葉緑体の維持と光合成能の向上に関わるタンパク質を明らかにしました

[著者] Lingang Zhang, Yusuke Kato, Stephanie Otters, Ute C. Vothknecht, and Wataru Sakamoto

[論文タイトル] Essential role of VIPP1 in chloroplast envelope maintenance in Arabidopsis

[掲載論文] The Plant Cell 24: 3695-3707

[共同研究]
Ludwig-Maximillians-Universitat(ドイツ)
科学技術振興機構(JST)
戦略的創造研究推進事業(CREST)

[使用した共通機器] DNAシーケンサー, 共焦点レーザー顕微鏡

[内容紹介]
光合成は、水と光エネルギーから大気中の二酸化炭素を固定する植物で重要な化学反応です。陸上植物では細胞の中の葉緑体で光合成が起こりますが、葉緑体は過剰な光エネルギーで脂質やタンパク質が損傷を受けやすいため、それらを緩和して環境に適応するための様々なしくみを発達させています。特に、葉緑体膜が損傷を受けやすいと考えられていますが、それらを保持する機能については詳しくわかっていませんでした。

今回私たちは、VIPP1と呼ばれる葉緑体のタンパク質が、損傷を受けた葉緑体の膜を修復しながら葉緑体機能維持に関わっていることを明らかにしました。このタンパク質は、葉緑体の包膜と呼ばれる外側の二重膜の内側に大きな複合体を形成して存在し、ストレス条件での膜修復に関与していることがわかりました。このタンパク質を強化することで、今後、葉緑体での光合成能を強化させ、環境ストレスに強い作物の育成にも役立ちそうです。

この論文は掲載誌Plant Cell 9月号の表紙になりました。
(文責 光環境適応研究グループ・坂本 亘)

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