研究内容

高等植物の環境認識・応答機構の解明を目指す

環境の劇的な変化は生物にとってストレスとなります。ストレスを与える環境因子としては、 高温、低温、強光、乾燥、高塩濃度、病原菌などによる感染、などがあります。すべての生物は、ある程度の環境の変化に適応する能力を備えています。そのメカニズムは、環境因子によっても、また生物種によっても異なります。

植物は、動物と違って移動が出来ません。その為、動物にはない環境ストレス応答機構を持っていると考えられています。また、 植物の環境ストレス応答機構の研究は、乾燥、低温、塩ストレスなどに強い農作物作出への応用が期待されます。

   

主な研究テーマ

  • アブシジン酸応答機構の分子遺伝学的解析

様々な環境刺激に対する植物の認識機構の研究が進められてきましたが、最近、それぞれの環境刺激への応答が互いに密接に関係していることがわかってきました。これは、複雑な環境の変化に対してより最適な応答を導き出すためと考えれています。この仕組を理解するため、シロイヌナズナ、ゼニゴケ、ブラキポディウムなどのモデル植物を対象にした分子遺伝学、分子生物学的解析を行っています。近年では、特に、アブシジン酸、鉄、ミトコンドリア機能、RNA制御、他の環境要因間の関わりについて研究を進めています。
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  • 気孔の環境認識・応答機構の解明

気孔は一対の孔辺細胞で構成されており,光合成のための二酸化炭素の取り込みや根から地上部への水の輸送において決定的な役割を果たしています.同時に病原菌や有害ガスの侵入口ともなるほか,乾燥時には気孔からの激しい蒸散により過度の脱水の原因となります.孔辺細胞は刻々と変化する環境に対応するため環境刺激を認識し応答する優れた機構を発達させています.この巧妙な仕組みを理解するため,孔辺細胞の分子生理学的,イオン動態解析を進めています.
詳細(森 泉の研究の詳細へ)

  • 植物特有のエピゲノム制御機構の解明

生命の遺伝情報をつかさどる遺伝子は、DNA塩基配列にコードされていますが、遺伝子が発現し機能するためには、DNA塩基配列上の情報だけでなく、DNAメチル化やヒストン修飾といったDNA塩基配列以外のエピジェネティックな情報が重要な役割を果たしていることが明らかになっています。これらの遺伝子発現調節機構が、植物の成長段階や環境変化に応じて働く機構について研究を行っています。

詳細(池田のページ)

  • データ駆動型作物デザイン技術の開発(CREST研究課題)

圃場の作物の農業形質(例えば種子の収量)は、作物の遺伝要因と圃場の環境要因の相互作用によって決まると考えられます。しかし、環境が刻一刻と変化する圃場において、この相互作用の理解は容易ではありません。さらに、この相互作用は、過去の相互作用が現在そして未来の相互作用に影響するという履歴性を持つため、その理解はされに困難を伴います。これまで、作物の生育の全過程を通して、環境との相互作用を記述する方法はありませんでした。この研究では、この記述方法を開発し、作物のライフコースデータを取得することで、農業形質に強く影響する遺伝要因と環境要因を探し出し、それを用いて環境に最適化した作物をデザインする技術の開発を目指しています。
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