葉っぱに住みつく変わった細菌と植物の共生関係!

 

谷 明生 准教授

 

植物環境微生物学グループ

 
email: atani(AT)okayama-u.ac.jp (ATをアットマークに変更してください)

葉っぱに住みつく変わった細菌と植物の共生関係!

 

谷 明生 准教授

 

植物環境微生物学グループ

 
atani(AT)okayama-u.ac.jp

Q1 研究内容を教えて下さい。

意外な事実なのですが、実は、植物はメタノールを葉っぱから大量に放出しています。その結果、植物の葉っぱの上にはそのメタノールを利用できるMethylobacteriumという細菌が優占化しています。メタノールを使う一方で、彼らは植物ホルモンを合成したりして、植物の生育を促進しています。私たちは、この共生関係のメカニズムを主に研究しています。また、研究所の他のメンバーとともに、圃場環境で作物に付随する微生物群集の構造や機能を研究しています(フィールドフローラ研究チーム)。
Methylobacterium属細菌たちは、メタノールを利用する特殊な代謝系を持っており、その代謝経路、関与する酵素、その遺伝子発現制御などを一つずつ明らかにしようとしています。また、彼らはメタノール代謝に生物は利用しないと考えられていたランタノイド元素を使っています。代謝経路の調節や生態的な機能もランタノイドの有無に応答して変化します。
 フィールドフローラ研究では、オオムギ、イネの根圏微生物群集の構造が環境変化や時系列でどのように変遷しているかを可視化しています。

Q2 その研究は、どんな役に立つのでしょうか?

植物共生細菌のそれぞれが一体何をしているのか、集合体としてどのような機能を持っているのか、を理解することで、たとえばその群集構造や機能を人為的に制御して、健全な作物の生産に結びつけたいと思っています。
実用的なところでは、見つけてきた細菌で、微生物にしかできないサプリメントになるアミノ酸や、薬になり得る抗菌物質の生産などもやっています。

Q3 その研究を始めたきっかけは何ですか?

屋上緑化資材としてのコケ植物の開発研究を手伝ったときに、コケ植物の液体培養サンプルにメタノールを食べる菌が多いことに気づき、そこから分離したのが、今研究対象としているMethylobacterium属細菌です。

Q4 研究に関して、最近一番嬉しかったことは?

Methylobacteriumといえば岡大の谷と言われるようで、知らない研究者から共同研究に声を掛けていただくことが多くなったことです。

Q5 大学では何を専攻しましたか?

農芸化学を専攻していました。主に微生物機能を利用するというアプローチをとっていたわけですが、今は植物という環境を細菌の生態の場と捉えて植物環境微生物学を立ち上げつつ、微生物機能の応用もやっているわけです。

Q6 大学院に進むことを決めた理由は?

みんなが行くからです(最もアカン理由ですね)。

Q7 研究者になったきっかけは?

学生時代に遊びすぎたという反省から、ちゃんと勉強してから出ようと思ったというのと、層の厚い研究室だったので先輩方の凄さに憧れてというのもあると思います。

Q8 今の職についてよかったと思うことは?

自分のやりたいことや興味に従ってやれることですが、日々の生活は地味だし、世界が狭くなりがちなので、同じく興味が共有できる人たちとワイワイやりたいですね。国際学会でいろんなところに行けるのは、良いと思います。

Q9 目標とする研究者像は?

既存のレールに乗って先が見えることをやるのは嫌なので、とはいえ仮説を立てるということはほぼ自分でレールを引いていることになるので、探索的な実験をしてよく観察しながら、あれ?と思うことを見つけられる研究者でありたいと思います。

Q10 趣味はなんですか?

ロードバイクで通勤です、でもビビりなのでまだフラペです(分かるひとにだけ)。

Q11 座右の銘は?

自己を尊重せよ、真理を探究せよ、社会に献身せよ(洛南高校校訓)。そして常識を疑え、です。

Q12 植物研って, 一言で言うとどんなところですか?

じっくり研究するには良いところだと思います。学部がないので大学生のキャンパスライフという感じではなく、職業としての研究者が多いので年齢層高めな世界ですね。教員自身の専門的な研究を間近に見ることが出来るのが良いと思います。

Q13 倉敷・岡山で好きなところは?

うどんが美味しいと思ったのは岡山に来て初めてです。あとは災害が少ないですね。

Q14 研究室でのイベントはありますか?

不定期な飲み会はイベントごとにやっています。発酵出身なのでお酒は大事です。お酒とは微生物研究、また人間の文化そのものです。

Q15 最後に、新・大学院生へのメッセージをお願いします!

一緒に「あれ?」を発見しましょう。