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光合成の機能維持にはタンパク質分解酵素自身の品質管理が重要

[著者] Kato Y, Hyodo K, Sakamoto W

[論文タイトル] The Photosystem II Repair Cycle Requires FtsH Turnover through the EngA GTPase

[掲載論文] Plant Physiol
http://www.plantphysiol.org/content/178/2/596.long

[使用した共通機器] DNAシークエンサー, MALDI-TOF-MS/MS

[内容紹介]
植物の生育を支える光合成では、光合成を行うタンパク質装置が光による損傷を受けることが知られています。光化学系II修復サイクルは、この光による損傷を受けたタンパク質を分解・新規合成し、光合成機能を維持する機構です。そして、損傷したタンパク質分解には、葉緑体にあるタンパク質分解酵素が重要であることが知られており、タンパク質分解酵素の機能を調べることは植物の生育、そしてサスティナブルな社会に重要と考えられます。本研究では、我々は光化学系II修復サイクルに関わるタンパク質分解酵素の機能調節機構を明らかにすることを目的に研究を進め、タンパク質分解酵素と相互作用するタンパク質を過剰に発現させた場合、タンパク質分解酵素がより安定化することを見出しました。しかしながら、より安定化したタンパク質分解酵素を持つ植物は光ストレスに対して、弱くなるという結果も得られました。これら矛盾した結果は、タンパク質分解酵素自身が光ストレス条件下において損傷する可能性があること、損傷したタンパク質分解酵素自身もまた置き換える必要があることを示唆しています。これら考察を含め、我々は光化学系II修復過程でのタンパク質分解酵素自身のターンオーバーモデルを新たに提案しました。(文責 光環境適応研究グループ・加藤)

関連リンク: 光環境適応研究グループ

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