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植物分子生理学グループの研究内容です

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植物分子生理学グループ
Group of Plant Molecular Physiology

研究内容 (Research)SERVICE&PRODUCTS

電気生理学的な研究法

「植物イオンチャネルの解析」

この方法では,アフリカツメガエル(Xenopus laevis)から卵母細胞(オーサイト)を取り出すことから,実験を始めます.

アフリカツメガエルは,一般的にツメガエルの倍数体となっています(Molecular Biology of The Cellより).
そのためか,個体ごとにオーサイトの状態がかなり違うように思います.
また,飼育状況によってもオーサイトの状態が異なるため,最適な飼育環境が必要と思われます.

私たちの研究室では,通年20 ℃程度になるよう飼育室を調整しています.
(25℃よりも高い温度でもカエルは生きられるかもしれまんが,オーサイトの状態は悪くなるように思います.)

カエルの飼育時に光が必要かどうかは,解りません.
 且原先生らは水槽を黒いビニルで覆い,一日中暗条件にしています.
 佐々木は水槽を置く棚に蛍光灯をおき,12時間一定の明暗サイクル下で飼育しています.(京都大学で電気生理を行っている某ラボのHPにそのように書いてあり,それを参考にしました.)
 どちらの生育条件でも,状態のよいカエルから取られたオーサイトでは電流を測定できているので,カエルを飼育する光条件はオーサイトの状態には影響しない可能性が高いと思います.
(ただし,(太陽光のような)強い光はカエルによくない,とカエルの販売業者の方が言ってました.)

これまでの経験上,購入してすぐのカエルはあまり餌を食べません.
私は,購入後1ヶ月程度はそっとしておいて,餌をよく食べるようになってから,オーサイトを取り出して実験に用いるようにしています.


オーサイトを用いた電気生理的解析の手法は下の図に示す手順で行われます.


1)アフリカツメガエルからオーサイトを取り出す.
2)オーサイトは卵塊となっているため,「コラゲナーゼ」(注1)という酵素で,1つ1つのオーサイトになるようにする.
3)オーサイトに輸送体の遺伝情報を含むcRNAを注入する.(注2)
4)数日間,18-20 ℃ で保温する.その際用いる溶液は,Barth's solution, Ringer's solution, ND96などのNaClベースの溶液を用いる(Goldin Methods in Enzymology 307, 266-279, 1992参照).これらには,適宜抗生物質を添加するとよい.
5)1日から数日の保温の間に,オーサイトの「細胞膜」(注3)に輸送体タンパク質を発現させる.
6)場合によっては,測定前にオーサイト中に,輸送基質を注入する.
7)2本のガラス電極をオーサイトに刺す.1つは膜電位の固定に,もう1つは電流の計測に用いる(注4).このような装置を用いることで,一定の電圧で膜電位を固定し,その際に流れるイオン(陽イオンや陰イオン)の流れを,電流値として測定する.この方法を二電位膜電位固定法;Tow-electrode voltage clamp (TEVC)と呼ぶ.

*TEVC法についての解説は,(気が向いたら)いつか紹介したいと思います!?

(注1)保温時の溶液からカルシウムを除いた溶液を用いる.カルシウムの存在下ではコラゲナーゼがオーサイトにダメージを与えるらしい.

(注2)cRNAには,アフリカツメガエル由来のβ-globin遺伝子の5'-, 3'-UTR (untranslated region)配列を含めるとオーサイトでの発現効率が上昇する(らしい.著者は比較をしたことがないため,絶対かは解らない).また,プラスミドからの合成には,mMESSAGE mMACHINE transcription kit (ThermoFisher社)などを用いる.

(注3)植物の液胞膜局在の輸送体も,オーサイトでは細胞膜に発現することが多いようだ.もちろん,植物細胞膜の輸送体もオーサイト細胞膜に発現する場合が多いが,輸送活性を測定できるかは,由来する植物種や,輸送体の性質に依存する場合があると思われる.

(注4)これは一般論であり,アンプ(電流・電圧の増幅器)のメーカーや種類によっても異なるようだ.私たちが使用しているMolecular Device社のAxoclamp 900Aで測定するセットアップの場合には,電圧固定や電流測定の仕組みは若干異なるらしい...


次は 植物の形質転換体を用いた解析方法 です. (ただいま作成注です...)

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