オルガネラDNAを自己分解してリン栄養分にする生命現象の発見

[著者] Tsuneaki Takami, Norikazu Ohnishi, Yuko Kurita, Shoko Iwamura, Miwa Ohnishi, Makoto Kusaba, Tetsuro Mimura, and Wataru Sakamoto

[論文タイトル] Organelle DNA degradation contributes to the efficient use of phosphate in seed plants

[掲載論文] Nature Plants
https://www.nature.com/articles/s41477-018-0291-x

[共同研究] 三村徹郎(神戸大学・理学研究科)、草場信(広島大学・理学研究科)

[使用した共通機器] ICP-MS、Li6400XT、DNAシークエンサー

[内容紹介]
植物の光合成を行う葉緑体や呼吸をつかさどるミトコンドリアは、太古の昔に細胞内共生により獲得したバクテリア由来のオルガネラDNAを持っており、植物の葉などではオルガネラDNAを必要以上にたくさん持っています。これら一見不要と思われる過剰のオルガネラDNAは、リン栄養が欠乏した状態になるとDPD1ヌクレアーゼという分解酵素の働きで積極的に分解され、リンの再利用に使われていることをモデル実験植物であるシロイヌナズナと落葉樹のポプラを用いて明らかにしました。
DNAは1860年代にドイツ・チュービンゲン大学の化学者フリードリヒ・ミーシャーにより初めて単離されています。ミーシャーは、DNAがタンパク質とは異なり多量のリンを含む物質であることを見つけ、リンの細胞内貯蔵に関わる可能性を述べていますが、遺伝情報物質としての研究が進み、リン貯蔵については調べられてきませんでした。今回の研究は、細胞内共生により維持される植物のオルガネラDNAについて、このようなリン貯蔵の機能があることを科学的に示した意義ある成果といえます。
リンは植物の三大栄養素の一つで、21世紀にはリン肥料の枯渇や水質汚染が懸念されています。本研究成果により、DNA分解を介したリン利用効率の向上性が分かり、オルガネラDNA量をコントロールすることでリン利用効率の向上した作物の育成・改良にもつながることが期待されます。(文責 光環境適応研究グループ・坂本 亘)

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