イネ科植物における澱粉粒の形状多様性を明らかにしました

[著者] Matsushima, R., Yamashita, J., Kariyama, S., Enomoto, T., Sakamoto, W.

[論文タイトル] A phylogenetic re-evaluation of morphological variations of starch grains among Poaceae species

[掲載論文] Journal of Applied Glycoscience, 60:37-44, 2013

[雑誌のURL] http://www.jstage.jst.go.jp/article/jag/60/1/60_jag.JAG-2012_006/_article

[共同研究] 倉敷市立自然史博物館

[使用した共通機器] ウルトラミクロトーム

[内容紹介] 澱粉は植物が光合成産物として細胞内に蓄積するグルコース多量体です。合成された澱粉は、アミロプラストと呼ばれるオルガネラ内部に「澱粉粒」と呼ばれる粒子を形成します。澱粉粒がアミロプラスト内部に1個だけ形成されるのか、複数個形成されるのかによって、単粒型と複粒型に分類されます。この単粒と複粒という区別によって、澱粉粒の形状はイネ科植物において、属間レベルで多様性を示すことが知られています。本研究ではイネ科の系統樹上で澱粉粒の形状パターンがどのように分布しているのかを明らかにしました。イネ科植物の系統樹に澱粉粒の形状パターンを対応させた結果、イネ科において初期に分化したと考えられる属では、すべて複粒型を示すことが分かりました。このことから、複粒型澱粉粒がイネ科においては祖先型であると考えられます。また、二極性単粒型 (二極化した大きさの単粒型を発達させる型)の澱粉粒を発達させる種は、わずか5属 (Brachypodium, Triticum, Hordeum, Elymus, Bromus) に限定されました。この5属は近縁な分類群であることから、二極性単粒型はこれらの分類群が分化の過程で獲得した形質であることが示唆されました。また、本研究によりBromus属では属内レベルでも澱粉粒の形状に多様性を示す事が分かりました。これは属内レベルで澱粉粒の形状多様性を示した最初の例であります。
図.Bromus(文責 光環境適応研究グループ・松島 良)

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