【200128】第3回作物イノベーション研究セミナーを開催しました。

2020年1月28日(火)に、京都大学の飛松裕基先生と立命館大学の石水毅先生をお招きして、第3回作物イノベーション研究セミナーを開催しました。今回は「植物機能性成分研究の最前線」と題して、リグニンとペクチンに関する最新の知見をご発表いただきました。解析手法の説明から最新の研究成果、今後の展望まで感動的なご発表で活発な議論が行われました。
演者の先生方には、この場を借りて御礼申し上げます。

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【開催概要】

『第3回作物イノベーション研究セミナー・植物機能性成分研究の最前線』(開催済み)

日時: 2020年1月28日(火)15:00〜17:15
場所: 岡山大学資源植物科学研究所 本館1階 プレゼンテーションルーム
講師: 飛松裕基 先生(京都大)、石水毅 先生(立命館大)

講演1
【演題】「イネ科バイオマスを特徴付けるリグニンの構造多様性とその形成制御」
【演者】飛松 裕基 (京都大学生存圏研究所)
【要旨】イネ科植物は、食糧生産のみならず、持続型のバイオ燃料・バイオ化成品の生産を担うリグノセルロース供給源としても重要な植物群である。イネ科植物の細胞壁に蓄積されるリグノセルロースは他の維管束植物のそれとは異なる構造的特徴を持つことが古くから指摘されてきた。とりわけ、その主要成分である芳香属高分子リグニンは、研究データの蓄積が多い双子葉植物や裸子植物のリグニンとは一線を画する、複雑な化学構造と生合成様式を有することが徐々に明らかにされている。本講演では、特にイネ科植物に焦点を当てて、リグニンの構造と生合成、バイオマス利用への応用も視野に入れた代謝工学について、演者が関わった最近の研究を中心に紹介する。

講演2
【演題】「植物細胞壁ペクチン生合成と植物の陸上進出」
【演者】石水 毅 (立命館大学生命科学部)
【要旨】植物細胞壁の多糖成分のペクチンは、細胞の形・大きさ・しなやかさ、細胞接着に関わっていると考えられている。しかし、ペクチン合成酵素遺伝子の多くは同定されておらず、ペクチンの機能解明が進んでいない。演者らはペクチン合成酵素の一つ、ラムノガラクツロナンIラムノース転移酵素(RRT)遺伝子(糖転移酵素ファミリーGT106)を同定した。RRTは、水生植物にはなく、陸上植物で見出されたことから、ペクチン合成は植物の陸上進出の鍵を握る仕組みであることが示唆された。これらの成果を元にして、ペクチン生合成に関する今後の研究課題・楽しみな展開について紹介したい。参考文献:Takenaka et al., Nature Plants 4, 669-676 (2018); Ulvskov and Scheller Nature Plants 4, 635-636 (2018)

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