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細胞分子生化学G
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研究テーマを「極限環境における植物の適応能力の解明と環境耐性植物の開発」に定め,極限環境下における植物で発現する遺伝子・タンパク質の機能や耐性獲得機能について,生化学的分子生物学的手法を用いて解析しています.とくに,紫外線,放射線,電磁場,微小重力,急激な温度変化など地球とは全く異なる宇宙環境が植物の発生,成長,世代交代などライフサイクルに及ぼす影響について,国際宇宙ステーションを利用した国際共同研究を行っています.私たちの研究は,人類が宇宙で長期にわたり滞在し活動する際に必要な食料の自給を可能にする生命支援システム開発を担っています.

【最近の研究トピックス】

1.宇宙で生育する植物のストレス応答・防御遺伝子の発現解析

宇宙環境が植物の発生,生長,世代交代等に与える影響は不明ですが,宇宙放射線と微小重力の相乗効果によりフリーラジカルが多量に発生し,植物に酸化ストレスを引き起こすことが予測されています.私たちは国際宇宙ステーションに搭載している植物栽培装置で長期間栽培したオオムギとミズナにおける遺伝子発現を網羅的に解析し,宇宙環境が植物に酸化ストレスを引き起こすことや植物が宇宙環境に適応するために活性酸素種遺伝子ネットワークを再プログラミングしていることを明らかにしました。

2.宇宙船外に曝露した種子生存能力の解析

地上では種子の保存は低温低湿条件下で行なわれますが,宇宙では利用できる電力や建築資材等に制限があり,種子保存施設は可能な限り簡素であることが要求されます.しかし,宇宙環境が種子の生存能力に与える影響に関する情報は少なく,どの程度の防御レベルが必要であるか判断するのは困難です.私たちは国際宇宙ステーション船外の金属容器に保管したオオムギ種子の発芽率,農業形質,β—グルカン量,遺伝子変異や紫外線照射後の生存能力について調査し,紫外線から保護した状態で種子は少なくとも12ヶ月間は農業特性,品質,遺伝子に変化無く宇宙環境で保存できることを明らかにしました.

3.紫外線で発現する遺伝子の機能解析

紫外線は波長によりUV-A(320-400nm) ,UV-B(290-320nm) ,UV-C(100-290nm)に区分されます.地表に到達する紫外線の99%がUV-Aですが,宇宙では全ての紫外線が降り注いでいます.また,環境悪化によるオゾン層の破壊が続けば、地上におけるUV-BやUV-Cの影響が無視できなくなります.私たちはNudix hydrolase遺伝子群の紫外線応答性が異なることを明らかにしました.今後,UV-C特異的に発現する遺伝子の機能と紫外線応答・防御メカニズムの解明を進め,UV-C耐性植物の開発に利用したいと考えています.

 

〒710-0046 倉敷市中央2-20-1 岡山大学 資源植物科学研究所                     

 

 

 

 

 

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