研究所紹介

植物研ゆかりの偉人たち

連載に寄せて 馬 建鋒 (史料館・前分館長)
2年前に文部科学省から共同利用・共同研究拠点として認定された岡山大学資源植物科学研究所(植物研)は2014年に設立100周年を迎えます。ご存知の方も多いと思いますが、当研究所の前身は大正3(1914)年7月に倉敷紡績株式会社社長・大原孫三郎によって設立された、財団法人大原奨農会農業研究所です(今でも地元の人には大原農研として親しまれています)。昭和4(1929)年3月に財団法人大原農業研究所に改められました。昭和24(1949)年5月に岡山大学の設置に伴い、研究所は岡山大学に無償寄付されることになり、まず昭和26年に研究所の一部、次いで昭和27年にその残りが岡山大学に移管されました。当初は農学部付属大原農業研究所として発足しましたが、昭和28年に大学附置研究機関に昇格し、岡山大学農業生物研究所と名称を改めました。その後、数度の改組があり、昭和63(1988)年には、資源生物科学研究所に、そして平成22年に資源植物科学研究所となり、現在に至っています。
大原氏は当初もっと広範な農民教育を中心とする学校を作ろうと考えたようですが、初代所長近藤萬太郎の意見を取り入れて、純学術的な研究所として発足しました。当時の研究所の目的は「深遠なる学理を研究し之が実際的応用に依る農事の改善」とあります。これは現在の研究所の理念にも通じるところが多く、100年前の大原氏の見識の鋭さに敬服します。当初は純粋な研究だけではなく、多くのイネや麦、イグサの品種を育成して、農民の役に立てました。また今岡山の特産となっているマスカットや白桃も研究所で作られました。当時地元の人たちは研究所のことを「農園」と呼んで親しんでいました。
研究所の100年近くの歴史の中で、日本の農業科学の基礎を作った偉人が多く輩出しました。種子学を確立した初代所長近藤萬太郎、オオムギの種子保存に尽力した高橋隆平、イタイイタイ病の原因を突き止めた小林純、ケイ素の有益効果を世界で初めて発見した小野寺伊勢之助、イネ研究の第一人者岡彦一、土壌微生物研究の先駆者板野新夫、等々です。研究所設立100周年を迎えるに当たり、これまでに偉大な足跡を残してきた先人たちを偲び、研究に関連の深い先生方に執筆をお願いして、「植物研ゆかりの偉人たち」を企画しました。どうぞ先人たちの偉業をご覧ください。

 近藤 萬太郎
  近藤先生 採取種子リスト(CSV形式)
  近藤先生 論文目録(pdf形式)

 高橋 隆平

 小野寺 伊勢之助

 岡 彦一

 小林 純

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