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葉緑体DNAダイナミクスの総説

[著者] Sakamoto W and Takami T

[論文タイトル] Chloroplast DNA dynamics: Copy number, quality control and degradation

[掲載論文] Plant Cell Physiology 59: 1120-1127 (2018).

[内容紹介]
葉緑体とミトコンドリアは細胞内共生のバクテリアに由来すると考えられていて、その証拠の1つとしてそれぞれがDNAとタンパク質合成を行なっています。しかしながら、それぞれのオルガネラで合成されるタンパク質は一部のみであり、大多数の構成タンパク質は核ゲノムにコードされ細胞質で合成された後、それぞれのオルガネラに輸送されます。
葉緑体ゲノムの研究は、植物ゲノムプロジェクトが始まる以前の1980年代から始まり、これまでに植物部の系統進化、遺伝子発現の研究が幅広く展開されました。一方で、葉緑体ゲノムが有するゲノム情報は少ないものの、ゲノムコピー数が非常に多く、細胞あたり10,000コピー以上存在することも報告されています。葉緑体DNAが成長にしたがってどのようにコピー数を変動させ、光酸化障害や異常な組換えによる変異の蓄積を排除し、分裂により分配されるか、といった現象についてはまだわからいことも多いのが現状です。また葉緑体DNAが成熟葉で分解されることが報告されていますが、この現象については研究者でも見解が分かれています。今回の総説では、このような葉緑体DNAの「ダイナミクス」に着目し、DNAゲノムの量的変動と品質管理、また分解される機構について紹介しています。(文責 光環境適応研究グループ・坂本 亘)

関連リンク: 光環境適応研究グループ

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