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動原体タンパク質の可視化によりタマネギの細胞分裂を詳細に描写

[著者] Kiyotaka Nagaki, Maki Yamamoto, Naoki Yamaji, Yasuhiko Mukai and Minoru Murata

[論文タイトル] Chromosome dynamics visualized with an anti-centromeric histone H3 antibody in Allium

[掲載論文] PLOS ONE 7(12): e51315. doi:10.1371/journal.pone.0051315

[共同研究] 関西福祉科学大(山本真紀教授)および大阪教育大(向井康比己教授)

[使用した共通機器] DNA sequencer、リアルタイムPCR

[内容紹介]
タマネギは「植物細胞分裂の観察」の教材として世界中で用いられています。しかし、生物学の教科書中で用いられている写真は「染色体を色素で染めただけのもの」が長い間用いられてきました(図1上段)。そして、細胞分裂の理解のために重要な「動原体」や「紡錘糸」は写真で示されず、模式図中で解説されてきました。そこで本研究では、動原体を可視化するために動原体特異的ヒストンH3タンパク質をネギ属植物から単離し、それを認識する抗体を作成しました。そして、この抗体と紡錘糸を認識する抗体の組合せによって、タマネギの細胞分裂の様子を詳細および立体的に可視化することに成功しました(図2中段)。生物の身近な実験材料として教科書に掲載されているタマネギを材料に、これまで模式図でしか示されてこなかった立体的な細胞分裂の様子を3D写真として示すことにより、生徒達の「植物の細胞分裂」の理解促進や、この分野に対する好奇心をかき立てることが可能となります。また、本研究の内容や立体図を含むiPad用の電子書籍も無料で公開され、生物の副教材として利用可能となります。この様な成果に触れることにより「理科離れ」を抑制することが期待されます。


図1. 植物の細胞分裂:中段、下段の赤シグナルは動原体、緑シグナルは紡錘糸を示す。

(文責 核機能分子解析グループ・長岐 清孝)

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0051315

関連リンク: 核機能分子解析グループ

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