこと、ローテーション散布が徹底され殺虫剤抵抗性管理がうまくできていることと関係しているように思えます。また、M918Iがタイ系統において検出されなかったことは、コナガのピレスロイド剤抵抗性の進化を考える上で非常に興味深い発見といえます。今後機会があれば今回の3カ国以外の国においても調査を行いたいと考えています。本研究の一部は科学技術振興事業団の二国間交流事業による共同研究「日中における重要害虫の殺虫剤抵抗性の解析」の援助を得て行われました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
(文責 野生植物グループ・園田 昌司)

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