研究の概要

 

■ 研究の背景

水はすべての生命活動において必須な基本物質であり、植物を健全に育て、収穫物の鮮度を保つためには適切な水管理が不可欠です。しかし植物と水の関係を取り扱う「水分生理学」や水管理技術においては、生化学的あるいは分子生物学的な知見はこれまでほとんど盛り込まれていませんでした。というのも植物の「みずみずしさ」を実現している分子、すなわち植物細胞での水の出入りや貯水機能を司っている分子=アクアポリンは近年(1992年)になって発見されたものであるために、その研究、特に応用につながるような基盤研究がまだ十分に進んでいないからです。

 

■ 研究の目的

本研究は、アクアポリンの構造と調節機構を研究し、農作物(植物)の水吸収・水輸送において、これまで手つかずであった分子機構・基盤原理の解明をすすめることを目的としています。その成果は根本的に新しい水管理手法の開発を含め、従来の技術では対応できなかったような栽培・植栽環境(乾燥地等、水利用が困難な環境)への対応、果物や花卉の品質や鮮度保持の向上(「みずみずしい」農産物の生産と供給)等の実現へつながることが期待されます。また二酸化炭素輸送能等、水の吸収・輸送以外のアクアポリン新機能の解析とその利用も本研究の目的としています。

 

■ 当初の研究計画(概要)



研究代表者 且原真木 (岡山大学資源生物科学研究所)