様々な染色技法と画像解析を組み合わせ、染色体制御に迫る!
長岐 清孝 准教授
統合ゲノム育種グループ
email: nagaki(AT)okayama-u.ac.jp (ATをアットマークに変更してください)
Q1 研究内容を教えて下さい。
Q2 その研究のどんなところが特に面白いんですか?
動原体は生命の根本である増殖機能に関わる機能をもった構造体です。それらが、どのように形作られ、制御され、機能を果たしているかを知ることは、いわば生命の根本の仕組みを解き明かしているようでワクワクします。エピジェネティクスは、簡単に言えばゲノムを調整する仕組みです。植物体は様々な種類の細胞をもち、それらの間では異なる調整がおこなわれているはずです。その仕組みを解き明かすことも、とても面白いと感じています。
その研究を始めたきっかけは何ですか?
動原体研究のはじまりは、大学院生のときに植物でも動原体の構成要素に関する研究がちらほらと出始めていて、漠然と「私も研究してみたい」と思っていたのですが、「何を材料に」「どう切り込めばいいか」が見えずにいました。そんな折、ラボのパーティーで老酒飲んだら、ふとアイデアを思いつき、それを試したら、トントン拍子で結果が出て、数ヶ月で論文化できたのがきっかけです。エピジェネティクス研究の方は、他の研究者とは違う染色体屋っぽい切り口で研究できないかと考えていたときに植物研の他の研究者が組織切片を使って解析していたのをみて、この解析手法をエピジェネティクスにも使えないか?と思ってはじめました
Q3 その研究は世の中にどのように役立つんですか?
この質問は、理学を学んだ人間としては、あまり好きな言葉ではないのですが、動原体の研究は、この知識を活かして多くのDNAを安定に維持できるベクターである人工染色体を構築したり、動原体の機能を改変して半数体を作り出すことにより、作物の品種改良のための時間を短縮したりするのに役立つはずです。エピジェネティクスの方は、制御機構がわかれば、その調節度合いをかえることにより、作物をチューンナップしていけると思っています。
正直にいうと、動原体の仕組みやエピジェネティクスの制御、それらの多様性を解明して、人類の知の総体にこれらの情報を加えることができれば、私はハッピーです。
Q4 研究に関して、最近一番嬉しかったことは?
研究の楽しさは「まだ、人類の誰も知らない真実をみつけること」です。気がつけば長いこと研究者をしていますが、恍惚と思えるほどの大発見は数回しか味わっていません。最近となると難しいのですが、顕微鏡を覗いて目的とするシグナルを発見して、それが美しければ、プチ至福です。
Q5 研究に関して、大変なことは何ですか?
基礎的な研究をしているとなかなか研究費を獲得できないことですかね。
Q6 研究をやめたいと思うことはありましたか?
基本的に研究は楽しいので、自分のペースで、やりたい研究をできているうちはないですね。
Q7 得意ワザはありますか?
今や貴重な技になりつつある植物の染色体研究に関する技(標本作製、蛍光in situハイブリダイゼーション、免疫染色、Cas9を用いたDNA配列の可視化)です。
Q8 大学では何を専攻しましたか?
学部は農学系でしたが、分子生物学を中心に教える学科で、農学的なことはあまり学びませんでした。大学院は、他大学の理学系に進み、どっぷりと理学を学びました。ですので、農学系の職場にいながら、未だに理学脳で働いている状態です。植物系に進んだのは、マウスの解剖で「こりゃ向かない」と思ったからです。
Q9 大学院に進むことを決めた理由は?
小学生の頃から「科学者か○○になる!」といっていて、○○の方は自然消滅したので、「大学院に進まない」という考えが浮かびませんでした。
Q10 研究者になったきっかけは?
Q11 今の職についてよかったと思うことは?
誰も知らないことを自分の手で解き明かすことができることです。
Q12 目標とする研究者像は?
科学を純粋に楽しんでいる方々に憧れます。ワトソンよりはクリック的な感じです。
Q13 大学時代一番打ち込んだことは?
釣り (と研究)
Q14 好きな言葉は?
「役に立つ」が社会をダメにする。(by 大隅博士)
Think different
Real artists ship.
Let's try!
今日撒かないE. coliは明日生えない。
Q15 植物研って, 一言で言うとどんなところですか?
「とかいなか」にあるコンパクトでも光を放つ研究所
Q16 最後に、新・大学院生へのメッセージは?
科学することをトコトン楽しんでください。