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日本育種学会優秀発表賞を受賞しました。

[著者] 松島良, 前川雅彦, 草野都, 近藤秀樹, 藤田直子, 坂本亘

[論文タイトル] 澱粉粒の大きさを制御するSSG4遺伝子の同定と解析

[掲載論文] 2014年日本育種学会秋季大会(第125回講演会)

[使用した共通機器] 走査型電子顕微鏡

[共同研究] 理化学研究所 草野都上級研究員ならびに秋田県立大学 藤田直子准教授との共同研究

[内容紹介]
澱粉は植物が光合成産物として合成するグルコースの多量体であり、人類の主食として重要なだけでなく、加工澱粉という形で加工品(甘味料,食品添加剤)や工業品(製紙用接着剤)としても利用されています。澱粉は細胞内では不溶性で、植物細胞内では、「澱粉粒」と呼ばれる1 – 50μmの粒子を形成します。澱粉粒の大きさは、澱粉の精製効率や利用用途を規定する重要形質です。澱粉粒の大きさは植物種によって異なりますが、その決定に関与する分子群はこれまで分かっていませんでした。
我々は、澱粉粒が巨大化するイネ突然変異体の解析を進めています。本研究では、突然変異体の解析によって、澱粉粒の大きさを制御する新規因子であるSSG4遺伝子の実体を同定しました。
SSG4遺伝子はC末端にDUF(Domain of unknown function) 490を持つ機能未知のタンパク質をコードしていました。発現解析の結果、SSG4遺伝子は多くの組織で発現していましたが、受粉後5-7日目の登熟種子において強く発現することが分かりました。また、SSG4タンパク質は澱粉粒を合成、蓄積するオルガネラであるアミロプラストに局在していることも分かりました。SSG4は、穀類の胚乳における澱粉粒の大きさを制御する因子としては最初の報告例であります。SSG4遺伝子と似た遺伝子は他の穀類にも存在することから、この遺伝子に変異を導入することで、多くの穀類で澱粉粒の大きさを人為的に制御できるようになる可能性があります。

(文責 光環境適応研究グループ・松島 良)

関連リンク: 光環境適応研究グループ

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