農業の現場感覚をもとに、高機能オオムギを作出する遺伝基盤を明らかにする

武田 真 教授
遺伝資源機能解析グループ
email: staketa(AT)okayama-u.ac.jp (ATをアットマークに変更してください)
Q1 研究内容を教えて下さい。

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Q2 その研究は世の中にどのように役立ちますか?
水溶性食物繊維を多く含むオオムギは健康食品で、血糖値や血中コレステロールを抑え、肥満や心臓病の予防効果があります。お米にオオムギを混ぜて炊飯することで無理なく摂取できます。高β-グルカンオオムギが普及すれば、健康社会の実現に一歩近づくと思われます。
Q3 その研究を始めたきっかけを教えて下さい
オオムギでβ-グルカンを全く合成出来ない突然変異体を見出し、その原因遺伝子を世界で初めて解明したことがきっかけです。
Q4 研究で、最近一番嬉しかったことを教えて下さい
オオムギの穂が白くなる突然変異体の原因遺伝子を解明し、穂での光合成が種子の充実に重要であることを論文として発表したことです。この突然変異体は、観賞利用も期待されます。
Q5 研究で、大変なことはありますか?
オオムギは生き物なので、毎日の世話(水やり等)が欠かせません。オオムギが何か語りかけてくれているような気がします。
Q6 研究をやめたいと思うことはありましたか?
あります。オオムギは農作物で、他のモデル植物のような高度な研究は困難です。それでも、オオムギで出来ることを精一杯行えばよいと考えます。
Q7 研究の中で得意なことを教えて下さい?
オオムギの多くの材料を厭うことなく播種、栽培、調査そして収穫することです。地道ですが、面白い現象の原因遺伝子を解明出来ています。
Q8 大学では何を専攻しましたか?
農学部(農学科)で育種学を専攻しました。
Q9 大学院に進むことを決めた理由は何ですか?
ライコムギ(コムギとライムギの人工雑種)という世界初の人造作物で、染色体を入れ換えた新たな系統を選抜していました。この研究は創造の学問だと思い、進学しました。
Q10 研究者になったきっかけは何ですか?
大学農学部の附属農場の助手に採用して頂いたのがきっかけです。農場実習や農作業に勤務時間中は明け暮れ、研究はアフターファイブという、二足のわらじを履く生活を4年半ほど続けました。
Q11 今の職についてよかったと思うことを教えて下さい。
上記の附属農場や地方大学農学部も経験しました。現職の研究所は、教育負担や会議が少なく、種々の業務が免除されているのは恵まれています。ただし、外部から、厳しい批判があることは承知しています。
Q12 目標とする研究者像を教えて下さい。
自分一人では研究は出来ません。小さなチームでも、大金無しで、興味深い発見ができることを示したいです。修士学生は大事です。院生には、主体的な取り組みで、何かを発見してもらいたいです。
Q13 最近の楽しみは何かありますか?

Q14 好きな言葉はありますか?
ときに想像しない人物が偉業を成し遂げる(by アラン・チューリング:コンピュータの概念を最初に提唱した英国の数学者)
Q15 今まで訪ねた中で、一番好きな場所はどこですか?
在外研究員として短期(計4ヶ月)滞在した、英国のノリッチ(Norwich)での日々が懐かしいです。
Q16 植物研って、一言で言うとどんなところですか?
農業にとても遠い所。当ラボは、現場感覚を大事にしています。
Q17 倉敷・岡山で好きなところを教えて下さい。
近場なら、総社市の五重塔、造山古墳
Q18 研究室でのイベントはありますか?
特になし。修了生には、プレゼントをしています。
Q19 新・大学院生へのメッセージをお願いします
教員から言われたことを鵜呑みにせず、疑問を感じれば、遠慮無く尋ねて下さい。