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希土類元素ランタンを補欠分子属とする酵素、Methylobacterium由来メタノール脱水素酵素

[著者] Nakagawa T, Mitsui R, Tani A, Sasa K, Tashiro S, Imawa T, Hayakawa T, Kawai K.

[論文タイトル] A catalytic role of XoxF1 as La3+-dependent methanol dehydrogenase in Methylobacterium extorquens strain AM1.

[掲載論文] PLoS ONE, 7, e50480 (2012)

[共同研究] 岐阜大学、岡山理科大学

[共同利用機器] ICP-MS

[内容紹介]
Methylobacterium属細菌はメタノールを単一炭素源として利用可能なグラム陰性細菌です。比較的どこにでも存在しますが、植物の表面に多く見つかります。これは、植物がメタノールを放出しているからであると考えられています。本属細菌の中には植物の生育を促進するなど有用な機能を持つ菌も知られており、植物との共生機構や生育促進作用に興味が持たれます。本属細菌は植物上でメタノールを酸化する酵素、メタノール脱水素酵素を高発現していることが分かっており、植物由来メタノールを利 用していることを間接的に裏付けています。
Methylobacterium属細菌はMxaFとXoxFという二つのメタノール脱水素酵素を持っています。両酵素は50%の相同性を有します。これまでカルシウム依存性のMxaFが試験管内でのメタノールへの生育には必須と考えられてきました。これはMxaFの破壊株がメタノールに生育できず、XoxFの遺伝子破壊株はメタノールに生育するためです。しかし、本論文ではMxaFの遺伝子破壊株はカルシウムではなく希土類元素であるランタンの存在下で実は生育することを示し、XoxFがランタンを補欠分子属として含むメタノール脱水素酵素であることを示しています。
これまで希土類元素が生物にとって何らかの役割を持つことは知られておらず、それを補欠分子属として持つ酵素の報告も全くなく、極めて新しく重要な発見です。希土類元素(レアメタル)は土壌中には決してレア(希少な)存在ではないので、植物上での本酵素の役割にもさらに興味が持たれますし、また他にも希土類元素の生物における役割があるかもしれません。
(文責 植物・微生物相互作用グループ・谷 明生)

http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0050480

関連リンク: 植物微生物相互作用グループ

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