植物におけるエピゲノム制御機構を解明する

 

池田 陽子 准教授

 

環境応答機構研究グループ

 
email: yikedaATokayama-u.ac.jp (ATをアットマークに変更してください)

植物におけるエピゲノム制御機構を解明する

 

池田 陽子 准教授

 

環境応答機構研究グループ

 
yikeda(AT)okayama-u.ac.jp

Q1 研究内容を教えて下さい。

植物におけるエピゲノムの変換を介した遺伝子の発現調節の仕組みを調べています。「エピゲノム」というのは、遺伝子が書き込まれているゲノムにおけるDNAの化学修飾や、その格納状態などの事です。このエピゲノムの状態の違いにより、遺伝子の情報の読み出し(発現)が盛んに行われるかどうかが制御されています。そのため、ゲノム配列が同じでも、遺伝子の発現量の違いにより、その細胞や個体の状態が変わってくるのです。

Q2 その研究のどういうところが面白いですか?

「エピゲノム」は遺伝子の発現調節だけでなく、動く遺伝子「トランスポゾン」の制御にも関わっていることが明らかになっています。トランスポゾンの転移により、転移先の遺伝子が破壊されたり、発現が変化することがあります。身近なところで例を挙げると、トウモロコシの粒の色や、アサガオの花の色などは、トランスポゾンの転移が原因でバリエーションが生じています。一方で、トランスポゾンの転移は個体にとって有害であることが多いので、普段は「エピゲノム」によりトランスポゾンは動かない状態に制御されています。このように「エピゲノム」はいろいろな形質や生命現象に影響を与えるところが面白いです。

Q3 その研究はどんなことに役立ちますか?

エピゲノムの制御の仕組みを理解することができれば、それをうまく利用してエピゲノムの状態を変え、遺伝子を活性化したり、眠らせたり、自在に働きを調節することが可能になるかもしれないと考えています。エピゲノムの状態を変える事で、DNA配列を変える事なく、植物のいろいろな形質を調節し、役立つ植物を開発できるかもしれません。

Q4 研究に関して、大変なことは何ですか?

なかなか思うように研究が進まないことです。私は1つのことに全力投球タイプの人間だったので、育児が始まってから研究と両立するのは簡単ではないな、と実感しています。

Q5 どんな実験が好きですか?

実体顕微鏡下でのピンセットを使った『植物の解剖』です。ピンセットを研ぐのが趣味の一つです。

Q6 大学では何を専攻しましたか?

農学部で植物病理の研究を行なっていました。環境問題に取り組みたいと思って農学部に入りましたが、その後、もっと基礎研究分野で研究を深めたいと思い、大学院では理学研究科で植物遺伝学を研究しているラボに進みました。すぐに役に立つかわからないけど「知りたい」から研究するという理学のスタンスが好きです。

Q7 どうして大学院に進むことを決めたのですか?

研究することが面白かったからです。

Q8 今の職についてよかったと思うこと、これはちょっと、、、、と思うことはありますか?

よかったことはまだ世界中で誰も知らないことを自分が発見できる喜びを味わえることです。また、いろんな国の人と接する機会があり、異なる価値観、文化を知ることができたし、学会や研究で海外に行く機会が多かったです。一方で、英語がこんなに必要と思っていなかったです(そのため学生時代あまり英語を真面目に勉強していなかった)。

Q9 大学時代一番打ち込んだことは?

岡山大学グリークラブ(混声合唱団)の活動です。

Q10 研究者にならなかったら,就きたい職業は何ですか?

刃物工芸士か園芸の育種屋さん。

Q11 好きな言葉を教えて下さい。

人に優しく自分に厳しく(最近はあまり実行できていませんが,,,,)

Q12倉敷・岡山のどんなところが好きですか?

少しのんびりした雰囲気。古墳巡りが楽しいです。

Q13 研究室でのイベントはありますか?

折々にお疲れ様会や忘年会などがあります。ラボにBBQ名人がいて以前はBBQが盛んでしたが、最近は新型コロナのため機会があまりありません。また再開したいです。

Q14 最後に、新・大学院生へのメッセージをお願いします!

うまくいくかわからなくても、失敗を恐れず試行錯誤し、新しい発見の喜びを見出して下さい!