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GENETYX -所内限定-

研究内容

 本グループでは、野生種からの遺伝子移入やゲノム再編成による効率的な食料生産のために必要な遺伝要因の解明および植物ホルモンによる遺伝子発現制御機構の解明を目的とする。

1.イネのDNA型トランスポゾンの探索

イネでは全塩基配列の解読がほぼ終了し、それぞれの遺伝子機能が解明されつつある。種々の遺伝子の機能解明にはタグされた遺伝子破壊系統の解析が威力を発 揮する。タグされた遺伝子破壊系統作成にあたっては,DNA型トランスポゾンが有用であるが、イネではこのタイプの内在性の活性のあるトランスポゾンは MITEのmPing以外未発見であった。我々は、イネの日印間交雑F2で得られた易変性を示す葉緑素異常変異体からマップベースクローニング法により Ac/Ds型に属する、非自律性因子nDart(non-autonomous Ds-related active rice transposon)を発見した。

2.野生イネからの染色体部分導入による生育旺盛型イネの開発とその要因解析

 21世紀の農業のあり方として環境に調和した低投入高収量型の持続的農業が理想とされる。そのためには、少肥条件においてもある程度の収量を確保できる ような作物品種の育成が望まれる。本研究では、低投入高収量型品種の条件として考えられる生育旺盛性をもたらす要因を野生イネからの遺伝子導入系統を用い て解明することを目的とする。アフリカの野生種Oryza longistaminataからしおかりへの染色体部分置換系統の中から生育旺盛型イネを育成した。導入染色体を調べたところ、第3染色体と第7染色体 のそれぞれ末端領域が導入されていることが明らかとなった。

3.イネ科野生植物の金属及び酸化ストレス応答機構や耐性機構に関する解析

Alストレス高耐性のメリケンカルカヤには、1)根でのAl吸収抑制。2)根から地上部へのAl高輸送。3)抗酸化酵素やポリフェノール類の誘導。4) 地上部移行したAlを葉の棘状組織への集積とそこからの排出。5)シグナル伝達物質のNOの生成など、5つのAl耐性機構や応答機構が存在した。現在さらにメリケンカルカヤ由来の2つの遺伝子、ABC transporter遺伝子とS-adenosyl methionine synthetase (SAMS)のAlストレス下での機能を解析している。
また、新たにイネ科野生植物180種余りを用いて酸化ストレス耐性植物の選抜を行った。得られた植物に付いてストレス下で誘導される蛋白質群についてプロテオミクス解析を進めている。

4.アラビドプシスの多種ストレス応答性AtGST11遺伝子の転写調節に関わる因子群の解析

AtGST11(glutathione S-transferase)遺伝子は多種ストレスに応答する遺伝子である。その発現応答に関与するプロモーター結合性の転写調節因子4つ(AtbZIP30、AtERF2、DAL1、AtHB6)を単離し、解析している。前者2つはactivatorとしてAtGST11遺伝子の発現を誘導することが、また後者2つは repressorとして恒常的に発現を抑制することが示唆されている。

5.渦遺伝子がオオムギ未熟胚由来カルスからの植物体再分化に及ぼす影響

 植物ホルモンによる遺伝子発現制御機構を調べる上で、ホルモン間の相互作用を理解することは重要である。ブラシノステロイドのセンサータンパク質をコー ドするHvBRI1の変異に由来するオオムギの渦性は、オーキシンやサイトカイニンの内生含量にも影響を及ぼす。未熟胚培養系における分化、脱分化はオー キシン、サイトカイニンにより制御されることが知られている。本研究では、分化、脱分化におけるブラシノステロイドと他のホルモンの相互作用を明らかにす るために、並、渦系統間の交雑により得られたF2集団および同質遺伝子系統を用い、渦遺伝子のカルス増殖および植物体再分化に及ぼす影響を調査した。その 結果、渦遺伝子はカルス増殖に対しては影響を及ぼさなかったが、植物体再分化率は並、渦遺伝子型間で異なった。並遺伝子型系統は渦遺伝子型系統に比べて高 い再分化率を示し、渦遺伝子が植物体再分化に対して抑制的に作用することが明らかとなった。


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