研究組織

遺伝資源機能解析グループ

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教員

教授: 武田 真 Prof. Dr. Shin TAKETA
E-mail: staketa@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 植物遺伝育種学
助教: 山下 純 (野生植物チーム) Assist. Prof. Dr. Jun YAMASHITA
E-mail: junyama@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 系統分類学

主な研究テーマ

1. オオムギ種子で殻が接着してはがれない”皮麦”とはがれる”裸麦”の違いを決める遺伝子の特定
オオムギはイネ科の作物のなかで不思議なことに種子を収穫して脱穀しても、殻と種子が糊状物質で接着してはがれない”皮麦(かわむぎ)”が一般的な形態です。ビール原料としたり牛などの反芻動物の飼料にするには皮がついていても問題ありません。しかし、ヒトは皮を消化できないので、食用には皮麦は不向きです。ところが、1つの遺伝子が突然変異で破壊されると左上のような脱穀して種子がむき出しになる”裸麦(はだかむぎ)”に劇的に変化します。私たちのグループはこの遺伝子を世界で初めて特定することに成功しました。オオムギは食物繊維を多量に含み数々の健康増進効果があることから、機能性食品として注目を集めています。

2. オオムギの穂先の針状の突起(芒、ぼう)の長さを決める遺伝子の特定
オオムギの穂先の先には長い芒がある品種が大多数です。風に長い芒がなびく麦畑は春先の美しい光景で、私たちの目を楽しませてくれます。しかし、日本を含む東アジア地域では芒が短くなったり、芒が無いオオムギ品種が多くみられます。芒は葉が変形して出来たものでイネ科にしかない器官です。オオムギでは芒で盛んに光合成を行い、デンプン合成の10ー30%を担うという推定があります。しかし、東アジア地域では芒が短い品種が好まれ、その理由はこれまで不明でした。私たちはオオムギの芒の長さを約半分に短縮する遺伝子(lks2)を単離することに成功しました。雨の多いモンスーン地帯では芒が短い方が穂に水滴が付きにくくなり、植物の頭が軽いままなので倒れにくいと考えられます。イネ科作物において芒の長さを決める遺伝子を発見した最初の報告となりました。

3. 植物の分子系統解析を中心とした系統分類学的研究
広義ユリ科、カヤツリグサ科、ヤマノイモ科などの単子葉植物を主な材料として、伝統的な分類体系を分子系統などを用いて検証し、表現形と系統関係の不一致の生物学的意味を探ると共に、より調和的な分類体系の構築を目指す。研究材料と遺伝資源の収集や植物相調査のための野外調査も行う。

Latest publications (for complete and most current publications visit group pages)

(1) Ube, N., Ishihara, A., Yabuta, Y., Taketa, S., Kato, Y., Nomura, T. Molecular identification of a laccase that catalyzes the oxidative coupling of a hydroxycinnamic acid amide for hordatine biosynthesis in barley. Plant Journal 115: 1037-1050. doi.org/10.1111/tpj.16278 (2023. 5.)
(2) 武田 真 植物科学とサイエンスコミュニケーション.岡山大学附属図書館報 楷 77: 2-5. ISSN 0911-5587 (2023. 10.)
(3) Taketa, S., Kim, J. S., Takahashi, H., Yajima, S., Koshiishi, Y., Sotome, T., Kato, T., Mochida, K. Genomic traces of Japanese malting barley breeding in two modern high-quality cultivars, ʻSukai Goldenʼ and ʻSachiho Goldenʼ. Breeding Science 73: 435-444. doi.org/10.1270/jsbbs.23031 (2023. 12.)


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