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研究内容

1. 大麦の実と殻を分ける遺伝子を特定


通常のオオムギは脱穀しても実(頴果)と殻(頴)が接着して離れない,「皮麦(かわむぎ)」で,醸造や飼料に利用される.しかし,実と殻がきれいに分離できる「裸麦(はだかむぎ)」とよばれる変種もある.裸麦は実の表面を削る(搗精という)手間が少なく,食用に適している.遺伝学的に,皮麦と裸麦の違いは7H染色体上の単一遺伝子座に支配され,皮性に対し裸性が劣性(遺伝子記号nud)である.イネ科作物の中で,オオムギだけに皮性と裸性の両方の形態が見られる.私たちはオオムギの皮性と裸性を決める遺伝子を特定することに成功した。

Fig.1 皮麦と裸麦の種子(左)と穂(右) (左から皮麦の種子/裸麦の種子/皮麦の穂/裸麦の穂)

Fig.2 オオムギの皮性(Nud)・裸性遺伝子(nud)のマップベースクローニング(A).自然変異で生じた裸麦ではERF (ethylene response factor)転写因子が完全に欠けており(B), Nud遺伝子はERF転写因子の一種であることが明らかになった(C).

Fig.3 ERF転写因子は種皮で発現(矢印).

Fig.4 図4.皮麦と裸麦の頴果(実)と頴(殻)の脂質染色.皮麦は実の表面が黒く染まり脂質が分泌されていることがわかる.

香川大学,三重大学、農業生物資源研究所(つくば市)などとの共同研究です。

 

2. ポリフェノール酸化酵素遺伝子の分子遺伝学的解析


オオムギを食品として利用する際に大麦粉に含まれるポリフェノール類物質が褐変し見栄えが悪くなることが問題になっている。我々は褐変化の一因とされるポリフェノール酸化酵素の遺伝子を特定することを目指している。これまでにコムギのポリフェノール酸化酵素遺伝子の配列情報をもとに大麦のホモログを2種類単離することに成功した。今後は、どちらの遺伝子が種子の褐変化に関与するかを明らかにしたい。

オオムギの穂の様々な器官を1%フェノール水溶液で24時間染色した結果。左の品種では種子を含めすべての器官が褐変しているが、右の品種では褐変化は見られない。右の品種ではフェノール酸化酵素遺伝子に突然変異が起こって終始コドンが早期に発生し、活性のない酵素が作られているとみられる

〒710-0046 倉敷市中央2-20-1 岡山大学 資源植物科学研究所 遺伝資源機能解析グループ 

 

 

 

 

 

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