| お問い合わせ | Home |  




-PMIの最近の研究業績から-

環境微生物チーム(研究所HP, 研究成果一覧より転載)

  

   ウイルス研究業績解説へ  研究業績へ  


[内容紹介] 


植物共生細菌に抗酸化アミノ酸エルゴチオネインの生産を見いだしました
Production of ergothioneine by Methylobacterium species
Md Alamgir K. Masuda S, Fujitani Y, Fukuda F, Tani A
Front. Microbiol. 6, 1185 (2015)
[内容紹介] Methylobacterium属細菌は植物葉面の主要な共生細菌の一種で、植物の生育を促進する能力があります。私たちは本属細菌の細胞内代謝物メタボローム解析により抗酸化活性の高いアミノ酸の一種、エルゴチオネインが著量蓄積していることを見いだしました。エルゴチオネインはほ乳類や植物は合成出来ませんが限られた細菌やカビ、キノコに生産性が見いだされていました。高等生物における役割には分かっていない点が多いのですが、そもそも大量に供給できる生産方法が確立されていないため高価です。本属細菌におけるエルゴチオネインの高生産性は初めて見つかりました。本論文では本属細菌によりエルゴチオネインの生産性の最適化と、エルゴチオネイン合成遺伝子破壊株の解析から、メタノールを原料としたエルゴチオネインの工業生産に向けた基礎的知見と本属細菌における役割を明らかにしています。

谷准教授が「2015年度発酵と代謝研究奨励賞」を受賞
[受賞者] 谷 明生 准教授
[受賞タイトル] ユニークな抗酸化性アミノ酸、エルゴチオネインの微生物生産
http://www.jba.or.jp/pc/activitie/research_encouragement/info/001830.html
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5097.html
[内容紹介] 一般財団法人バイオインダストリー協会(JBA)が実施している「発酵と代謝研究奨励賞受賞者」の授与式・受賞記念講演が10月14日、「Bio Japan 2015」の開催会場であるパシフィコ横浜(横浜市西区)で行われ、本学から資源植物科学研究所(IPSR)植物・微生物相互作用グループの谷明生准教授が受賞しました。本賞は、発酵と代謝の研究分野における研究を奨励するものです。今回、谷准教授のメイン研究課題である、植物と微生物の相互作用の研究成果が高く評価されました。授与式では、谷准教授に加えて、本学研究推進産学官連携機構の尾本哲朗産学連携本部長らも出席。受賞の喜びをともに分かち合いました。授与式に続いて開催された受賞記念講演会では、谷准教授が「ユニークな抗酸化性アミノ酸、エルゴチオネインの微生物生産」と題して講演。受賞の基礎なる研究概要と、今後の展開について紹介し、参加者と熱心に意見交換を行いました。谷准教授は、「この度は栄えある賞を頂き光栄です。今後とも植物と微生物の相互作用についてさまざまな角度から研究したいと思います」と喜びや意気込みを語りました。

イネとオオムギに対して生育促進効果の高いMethylobacterium属細菌の効果と、これら植物に共生する本属細菌の種レベルの同定
Methylobacterium species promoting rice and barley growth and interaction specificity revealed with whole-cell matrix-assisted laser desorption / ionization-time-of-flight mass spectrometry (MALDI-TOF/MS) analysis
Tani A, Sahin N, Fujitani Y, Kato A, Sato K, Kimbara K
PLoS ONE 10(6): e0129509
[内容紹介] 

植物生育促進菌Methylobacterium aquaticumのゲノム解析
Complete genome sequence of Methylobacterium aquaticum strain 22A, isolated from Racomitrium japonicum moss.
Tani A, Ogura Y, Hayashi T, Kimbara K
Genome Announc 3(2) e00266-15. (2015)
[内容紹介Methylobacterium属細菌は植物葉面上で優占化する細菌の1種です。その名の通りメタノールを単一炭素源・エネルギー源として利用可能です。植物はペクチンの分解に由来するメタノールを大量に放出しており、それを利用して生育していると考えられています。また本属細菌の接種により植物の生長が促進されることから農業分野への応用も期待されています。本論文では屋上緑化植物として有望視されているエゾスナゴケから分離した株のゲノム解析を行った結果を報告しています。また本研究室では本細菌をモデルとして植物との相互作用解析を進めており、その基盤としてゲノム情報は重要です。リピート配列が多く完全ゲノム決定は困難でした。
[PubMed] http://genomea.asm.org/content/3/2/e00266-15.full
  (文責 谷)

希土類元素ランタンを補欠分子属とする酵素、Methylobacterium由来メタノール脱水素
A catalytic role of XoxF1 as La3+-dependent methanol dehydrogenase in Methylobacterium extorquens strain AM1.
Nakagawa T, Mitsui R, Tani A, Sasa K, Tashiro S, Imawa T, Hayakawa T, Kawai K
PLoS ONE, 7, e50480 (2012)
[内容紹介]Methylobacterium属細菌はメタノールを単一炭素源として利用可能なグラム陰性細菌です。比較的どこにでも存在しますが、植物の表面に多く見つかります。これは、植物がメタノールを放出しているからであると考えられています。本属細菌の中には植物の生育を促進するなど有用な機能を持つ菌も知られており、植物との共生機構や生育促進作用に興味が持たれます。本属細菌は植物上でメタノールを酸化する酵素、メタノール脱水素酵素を高発現していることが分かっており、植物由来メタノールを利用していることを間接的に裏付けています。 Methylobacterium属細菌はMxaFとXoxFという二つのメタノール脱水素酵素を持っています。両酵素は50%の相同性を有します。これまでカルシウム依存性のMxaFが試験管内でのメタノールへの生育には必須と考えられてきました。これはMxaFの破壊株がメタノールに生育できず、XoxFの遺伝子破壊株はメタノールに生育するためです。しかし、本論文ではMxaFの遺伝子破壊株はカルシウムではなく希土類元素であるランタンの存在下で実は生育することを示し、XoxFがランタンを補欠分子属として含むメタノール脱水素酵素であることを示しています。 これまで希土類元素が生物にとって何らかの役割を持つことは知られておらず、それを補欠分子属として持つ酵素の報告も全くなく、極めて新しく重要な発見です。希土類元素(レアメタル)は土壌中には決してレア(希少な)存在ではないので、植物上での本酵素の役割にもさらに興味が持たれますし、また他にも希土類元素の生物における役割があるかもしれません。
http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0050480
共同利用機器ICP-MS
[共同研究] 岐阜大学、岡山理科大学   (文責 谷)

ウラジロチチコグサから見つかったMethylobacterium属細菌の新種(M. gnaphalii)
Methylobacterium gnaphalii sp. nov., isolated from leaves of Gnaphalium spicatum
Tani A., Ssahin N,, Kimbara K
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology (2012), 62, 2602-2607
[内容紹介] Methylobacterium属細菌はメタノールを単一炭素源として利用可能なグラム陰性細菌です。比較的どこにでも存在しますが、植物の表面に多く見つかります。これは、植物がメタノールを放出しているからであると考えられています。本属細菌の中には植物の生育を促進するなど有用な機能を持つ菌も知られており、植物との共生機構や生育促進作用に興味が持たれます。私たちは本属細菌に注目して、多様な植物から多くの本属細菌を収集して分類しています。その中でこれまで知られていない新種がウラジロチチコグサから見つかったので、新種であることを示し、またウラジロチチコグサの学名(Gnaphalium spicatum)にちなみ、M. gnaphaliiと名付けています。なお、この分類には非常に迅速で正確である質量分析器を用いた方法を利用しており、その詳しい内容についてはPLoS ONE(2012), 7, e40784 で報告しています。
[共同研究] トルコ・ムグラ大学    (文責 谷)

質量分析器を用いた迅速かつ正確な微生物同定方法をMethylobacterium属細菌に応用しました
High-Throughput Identification and Screening of Novel Methylobacterium Species Using Whole-Cell MALDI-TOF/MS Analysis
Tani A., Ssahin N, Matsuyama Y, Enomoto T, Nishimura N, Yokota A, Kimbara K
PLoS ONE 7(7): e40784. doi:10.1371/journal.pone.0040784  (2012)
[内容紹介] 細菌を属・種・株というレベルで分類するために、これまで多くの手法が開発されてきました。属レベルでは、たとえばコロニーの形態などである程度の判別が可能ですが、種となるとそれだけではほぼ見分けがつかず、まして株レベルとなるとDNAの塩基配列レベルまで比べないと分からないのが現状です。この現状を打開する新しい手法として、最近では質量分析器を用い、細菌を構成する多様なタンパク質の分子量を一気に測定し、その分子量パターンを比較することによって、種レベルはおろか、株レベルまでを瞬時に同定してしまうという技術が発達しています。本研究では植物の表面に多く存在し、植物が放出するメタノールを栄養源として生育している、Methylobacterium属細菌について、この方法を応用しました。その結果多くの未知菌が発見され、これらのうちいくつかは、すでに新規な菌として発表しています。この報告では新規菌の発見のみならず、この方法の最適化と、検出される分子量ピークの由来、この方法で分類できない本属細菌の種について、また分離源となった植物種と菌の種の相関についても論じています。この方法により、見ただけでは区別できない菌を容易に区別し、多くの分離菌から同一の菌を排し、遺伝的に異なるものだけを集めてくることが可能です。
[共同研究] トルコ・ムグラ大学、ブルカー・ダルトニクス株式会、社岡山理科大学、インドネシア大学  (文責 谷)

ユリから見つかったMethylobacterium属細菌の新種(M. oxalidis)
Methylobacterium oxalidis sp. nov., isolated from leaves of Oxalis corniculata
Tani A., Sahin N, and Kimbara K
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 62,1647?1652 (2012)
[内容紹介] Methylobacterium属細菌はメタノールを単一炭素源として利用可能なグラム陰性細菌です。比較的どこにでも存在しますが、植物の表面に多く見つかります。これは、植物がメタノールを放出しているからであると考えられています。本属細菌の中には植物の生育を促進するなど有用な機能を持つ菌も知られており、植物との共生機構や生育促進作用に興味が持たれます。 私たちは本属細菌に注目して、多様な植物から多くの本属細菌を収集して分類しています。その中でこれまで知られていない新種がユリから見つかったので、新種であることを示し、またユリの学名(Oxalis corniculata)にちなみ、M. oxalidisと名付けています。なお、この分類には非常に迅速で正確である質量分析器を用いた方法を利用しており、その詳しい内容についてもまたご報告できると思います。
[共同研究] ムグラ大学(トルコ)                     (文責 谷)

Methylobacterium属細菌と屋上緑化に用いられるエゾスナゴケにおける、メタノールを介した相利共生をコケの促成栽培に結びつけました
Practical Application of Methanol-Mediated Mutualistic Symbiosis between Methylobacterium Species and a Roof Greening Moss, Racomitrium japonicum
Tani A., Takai Y., Suzukawa I., Akita M., Murase H., Kimbara K.
PLoS One, 7, e33800 (2012)
[内容紹介]  ヒートアイランド現象の緩和策として、大都市では新規建造物の緑化が義務づけられています。建物緑化に用いられる植物には様々なものがありますが、最もメンテナンスフリーなものは、エゾスナゴケであると考えられています。本研究ではエゾスナゴケの促成栽培に用いられる液体培養段階で、その培養液にいる微生物を非培養法で調べ、メタノール資化性細菌が多いことを見いだし、Methylobacterium属細菌を分離しました。分離した菌はスナゴケの成長を協力に促進しました。また他の植物にも効果がありました。
[共同研究] 大阪府立大学、近畿大学、大阪府環境農林水産総合研究所、明豊建設、静岡大学
[共同利用機器] DNAシーケンサ     (文責 谷)

屋上緑化に用いられる乾燥耐性の高いエゾスナゴケの促成栽培におけるバクテリアの接種の有効性
Culturable bacteria in hydroponic cultures of moss Racomitrium japonicum and their potential as biofertilizers for moss production
Tani A., Akita M., Murase H., Kimara K.
J. Biosci. Bioeng. 112, 32-39.(2011)
[内容紹介]  ヒートアイランド現象の緩和策として、大都市では新規建造物の緑化が義務づけられています。建物緑化に用いられる植物には様々なものがありますが、最もメンテナンスフリーなものは、エゾスナゴケであると考えられています。本研究ではエゾスナゴケの促成栽培に用いられる液体培養段階で、その培養液にいる微生物を分離し、性質を調べ、エゾスナゴケに接種した際に生育促進効果が起こることを示しています。これらのバクテリアをエゾスナゴケ促成栽培に用いて、コストを下げることが出来るかもしれません。
[共同利用機器] DNAシーケンサ     (文責 谷 )

環境汚染物質分解菌のプラスミド
Characterization of a cryptic plasmid, pSM103mini from polyethylene-glycol degrading Sphingopyxis macrogoltabida strain 103.
Tani A, Tanaka A, Minami T, Kimbara K, Kawai F
[掲載誌] Biosci Biotechnol Biochem(2011) 75, 295-298
[内容紹介] ポリエチレングリコール(PEG)を分解資化するバクテリアSphingopyxis属細菌の持つ、小さいプラスミドの性質を明らかにしました。大腸菌とのシャトルベクターを構築しています。
[共同利用機器] DNAシーケンサ  (文責 谷)

アルコール発酵で酵母が持つ二日酔い対策
Transcriptional regulation of the genes involved in the pentose phosphate pathway and the glycolysis mediated by Stb5p is essential for acetaldehyde tolerance in Saccharomyces cerevisiae
Matsufuji Y., Nakagawa T., Fujimura S., Tani A., Nakagawa J.
[掲載誌] J. Basic Microbiol(2010). 50,494-498
[内容紹介] アルコール発酵する酵母は同時にアセトアルデヒドの毒性にも対処しなければなりません。アセトアルデヒド耐性にはペントースリン酸経路と解糖系の代謝を切り替えるStb5pが関与していることを明らかにしました。東京農業大学との共同研究で、MALDI-TOF/MSによるプロテオミクス解析を担当しています。
[共同研究] 東京農業大学 [共同利用機器] MALDI-TOF/MS    (文責 谷)

シュウ酸分解菌Pandoraea属細菌の新種
Pandoraea oxalativorans sp. nov., Pandoraea faecigallinarum sp. nov. and Pandoraea vervacti sp. nov., isolated from oxalate-enriched culture.
Sahin N. Tani A., Kotan R. Sedlacek, I., Kimbara K., Tamer A.U.
[掲載誌] Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 2010 Oct 15. doi:ijs.0.026138-0
[内容紹介] Pandoraea属細菌の新種提唱を行いました。これらの菌はシュウ酸を栄養源として生育します。また分類にはMALDI-TOF/MSの菌体総タンパク質プロファイリングを用いています。トルコ共和国ムグラ大学のNurettin Sain准教授との共同研究です。
[共同利用機器] MALDI-TOF/MS           (文責 谷)

環境中の特異的なバクテリアの検出と生理活性の評価法の開発
Rapid and multiple in situ identification and analyses of physiological status of specific bacteria based on fluorescent in situ hybridization.
Zhang X., Tani A., Kawai F., Kimbara K.
[掲載誌] J Biosci Bioeng(2010). 110, 716-719
[内容紹介] 環境汚染物質などを分解することが得意なバクテリアがいますが、汚染物質分解において代謝の活性が持続しないことなどが、微生物を用いた環境修復技術の問題となっています。また自然界のような雑多な微生物が多く存在する環境に、投入した菌の数やその活性を追跡することは技術的に難しいものでした。本研究では雑多な微生物の中から投入した特異的な微生物を検出する技術(FISH法)と生理活性の追的を同時に行う技術を開発しました。 (文責 谷)

MALDI-TOF/MSを利用した新しい菌株同定技術とその応用
MALDI-TOF/MSを利用した新しい菌株同定技術とその応用 (迅速・簡単が魅力。従来の分類指標との相関は?) 
谷 明生
[掲載誌]化学と生物(2010) 48, 598-601
内容紹介] マトリックス支援レーザー脱離・イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF/MS)はタンパク質などの分子量の測定や構造解析に用いられています。一方で、細菌の細胞由来の総タンパク質をサンプルとして質量分析したスペクトルデータを利用して細菌の同定に用いる手法が開発されています。本稿ではその原理と応用範囲について解説しています。
[共同利用機器] MALDI-TOF/MS    (文責 谷)

赤色酵母のアルミニウム耐性メカニズムに関与する遺伝子を解析
Genes involved in novel adaptive aluminum resistance in Rhodotorula glutinis
Tani, A., Kawahara, T., Yamamoto Y., Kimbara, K., Kawai., F.
[掲載誌] J. Biosci. Bioeng.(2010)
[内容紹介] アルミニウムは土壌に大量に含まれていますが、酸性土壌でイオン化し、植物の生育を阻害する毒性金属です。赤色酵母Rhodotorula glutinis IFO1125株は、アルミニウムの濃度を上げた培養を繰り返すと、それに応じて耐性を獲得し、はじめ50u(micro) MのAlでしか生育できない菌が、5 mM以上にまで耐性を獲得します。このような耐性獲得機構については全く例がないため、生物の毒性に対する適応能力を解明する一つの重要な例となります。本研究では、野生株と耐性株をそれぞれ比較し、耐性株で発現している3つの遺伝子について機能解析を行いました。
[共同利用機器] DNAシークエンサー リアルタムPCR    (文責 谷)

土壌中の細菌を生きたまま、検出・解析する技術について解説しました
土壌環境中の細菌の検出技術
飯島想、谷 明生、金原和秀
[掲載論文] Virology(2010)  397, 399-408. doi: 10.1016/j.virol.2009.11.035(featured on the COVER).
[内容紹介]  ゲノム解析技術の革新的進歩によって、環境中のゲノムを一気に解析するメタゲノム解析が推進されています。しかし、ゲノムをまるごと解析しても生きた微生物を獲得しているわけではないため、環境中での真の生命現象を調べることは困難です。そこで、土壌中の細菌を生きたまま、検出・解析する技術が必要になります。この総説では、未だに試行錯誤が続いている、土壌中の細菌の生理活性や分解活性を生きたまま測定する方法の構築に関して、筆者らの最近の知見をまとめています。まず、蛍光染色試薬で二重染色や三重染色を行い、レーザ照射による解析により、微生物細胞の様々な生理現象を同時に測定する基礎を構築しました。また、土壌から細菌細胞を抽出し、そこに基質を添加して蛍光を発色させ、フローサイトメトリのソーティング機能を用いて、目的細胞を分取するという方法を構築しました。環境中の微生物の解析手法としては、まだまだ初歩的な段階にありますが、未培養菌も含めた細菌検出手法の構築を今後も目指したいと考えています。(微生物機能開発グループ・金原)


鶏に利用できるプロバイオティックな菌を分離しました
Probiotic potential of lactic acid bacteria isolated from gastrointestinal digestive tract World
Musikasang H., Tani A., H-kitikun A., Maneerat S.
[掲載論文] J. Microbiol. Biotechnol., 25, 1337-1345, (2009)
[内容紹介]  タイ・プリンスオブソンクラー大学との共同研究で、鶏に利用できるプロバイオティックな菌を分離しました。これらの乳酸菌は腸内環境で生存性が高く、サルモネラなどの食中毒菌に対する抗菌活性があります。 (微生物機能開発グループ・谷 明生)

質量分析器を用いた新しい微生物の分類・同定法の解説です
MALDIで見える微生物の多様性
谷 明生
[掲載論文] 生物工学会誌 バイオメディア vol 87 (3), p 137, 2009
[内容紹介]  微生物の分類・同定に新しい手法として質量分析器を用いる技術が発達しています。
本稿ではその技術の原理・応用について紹介しています。(微生物機能開発グループ・谷 明生)

赤色酵母Rhodotorula glutinis IFO1125株のアルミニウム耐性獲得機構
The crucial role of mitochondrial regulation in adaptive aluminium resistance in Rhodotorula glutinis.
Tani A, Inoue C, Tanaka Y, Yamamoto Y, Kondo H, Hiradate S, Kimbara K, Kawai F.
[掲載論文] Microbiology. 2008 Nov;154(Pt 11):3437-46.
[内容紹介]  アルミニウムは土壌に大量に含まれていますが、酸性土壌でイオン化し、植物の生育を阻害する毒性金属です。赤色酵母Rhodotorula glutinis IFO1125株は、このアルミニウムの濃度を上げた培養を繰り返すと、それに応じて耐性を獲得し、はじめ50 u(micro) MのAlでしか生育できない菌が、5 mM以上にまで耐性を獲得します。このような耐性獲得機構については全く例がないため、生物の毒性に対する適応能力を解明する一つの重要な例となります。本研究では、野生株と耐性株をそれぞれ比較し、耐性株には顕著にミトコンドリアが多く存在すること、その形態がアルミニウムの存在によって変化すること、ミトコンドリア内で重要なエネルギー代謝を行う呼吸鎖やTCAサイクルの活性が変化し、活性酸素の発生量を下げる方向へ調節されていることを明らかにしました。 (微生物機能開発グループ・谷 明生)


  研究業績へ 
                                            

〒710-0046 倉敷市中央2-20-1 岡山大学 資源植物科学研究所 植物・微生物相互作用グループ 

 

 

 

 

 

Copylight (C) 2010 IPSR Okayama University All Rights Reserved.