研究組織
研究組織 (コア、センター、ユニット)
植物の生存環境における種々のストレスを大きく3つの要因(大気 環境ストレス、土壌環境ストレス、環境生物ストレス)に分け、それぞれの要因 に対応した共同研究ユニットで研究を進めています。それぞれのユニットでは、各種ストレスに対する応答反応や生物間相互作用を生理学的、生化学的、病理学的、遺伝・育種学的に解析し、植物のストレス耐性を向上させるための基盤研究を国内外の研究者と共同で行っています。また、大麦や野生植物の遺伝資源を有効に利用し、多様性を基礎にした耐性植物の選抜と応用に関する研究も進めています。
本ユニットでは、植物が地上で感受する光、温度、湿度などの可逆的変化による生育障害を広く「大気環境ストレス」と捉え、これらに対する植物の応答反応を理解するための研究を行う。強光ストレスによる光合成機能の適応(光環境適応研究グ ループ)、アブシジン酸など植物ホルモンが関わる乾燥ストレス応答(環境応答機構研究グループ)について研究を進め、遺伝子レベルでの制御機構を解明し、遺伝資源の活用による生育障害を克服する作物創成を目指す。
酸性土壌、アルカリ土壌、塩類集積土壌、重金属集積土壌のような問題土壌は世界の耕地面積の約7割を占め、これらの土壌ではミネラルの欠乏や過剰ストレスで作物の生産性が低く、その安全性も懸念されている。また土壌水分の不足も大きな問題となっている。今後食糧やエネルギー問題を解決するために問題土壌において安全性や生産性の高い作物を作出することは重要な鍵を握っている。本ユニットでは、問題土壌を克服する作物の作出を目指して、各種土壌ストレス(水不足、塩害、アルミニウム害、鉄欠乏、重金属過剰など)に対する植物の応答反応や耐性機構について個体レベルから分子レベルまで研究を行う。
植物は環境中で各種生物因子による様々な影響を受けている。例えば、ウイルス、細菌、糸状菌を初めとした感染性病原微生物あるいは食害を及ぼす害虫等はその典型である。また、植物病原に感染しそれらの植物への病原力の低下させる様々な 微生物(生物防除因子)に加え、植物と相利共生の関係にある土壌微生物、地上部で生息し、植物の生育を促進する微生物等も各種見つかっている。本ユニットでは、植物の持つ環境生物に対する応答の解明、さらには、環境生物による植物への影響の分子機構の解明を目指す。これらを通じ、植物の生育に影響を及ぼす環境生物間、それらと植物間のダイナミックな相互作用の理解及び植物の健全な育成を図る。
当センターは遺伝資源の機能開発と有効利用によって21世紀の地球環境問題,食料・資源問題に対処するために、平成9年に設置された。現在、当センターはそれぞれ複数の研究グループから成る二つのユニットで構成されている。遺伝資源ユニットはバイオサイエンスの研究材料として、また、将来における植物育種の遺伝資源として重要なオオムギおよび野生植物を収集・保存し、そ れらの遺伝的特性の評価、情報管理、機能開発等を行う。ゲノム育種ユニットは、植物遺伝資源を育種に利用するためのリソースおよび技術の開発を行う。当セ ンターでは国際的に評価の高いこれらの植物リソースならびに有用植物の創出技術を活用して国内外との共同研究を推進する。
オオムギの豊富な遺伝資源と詳細なゲノム情報を利用して、オオムギの有する高度な環境適応性の解析と農業上重要な形質に関わる遺伝子機能の解析と利用に関する研究を行う。 オオムギおよび野生植物の系統およびゲノムに関するリソースおよび情報を整備し、イネ科作物を中心とする他の植物との比較研究を行う。野生植物については、ストレス耐性を中心とする多様性の評価と農業上有用な形質の利用に関する研究を進める。
トランスポゾンタグライン等の突然変異系統からストレス耐性変異を選抜し原因遺伝子を単離するとともに、野生植物種が潜在的にもつ有用形質の探索・評価からも、関与遺伝子の解析を行う。また、効率的な形質転換技術およびオーダーメード遺伝子改変技術等の開発を行い、各種環境ストレスに耐性を示す作物の創出を目指す。
次世代作物共同研究コアは近未来に必要とされる研究分野を開拓するとともに、それらに関するシーズ研究を展開する。