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菌類の2本鎖RNAウイルスの解説です

[著者] 千葉 壮太郎・鈴木 信弘

[論文タイトル] 多様性に満ちた菌類の 2 本鎖 RNA ウイルス

[掲載論文] ウイルス64巻 225-238

[使用した共通機器] 超遠心機、DNAシークエンサー

[内容紹介] これまでに報告されている菌類ウイルス ( マイコウイルス ) の多くは 2 本鎖 RNA (dsRNA) をゲノム に持ちます. これは, 菌類では回収が比較的容易なウイルス由来 dsRNA を指標にして探索が行われてきたことと無関係ではないてと思われます. 現在では, 様々な菌類, 特に植物病原菌類を対象にスクリーニングが行われ, 宿主菌に対し病気を引き起こし宿主菌の植物に対する病原力を衰退させるマイコウイルスの分離・同定が盛んに行われています. この背景には, 植物病原糸状菌による農作物の病害をマイコウイルスで制する, いわゆるヴァイロコントロール ( ウイルスによる生物防除 ) を目指す研究の世界的流れがあります. 病原性の有無に拘らず, 多くの RNA ウイルスが分離され, 多様性に満ちた菌類の dsRNA ウイルスの世界が明らかになりつつあります. 2014 年現在, dsRNAマイコウイルスを包含するウイルス科は, 国際ウイルス分類委員会で 6 科 (Reoviridae, Totiviridae, Chrysoviridae, Partitiviridae, Megabirnaviridae, Quadriviridae) が承認されています. これらのうち, 2科は日本のグループからの提案されたものです. 加えて, 未分類ウイルスのグループをすべて含めると, 近い将来科の数は倍増する見通しです. 本稿では, 菌類から分離された多種多様な dsRNA ウイルスを最近の知見を交えて概説しました. ご一読あれ.
(文 責:鈴木信弘)

お問い合わせ先:植物・微生物相互作用グループ

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