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アルミニウム集積植物ソバの網羅的発現解析

[著者] Yokosho K, Yamaji N, Ma JF.

[タイトル] Global Transcriptome Analysis of Al-Induced Genes in an Al-Accumulating Species, Common Buckwheat (Fagopyrum esculentum Moench).

[掲載誌] Plant and Cell Physiology 55: 2077-2091 (2014)

[内容紹介] ソバはアルミニウム(Al)耐性が強いだけでなく、地上部に高濃度のAlを集積できることが知られています。これまでの生理学的な解析から、ソバはAlに応答し根からシュウ酸を分泌すること、地上部ではAlをシュウ酸との錯体の形態で液胞に隔離することが明らかとなっています。これらのシュウ酸の分泌やAlの集積過程において多くのトランスポーターの関与が予想されますが、未だ同定されていません。我々はソバのAl耐性機構を明らかにするため次世代シークエンサーを用いてRNA-seqを行い、根と葉においてAlに応答する遺伝子を網羅的に解析しました。根と葉から作成されたコンティグの総数は約15万であり、BLAST検索を行なったところ約8万の遺伝子にアノテーションを付けることができました。Alによる発現応答の比較を行なったところ根では20μM Al,6時間の処理によって発現量が5倍以上増加した遺伝子は487個、1/5以下に低下したものは408個ありました。一方、葉では20μM Al,24時間の処理によって発現が5倍以上に増加したものは496個、1/5以下に低下したものは499個ありました。そのうち根と葉で共通で増加したものは 25個、共通で低下したものは20個存在しました。さらにトランスポーター候補遺伝子に着目したところ、根と葉で発現が誘導されるトランスポーターにはイネやシロイヌナズナでAlによる誘導が知られているABCトランスポーターファミリー(FeSTAR1、FeSTAR2、FeALS1) やMATEファミリー(FeFRDL1、FeFRDL2)が見出されました。また主に根で発現しAlで誘導されるトランスポーターにFeIREG2が存在しました。一方主に葉で発現しAlに誘導されるトランスポーターとしてFeNRAMP1がありました。これらの遺伝子の発現応答は他の植物と大きく異なり、ソバ特異的なアルミニウム耐性機構に関与している可能性がります。

(文責 植物ストレス学グループ・馬 建鋒)

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