細胞分裂は、植物体の全体で起きているわけではない。細胞分裂は、「根の先端(根端)」や「芽」、「花芽」といった「成長中の組織」で多くが起きている。なので、「成長しきった葉」から細胞をとってきて観察してみても、そこには「分裂をしていない(間期)細胞」しか見あたらない。
上の写真は、タマネギの根の先端に近い部分の「縦断面」を拡大したものである(スケールバーは100 μm)。右上方向に根端があることを想像すればイメージが湧きやすいかも知れない。教科書的に「分裂細胞がある」とされている「根端分裂組織(マゼンダ四角)」に加えて、「外皮」と「内皮」の間の「皮層(緑四角)」にも多くの分裂細胞(緑色のシグナルを示す)が存在することがわかる。
この写真は、タマネギの根の「横断面」である(スケールバーは100 μm)。「縦断面」と同様に、「根端分裂組織(マゼンダ四角)」と「皮層(緑四角)」に多くの分裂細胞(緑色のシグナルを示す) が存在することが見て取れる。「分裂細胞」が「動物の組織の中」で観察できる例は限られており、ここに示した例は「植物ならではの例」のひとつと言える。
この様にして観察した切片から得られた「3次元(3D)画像」を「動画」として下に示す。
ムービー 1.1 タマネギ根の縦断面における分裂細胞の分布
緑のシグナルを示しているのが、分裂細胞。赤は動原体のシグナル根端は、画面上側にある。