植物は、他の生物分類群に比べて、非常に大きな幅のゲノムサイズ(ゲノムあたりのDNA量)をもつ。最小のゲノムをもつシロイヌナズナの約130 Mb(メガベース=100万塩基対)とユリなどの約120 Gb(ギガベース=10億塩基対)の間には約1千倍の差がある。DNA量の違いは、ほぼそのまま「その生物がもつ総染色体長」に反映されるので、植物の染色体の大きさにはゲノムサイズと同程度のバリエーションがある。
その様な植物の中で、タマネギ(ゲノムサイズは15 Gb)は「分裂細胞の頻度も高く、 一般的な動植物に比べて大きな染色体をもち、 簡易な顕微鏡で観察できる」ことから、生物学における「植物の染色体観察」の材料として、世界中で使われている。続いては、このタマネギを材料に、「植物の細胞分裂」について見ていこう。