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イネの「ステイグリーン」に関わる遺伝子を明らかにしました

[著者] Yamatani, H., Sato, Y., Masuda, Y., Kato, Y., Morita, R., Fukunaga, K., Nagamura, Y., Nishimura, M., Sakamoto, W., Tanaka, A., and Kuraba, M.

[論文タイトル] NYC4, the rice ortholog of Arabidopsis THF1, is involved in the degradation of chlorophyll-protein complexes during leaf senescence

[掲載論文] Plant J., doi: 10.1111/tpj.12154 (2013).

[共同研究] 拠点共同研究(H23年度、広島大学・草場信)

[使用した共通機器] 隔離温室

[内容紹介] 植物の葉では葉緑体が発達して光合成を活発に行い、糖などの代謝産物を蓄えます。しかし、必要なくなった葉からは、それらを必要に応じて養分として別の組織へ転流させます。イネも実ると黄金色になりますが、それらは葉の老化作用として、積極的に分解して再利用しているからなのです。このような葉の老化を制御することは、作物の生産性を理解する基盤的知見となるだけでなく、光合成活性を持続させて植物の有効利用にもつながる研究といえます。
今回の論文では、イネにおいて葉のクロロフィル分解が進まずにステイグリーンとなる変異体nyc4を解析し、原因遺伝子が作るタンパク質を明らかにしました。このタンパク質は、遺伝子解析が進むシロイヌナズナでTHF1として報告されていたものでした。nyc4変異体では、野生型に比べて光化学系IIでの光エネルギー収率が維持されることもわかりました。THF1は葉緑体のチラコイド膜に局在し、光化学系II周辺での複合体維持に関係している可能性が示唆されました。葉の老化を遅らせて光合成を維持することが出来れば、バイオマスの生産性を向上させる研究にも発展することが期待されます(この研究は、広島大学大学院理学研究科などとの共同研究として行われました)。
(文責 光環境適応研究グループ・坂本 亘)

関連リンク: 光環境適応研究グループ

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