リン酸化による光化学系IIタンパク質分解制御を解明

[著者] Kato Y, Sakamoto W.

[論文タイトル] Phosphorylation of photosystem II core proteins prevents undesirable cleavage of D1 and contributes to the fine-tuned repair of photosystem II

[掲載論文] Plant J. 79:312-321 (2014).

[内容紹介]
葉緑体チラコイド膜上にある光化学系IIは光合成のはじまりを担う重要な光合成装置であるとともに、光による傷害を最も受けやすい場所です。光化学系IIへの傷害の蓄積は”光阻害”と呼ばれる現象を引き起こし、植物の生育を阻害すると考えられています。しかしながら、植物は光阻害を避けるための様々なメカニズムを備えており、私達が研究している光化学系II修復サイクルもそのひとつです。今回の論文では、光化学系IIの修復とそれに関わるプロテアーゼに注目し、光化学系IIの反応中心タンパク質D1で起きるタンパク質リン酸化が、修復サイクルにおけるD1タンパク質分解の制御に重要であることを明らかとしました。D1タンパク質がリン酸化は、D1タンパク質を断片化するDegプロテアーゼによるD1分解を抑制し、FtsHプロテアーゼによるプロセッシブなD1タンパク質分解を促していると考えられます。これにより過剰なD1分解産物の産出とそれに伴う活性酸素種の生成を抑え、より安全な経路でD1タンパク質を分解していることが示唆されました。D1タンパク質のリン酸化は古くから知られている現象でありましたが、その役割については長く議論が続いていました。私達の結果は、リン酸化による光化学系II修復サイクル制御の一端を明らかにしたものと考えています。(文責:加藤 裕介)

関連リンク: 光環境適応研究グループ