世界中に分布する赤潮原因藻ヘテロシグマのミトコンドリア ゲノム配列の多様性について

[著者] Ueki, S.

[論文タイトル] Phylogeographic characteristics of hypervariable regions in the mitochondrial genome of a cosmopolitan, bloom-forming raphidophyte, Heterosigma akashiwo.

[掲載論文] Journal of Phycology (2019)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jpy.12868
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31032911

[使用した共通機器] DNAシークエンサー

[内容紹介]
 単細胞藻ヘテロシグマは、条件によって赤潮を形成する赤潮原因藻の一種です。ヘテロシグマは、以前は温帯にしか生息しないと考えられていましたが、ここ10数年の間に、寒帯から熱帯にわたる、世界中の浅海に生息することがわかってきました。ヘテロシグマのミトコンドリアは、ほぼ3万9千塩基対からなるゲノムを持っています。世界各地で見つかったヘテロシグマのミトコンドリアのゲノム配列を較べてみると、ほとんどの部分が全てのヘテロシグマで保存されているのに対して、3箇所だけ、非常に多様性に富んだ領域が存在することがわかりました。3箇所のうち、2箇所はタンパク質をコードする遺伝子であると考えられますが、このタンパク質はヘテロシグマ特有なもので、他の生物は持っていないようです。また、特に北半球の高緯度地域で見つかったヘテロシグマと、温帯〜熱帯で見つかったヘテロシグマが持つこれらの二つの遺伝子配列は明らかに異なることがわかりました。これらのタンパク質の機能はいまだに不明ですが、高緯度地方と低緯度地方の異なる環境――恐らくは水温や日照時間など――に適応するために必要な機能を持っているのではないかと考えています。(文責:植木 尚子)

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