Q1 研究内容を教えて下さい。
イネの遺伝育種研究をしています。私達が普段食べている栽培種(Oryza sativa)の他に、地球上には20種の野生イネが自生しています。私は、それら野生イネが持つ農業的に有用な遺伝子を探索し、育種に活用するための研究を行っています。また、近年ではコンピュターを用いたデータ解析主導のアプローチ、バイオインフォマティクスが盛んですが、私も遺伝子探索を効率よく行うための解析ツール開発も行っています。
Q2 その研究はどんなところが面白いんですか?

Q3 その研究によって,最終的に何が分かるとハッピーになりますか??
実際に市場に流通するような品種の開発には長い年月を要するのが一般的ですし、個々の研究者がおいそれとできるものではありません。地域の栽培環境にあった新品種開発を実際に行っているのは、各地域の農業試験場などです。そのような育種の現場で、有効に利活用できる育種材料や新しい育種方法を生み出すことが最終的な目標です。工業製品を開発するように自由度の高い効率的な育種を可能にし、環境変動や市場変化に柔軟かつ迅速に対応した育種を実現できると、私だけではなく、全人類がハッピーになれるかなと思います。
Q4 大学時代から同じ研究をされていたんですか??
学部生のときは理学部生命理学科に所属して、学部4年時から修士課程まで所属した研究室では線虫Caenorhabditis elegansを用いて神経に関する研究をしていました。しかし研究を続けるうちに、もっと『成果を社会に役立てること』を意識して研究したいと考えるようになりました。そこで博士課程からは食の根幹を支える分野である、育種学を専攻することにしました。
Q5 大学院に進むことを決めた理由は?
高校生の時から研究者になることを目指していたので、大学院に進むことは当然の選択でした。学部4年になって研究に携わってみて、新しい知識を学んだり、実験をすることが性に合っていて、全くストレスなく楽しめたのも大きな要因です。
Q6 研究者になったきっかけは?
高校生のときにジェームズ・ワトソン著「DNA」(原題:The secret of life)を読んだことが転機だと思います。生物というシステムの複雑さと精巧さに衝撃を受けました。宇宙よりも深淵といえるかもしれない世界が、手の届く場所に存在しているという事実にも、魅了されました。そして、パズルのように情報のピースを組み合わせて謎を解き明かす『研究』の世界を知りました。この書籍との出会ったことが、研究者になったきっかけと言えると思います。
Q 7 研究から、ちょっと話題を変えて。ご出身はどちらですか?
静岡県です。県西部にある天竜川という一級河川流域の田舎町で育ちました。うなぎパイは子供の頃からよく食べていますし、今では有名になってしまったハンバーグのファミレス「さわやか」は自転車で行ける距離にあります。
Q8 特に好きな食べ物はありますか?
刺身です。魚屋さんでまるごと1尾買って捌いて食べます。サワラなど青物はバーナーで炙って食べるのも大変美味しいです。鮮魚を毎日食べることができる肉食魚類が羨ましいです。
Q9 趣味はなんでしょう?
キャンプです。小学生のときにボーイスカウトに所属して頻繁にキャンプをしたのが、キャンプ趣味の始まりです。大学在学中は、キャンパスが都市部にあったためキャンプ場が近くに無くて。あまりにキャンプに飢えたので、一時期自室にテントを張って生活していました。
Q 10 それは激しい禁断症状ですね!では、そろそろ締めくくりに向けて、今いる植物研って、一言で言うとどんなところですか?

Q 11 倉敷・岡山で好きなところは?
必要なものが過不足無くコンパクトにまとまっているところです。居住地域にもよると思いますが、電車、新幹線、高速道路に簡単にアクセスでき、比較的透明度の高い海にも積雪のある山までも2時間以内にたどり着けます。賑やかな観光地である美観地区は研究所から徒歩で行けますし、そのおかげで飲食店も豊富です。その一方で過剰に人で溢れ返ることも基本的に無いです。地震や台風の被害も少なく、非常に恵まれた土地だと思います。
Q 12 それでは最後に、新・大学院生へのメッセージをお願いします!
大学院生活そしてその先の研究者生活は、自由度が高い生き方だと思います。その分、自分の責任と能力が問われます。自分の選択が正しかったか?という問いに答えはありませんが、自分の選んだ道を「正解の道」にしていけるように、そして今持っている信念を忘れずに、貪欲に突き進んでください。