塩ストレス環境に強い植物の作出を目指し、植物輸送体を科学する!

 

且原 真木 教授

 

植物分子生理学グループ

 
email: kmaki(AT)okayama-u.ac.jp (ATをアットマークに変更してください)

塩ストレス環境に強い植物の作出を目指し、植物輸送体を科学する!

 

且原 真木 教授

 

植物分子生理学グループ

 
kmaki(AT)okayama-u.ac.jp

Q1 研究内容とその研究の面白いところを教えてください。

水が生き物の生存に必要不可欠であることは小学生でも知っていますが、その吸収や輸送の仕組みについての植物科学的な研究は多くありません。そこで、植物細胞の水輸送システムや塩ストレス応答機構について研究をおこなっています。水輸送体タンパク質であるアクアポリンやイオン輸送体などの制御と分子機構の基礎・基盤を解明することに携わることができる点がとても面白いです。

Q2 研究で,最終的に何ができるようになるとハッピーですか?

植物アクアポリンの研究は、水吸収についての基礎科学的な面だけでなく、少ない水でも健全に作物を生育させる節水農業につながることも期待できます。また最近研究が進められているイオン輸送性アクアポリンは塩ストレス環境でのイオンと水の取り込みの制御において中心的な役割を果たしていると考えられています。この研究が塩ストレス環境でもイオンストレスに負けず水吸収ができる頑強な植物を作出することにつながればハッピーです。

Q3 アクアポリンの研究を始めたきっかけは何ですか?

もともと塩害(塩ストレス)に興味があり、イオン輸送の研究を大学院生で開始しました。研究生活の早い時期に、塩ストレス環境においては浸透圧ストレス、すなわち水吸収の問題が同時に生じていること、かつ研究が進んでいないことに気が付いたことと、その頃に世界で初めてアクアポリンが発見された、というタイミングもきっかけになりました。

Q4 研究をやめたいと思うことはありましたか?

なかったですね。論文を書くのはちょっと大変ですけど成果が形に残るのは嬉しいですし、実験して、いろいろな議論をして、日々の生活を送らせてもらっているのは、ありがたいことです。

Q5 実験の得意ワザは何ですか?

アフリカツメガエルの卵母細胞に植物の輸送体遺伝子(RNA)を顕微注入して発現させることです。いわゆる異種発現系による機能解析です。

Q6 小学校の頃は何になりたかったですか?

科学者!です。

Q7 研究者にならなかったら,就きたい職業は?

ミュージシャン(あるいは演奏家でなくても音楽関係)です。

Q8 好きな言葉は?

Haste not, Rest not.
元はドイツ語です。急がず(あせらず)に、でも休まず(怠けず)に物事に取り組む姿勢を表すこの言葉は、研究への取り組み方に通じていると思います。

Q9 植物研って、一言で言うとどんなところですか?

植物の研究をするなら、日本で最高レベルのところです。

Q10 倉敷・岡山で好きな場所は?

美観地区、岡山県ということであれば蒜山高原かな。

Q11 研究室でのイベントはありますか?

お花見、歓送迎会、有志でのハイキングなどです。

Q12 最後に、新・大学院生へのメッセージをお願いします!

すべての大学院生が研究者になるとは限らないにせよ、実験結果がわかっている「実習」ではなく、自らの手と頭で科学の新しい発見なり機構解明をなしとげる「研究」を、ぜひ大学院生として体験してください。それを通して研究者になる人、あるいは「研究」がどんなものか実体験として知って社会に出て行って活躍する人となることを期待しています。