2024年3月 耐虫性を高めるイネの遺伝子を解析した研究がIJMS誌に掲載されました(プレスリリース)。

今回、農研機構と岡山大学は、東京大学、東京理科大学と共同で、BSR1遺伝子を遺伝子組換え技術によりイネで強く働かせると、葉を食べる害虫(クサシロキヨトウの幼虫)に対する抵抗性が高まること、また、そのメカニズムにイネが生産する抗菌性化合物が関わることを明らかにしました。BSR1遺伝子は幅広い病原菌に抵抗性を付与することが知られており、たった一つの遺伝子の働きが病原菌や害虫という幅広い外敵に抵抗性を示すことは珍しく、この発見は新しい病害虫防除技術の開発の糸口になると考えられます。

今後は、BSR1遺伝子の作用メカニズムをさらに詳細に解明するとともに、BSR1遺伝子の働きを強める技術を開発することにより、作物を病原菌と害虫の両方から守る新たな防除法につながると期待されます。また、幅広い種類の作物がBSR1に似た遺伝子を持っており、将来的にはこれらの作物に応用していくことも展望できます。

また本研究では、抗菌活性が知られていたモミラクトンBがクサシロキヨトウの幼虫の成長を抑制することも示しました。モミラクトンBが昆虫食害で誘導されることは知られていましたが、本研究により昆虫に対する機能を初めて示すことができました。

これら成果は国際誌「International Journal of Molecular Sciences」に掲載され、農研機構・岡山大学よりプレスリリースされました。

プレスリリース(2024年3月19日)はこちらをご覧ください。
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1203.html

[掲載誌] International Journal of Molecular Sciences (2023) 24(12):10395.
https://doi.org/10.3390/ijms241210395